処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第10話

1 :名無しさん@初回限定 :2006/08/22(火) 01:44:31 ID:be9ICXWB0

ここは「処女はお姉さまに恋してる」のSSスレです。
優雅に礼節をもって進行していきましょう。
sage進行で。

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Q&Aテンプレは>>3-4

501 :東の扉 :2006/11/16(木) 13:38:21 ID:AUwfrjGy0

次に瑞穂ちゃんと一子ちゃんが部屋を訪れて、同じことを聞いた。
「まりやは、なんで由佳里ちゃんを犯したりしたの?」
「あたしは……由佳里がトイレとか教室なんて危険な場所でしたら下手すれば終わりだって思ったから、もうそんな危険なことをしないように……」
それを聞いて、瑞穂ちゃんはあたしを睨み、感情を殺した声で言った。
「まりや、ふざけるのもいい加減にしなさいよ」
「ふざけてる? あたしが!?」
「そうです。まりやさんがです」
一子ちゃんも怒気をはらんだ声で言う。
「な、なんで……」
「明日の朝、もう1度だけ聞きに来ますから。その時に正解を出さなければ、私はもう知りませんからね」
「ちょっと瑞穂ちゃん、なんで……」
「言っておきますけどね、奏ちゃんに聞いてきてもらったけど、由佳里ちゃんには、本当の答えはとっくにわかってるわ。
わかってるからこそ、そんな答えを出すまりやのことを怒ってるのよ」
どういうことよ!? 本当の答えってなんなのよ!?
「わからないって顔ね。じゃあ、由佳里ちゃんの代わりに、私から反論させてもらうわ。
まず第一に、由佳里ちゃんが満足できなかったからって言ってたけど、由佳里ちゃんは欲求不満になったら、
まりやにされる間でもなく、自分で勝手にすると思うわよ?
第二に、姉として指導しなきゃって言ってたけど、それにしては恥ずかしいセリフを言わせたりとか、やりすぎ……
というか、やることが本筋から外れすぎてるんじゃないの?
そして第三に、二度と危険なことをしてほしくないって言ってたけど、
そんなの授業中の事故で由佳里ちゃんはもうこりごりだったんじゃないの?」
うっ……そう言われると……。
「そ……それは……全部いっぺんにするには、それが一番だと思ったから……」
「話にならないわね」
「そうですね」
それを聞いた瑞穂ちゃんと一子ちゃんは、ますます呆れた顔で言った。
「とにかく、明日の朝で最後にするから。そこで正解を出せなかったら、私ももうまりやとは絶交するって、そのつもりでよく考えてみなさい」
そう言って、瑞穂ちゃんと一子ちゃんはあたしの部屋を後にした。

502 :東の扉 :2006/11/16(木) 13:40:57 ID:AUwfrjGy0

いったいなんて答えてほしかったんだろう……瑞穂ちゃんは。
確かに瑞穂ちゃんの反論は、理にかなっていた。確かに由佳里にあそこまでする必要はなかったのかもしれない。
授業中のことが事故だってわかった時点で、自分が知っていることと欲求不満になったら手伝ってあげる、くらいのことを言えばよかったはずだ。
あそこで強引にする必要なんかどこにもなかった。恥ずかしいセリフを言わせる必要も。
じゃあ、いったいなんで……。
瑞穂ちゃんは、由佳里には本当の答えはわかってるって言ってた。わかってるからこそ、怒ってるって……。
あたしは、由佳里に謝りに行ったときのことを思い出していた。

「だから、何度も謝ってるじゃない」
「何度謝られても、許す気なんかありません。帰ってください」
「……じゃあ、どうしたら許してくれるの?」
「……だったら、土下座して心をこめてこう言ってくださいよ。『私は自分の醜い欲望を満たすために、あなたに取り返しのつかない
深い心の傷を負わせてしまいました。私は本当にはらわたまで腐りきった恥知らずの性悪女でした。まことに申し訳ございません』って。
お姉さまや奏ちゃんの見てる前でね」
「そ、そんな恥ずかしいこと……」
「人にはその何十倍も恥ずかしいことを平気で言わせたくせに、自分は恥ずかしいからできないんですか? たいしたお姉さまですね」
皮肉だ……この『お姉さま』は……。
「あ、あたしは由佳里のためを思って……だいたい、人が下手に出てるからって調子に乗るのも……」
「何が私のためなんですか。いつも下手に出てるのをいいことに調子に乗ってるのはあなたの方でしょう!? 
本当なら生徒会長さんを含めた全校生徒の前で言ってほしいところを、その2人だけでこらえてあげてるんですよ? 
私に慈悲深さに、感謝してほしいですね」
「う……」
「だいたい、イヤなら言わなくてもいいんですよ? 私は、あなたなんかと仲直りしたいなんて、これっぽっちも思ってないんですから」

503 :東の扉 :2006/11/16(木) 13:52:37 ID:AUwfrjGy0

由佳里には、本当の答えがわかってるって瑞穂ちゃんが言ってた。あのときのやり取りは、それで由佳里が怒っている証拠なんだ。
あたしは、由佳里のセリフをヒントに考えてみた。
なぜ、由佳里が怒っているのかを。なぜ、瑞穂ちゃんがあたしの出した答えを否定したのかを……。
「確かに瑞穂ちゃんの言うとおり、由佳里にあそこまでやらせる必要はなかったな……じゃあ、なんであたしは……」

504 :東の扉 :2006/11/16(木) 13:56:10 ID:AUwfrjGy0

翌日、僕はまりやの部屋を訪ねた。
「まりや、入るよ」
まりやから許可をもらい、僕は部屋に入る。まりやの顔は、以前よりやつれていた。
「これが最後だよ。まりやは、なんで由佳里ちゃんを犯したりしたの?」
「あたしは……」
僕は、じっとまりやの返答を待つ。
「あたしは、由佳里をオモチャにして遊びたかったから……由佳里の恥ずかしさと快楽に歪む顔が見たかったから……由佳里を犯したのよ……」
まりやは、力なくうなだれて答えた。
「ふーっ……やっとわかったみたいだね」
それを聞いて、僕は安心した。
「じゃあ、まりやはそれがいいことだと思う?」
まりやは、うなだれたまま首を横に振った。
「そうだよね。由佳里ちゃんが怒るのも無理ないよね?」
「うん……」
「だったら、まりやがどうするべきかわかるでしょ? それがわかったなら、
由佳里ちゃんに対しての謝罪にも、より強い説得力が出るはずだから」
「そっか……」
まりやはやっと気づいたみたいだ。この質問が由佳里ちゃんと仲直りさせるために必要だと言った、その理由に。
「うん。わかった。あたし、もう1度由佳里に謝ってみるよ」
「それがいいよ。今度は今までと違って、由佳里ちゃんの心も少しは揺れると思うからね」
「そうだね。ねえ、瑞穂ちゃん」
「何?」
「ひとつ、お願いしてもいいかな……」
「内容にもよるけど……何?」
これでいい。今度こそ、再生への兆しが見えてきた。
これからが本当の勝負だ。
見てなさいよ。かならずまりやと由佳里ちゃんの絆を、取り戻してみせるから!

この続きは、「ほころび始めた縁 後編 修復の光」でお話しするから、もしよければつきあってね。

505 :コマイ :2006/11/16(木) 18:44:03 ID:q+k9hipy0

11月16日

「今日パーティーするけどあんたも来る?」
それはまりやらしく突然の誘い
当然貴子は答える
「え…ええ…もちろん行きますわ」

会場となった寮の食堂にはワイングラスが並べられている
「まりやってば私たち未成年なんだからお酒はダメなのに…」
「瑞穂さん、今日くらい良いではありませんか」
紫苑さまもお呼ばれしてきている、そこはかとなくうれしそうだ
「そういえばまりやさんの姿が見当たりませんが…」
「あ、まりやお姉さまなら厨房でお料理作ってます、すぐできるって言ってましたけど」
貴子の疑問に由佳里が答える
「まりやさんのお料理ですか」
「ええ、まりやってば張り切っていましたから」
「まりやお姉さまお一人で大丈夫なのでしょうか〜」
「まりやさんのお料理の腕は確かですわ、一応」
「幼馴染の貴子さんが言うのですから間違いないでしょうが…ですがお一人では大変でしょうに」
そんなやり取りの間にまりやが料理を持って戻ってきた

506 :コマイ :2006/11/16(木) 18:44:59 ID:q+k9hipy0

「さ〜て、できたよ〜」
まりやが持ってきたのは鍋、入っているのは鴨肉
「まりや?お誕生日のパーティーに鍋はないんじゃない?」
「へ?誕生日?誰の?」
まりやは心底分からないようだ、きょとんとしている
「私の、ですわ」
貴子は怒りのオーラを発している、まりやは少したじろいでしまった
「あのさまりや、じゃあ今日のパーティーってなんのつもりだったの?」
「何ってボジョレーの解禁日でしょ」
「ま〜り〜や〜さ〜〜〜ん、まさか私の誕生日を…」
「ごめん、忘れてた」
鍋を置いたまりやがパンと掌を打って謝った
「ふ…まさか旧来の宿敵の誕生日を忘れていたとは…」
「まりやお姉さま…もしかしてケーキなんかは…」
由佳里が恐る恐る聞いてみる
「うん、もちろんない」
貴子はがっくりと膝を落としてしまった
「ふふふふふふ、今までこんな人と張り合っていたかと思うと情けなくなってしまいますね」

507 :コマイ :2006/11/16(木) 18:47:59 ID:q+k9hipy0

「貴子さん、私ちゃんとケーキ買ってきましたから」
「紫苑さま…」
貴子がちょっとうるんだ目で紫苑を見つめる
「まりやお姉さまお一人に準備をお任せした奏たちも悪かったのですよ〜」
「私たちパーティーって聞いたからてっきり貴子お姉さまのお誕生日だと思って…」
「幼馴染の誕生日を忘れるまりやがおかしいんです」
みんなが貴子を慰める
「ちぇーあたし一人だけ悪者かい」
そして拗ねてしまうまりや
「ふー、まあいいですわまりやさん、これはこれで忘れられないお誕生日になりましたし」
「許してくれる?」
ちょっとかわいく言ってみるまりや、でも貴子は…
「とんでもない、これからまりやさんを強請るネタとして使わせていただきますわ」

508 :3-180 :2006/11/16(木) 19:28:02 ID:d31VFGs80

 今は、大丈夫かな?貴子さんお誕生日おめでとうございます。
構想数時間、書くのに数十分の即製品を投下します。
質は保証致しかねますがご笑覧下さい。

509 :3-180 :2006/11/16(木) 19:28:50 ID:d31VFGs80

ふたつの祝い

 祝いを述べていく者達。この中で本当に私に祝いを述べているのは何人いるのだろうか。
もしここに私が居なくて、『厳島貴子』と書かれた人形が置いてあったとしても、何事もなく物事が進んでいくだろう。
『厳島貴子の誕生祝い』なんて形だけ、参加してる者達は父と厳島グループとの繋がりを強めたいと思っている者だけなのだから。
心の中だけでため息を吐きつつ、笑顔で形だけの祝いに応えていく。それがここでの仮初めの主役に与えられた役割だから。


 少しばかり去年のことを思い出していると、
「ほーら、貴子。なーに主役がぼんやりしてるのよぉ」
 いきなりのまりやさんのアップに驚きつつ、応える。
「ちょっと、まりやさん。驚かさないで下さい」
 そう、今年は違う。厳島家を飛び出した私。その最初の誕生日。ここに居るのは、親しき人と大事な人だけ。
心から私を祝ってくれる人しかいない、祝いの席。私は心からの笑顔を浮かべみんなの中へ再び入っていった。

(終)

510 :Qoo :2006/11/16(木) 19:37:12 ID:OTvYPcZH0


 処女(オトメ)レジェンドスペシャルプロジェクト

  バースデイ・カプリッツィオ


◆ 9回表 11月16日:放課後

 嬉しそうに笑う会長。
 パーティは、宴もたけなわ。
 笑顔が溢れ、笑いがこぼれる。
 しかしあるプレゼントが、会長をぐらりと揺らめかせた。
 吹雪くは、血の雨。
 プレゼントに、紅い染みが拡がっていく。

 運命の歯車が、血に濡れて、ゆっくりと回りはじめる。

511 :Qoo :2006/11/16(木) 19:38:42 ID:OTvYPcZH0

◆ 1回表 11月14日:朝

 ふるん、ふるん、と柔らかそうなウェーブヘアーが揺れる。
 大丈夫かな…。
 早足で校門をくぐり、辺りの制服姿の生徒たちが別段慌てている様子もなく悠々と歩いているのを確認すると、
 烏橘加奈子は、「はぁ」と溜息をついた。
 加奈子は遅刻の常習犯、というわけではない。…と自分では思っている。
 礼節には厳しいこの学校である。
 目覚し時計は余裕をもってセットしているし、その時間にも一度はちゃんと起きられるんだけど…。
 どういうわけか、この聖應の校門をくぐるころには早足で急がなければ少しやばい状況になっていることが
 多々あるのだった。
 何でだろう。不思議だ。

 もう一度軽く溜息をついて目を前に向けると、しばらく前を歩く、後ろ姿ですら一際目立つそのお姿に目を奪われる。
 というか、ちょっと不自然な感じに一定の距離感を保って人が取り巻いているので、どう見ても目立っていたりもする。
 眉目秀麗、成績優秀、スポーツ万能、優しくって、それでいて謙虚で慎ましやかで、
 エルダー選挙史上最多得票数、聖應史上最高のエルダーとも言われる最強お姉さま、宮小路瑞穂さまと、
 その隣にして決して霞むことのない美貌と才気を誇る我らが生徒会会長、厳島貴子その人だ。
 お姉さまは寮生なので、同じ寮の生徒と一緒に登校されているのをたまにお見かけするのだが、
 今日は会長と二人だけのようだ。
 時折、周囲の生徒が遠慮がちに近づいて二人に挨拶をすると、お姉さま方が一、二言返され、
 そして声を掛けた生徒は嬉しそうに赤らめた顔でお辞儀をして再び一定の距離を取る。
 無理もない。加奈子は二人に挨拶をしようと、緩めていた足を心持ち早めるのだが、
 二人のお姿が近づくにつれ、本当に綺麗な人たちなのだと実感する。
 何か雑談しているらしい二人が楽しげに微笑する様子は、正に花が咲くよう、という表現がピッタリだ。

512 :Qoo :2006/11/16(木) 19:40:30 ID:OTvYPcZH0


「お早う、加奈子」
 お姉さま方との距離が大分縮まった時分に、後ろから声を掛けられた。
 声の主の姿が頭に浮かぶと、加奈子の顔がふわりと笑顔に変わる。
「あぁ〜、葉子さん。お早うございます〜」
 加奈子は振り向くと、おっとりと挨拶を返した。
 すらりとした痩身に、ボーイッシュなショートカットヘアー、いつもクールな瞳。門倉葉子さんだ。
「こんな時間に加奈子と会うなんて、珍しいわね」
「どういう意味ですか〜?」
 葉子さんの軽口に加奈子がブゥ、と頬を膨らませるが、葉子さんはふふっ、と軽く笑っただけで、
 そのまま加奈子の横を通り過ぎると、すぐ先を歩くお姉さま方に声を掛けた。
「会長、お姉さま、お早うございます」
 お姉さまと会長が振り返る。その自然な仕草すら、呆れるほど優雅。
「お早うございます」
「お早うございます。葉子さん、加奈子さん」
「お早うございま〜す」
 加奈子は挨拶を返すと、二人に追いついた葉子さんの横に並んだ。
「何を話していらしたんですか?」
「ふふっ、いえ、恐らく葉子さんたちが話していた内容の方が面白いと思うわ」
「残念ながら、加奈子とはそこで会ったばかりなんです」
「あらあら、それは残念ね」

513 :Qoo :2006/11/16(木) 19:46:35 ID:OTvYPcZH0


 楽しそうに話しはじめる会長と葉子さんを尻目に、頬に溜めた空気を尖らせた口からプー、と噴き出す加奈子。
「どうしたの?加奈子ちゃん」
 ご機嫌斜めの様子に気付いたお姉さまが加奈子に話しかけた。
「葉子さんってば酷いんですよ〜」
「どうしてよ。こんな時間に加奈子に会うのが珍しい、って言っただけじゃない」
 お姉さまが言葉を返される前に、葉子さんが反論する。
「珍しいって、それじゃあまるで私が毎日遅刻しているみたいじゃないですかぁ」
「違うの?」
「う…、遅刻はしてないですよぉ…」
 段々と勢いを失う加奈子。
「遅れては、いるのよね?」
「…ず、ずるいですよぉ葉子さぁん」
「何がずるいのよ」
 呆れたような目で見つめられ、釈然としない様子で睨み返す加奈子。
 まぁ、葉子さんとの言い合いで加奈子が勝てることなど皆無に等しい。
「結構早く起きてるんですけどぉ…、学校に着く頃にはちょっとギリギリになってるんですよね〜…」
「二度寝するから遅れるのよ、加奈子は」
「そうなの?」
「だってぇ…起きたときにまだ時間があるからもうちょっと寝ても大丈夫かなぁ〜って思ってぇ…」
「で、もう1度寝てしまうと…」
「ベッドの中でごろごろしてるとすごく気持ち良くってぇ…」
「言い訳にならないわよ」
 葉子さんの鋭い突っ込みが飛ぶ。
「うぅ」

514 :Qoo :2006/11/16(木) 19:48:35 ID:OTvYPcZH0


「ふふっ。そういうときは、ルールを作るといいかもしれないわね」
 とお姉さまが人差し指を立てた。
「ルールですかぁ?」
「例えば…葉子さんより先に登校できたら、葉子さんから何かしてもらえるとか」
「あぁ〜、それいいですねぇ」
 それは名案だ、とばかりにぽん、とグーにした拳を手の平に乗せる加奈子。
「お姉さま、加奈子を甘やかさないで下さい…。加奈子、学校に遅れないようにするのは生徒の基本的な義務よ」
「う…葉子さんのいけずぅ…」
「まぁまぁ葉子さん。今日は遅れずに済んだのですから」
 会長がそう言った矢先、お姉さまは右手の腕を持ち上げて「あれ?」という表情をすると、
「貴子さん、いつの間にかちょっと急がないとまずい時間になってますよ」
 と少し慌てた様子で会長に遅刻しそうだという旨を伝えてみせた。
「えっ?」
「あれ、うそ、今日は大丈夫だと思ったのに」
 思わずそんなことを口走ると、慌てて腕時計で時間を確認する加奈子だったが…。
  ………
「…ぷっ」
「…ふふふ…」
「…くっ…」
 まだまだ余裕のある時間と、3人が肩を震わせて笑っているのに気付く。
 鎌をかけられた、いや、担がれたのだ。

515 :Qoo :2006/11/16(木) 19:49:47 ID:OTvYPcZH0


「お姉さまぁ〜〜?」
 加奈子は低い声を出しながらお姉さまを恨めしげに見上げた。
「ごめんなさい」
 素直に謝るお姉さまだったが、笑いながらの謝罪では誠意も激減している。
「酷いですよぉ〜…」
「でも加奈子、問うに落ち、語るにも落ちたわね」
「えっ?」
「今日は?大丈夫だと思ったのに?」
「あっ…」
 咄嗟に口走ってしまった失言に気付くと、会長とお姉さまがまたプッ、と噴き出して肩を震わせる。
「誘導尋問なんてずるいですよぉ〜!」
「私じゃなくって、お姉さまに言ってよ。それに、自業自得よ」
「ぶ〜。それに、いつも遅刻してるわけじゃないんですからね〜」
「誰もそんなことは言ってないから大丈夫よ」
 お姉さまが膨れる加奈子をなだめるが、
「思ってはいるけどね」
 と葉子さんが、口の端を本の少し吊り上げる。
「グレちゃいますよ〜」
 葉子さんの売り言葉に再びブゥ、と頬を膨らませる加奈子だが、それは怒っている振り。
 いつものことだが、不思議と本気で葉子さんを怒る気にはなれないのだった。
「はいはい、急がないと遅刻してしまうわよ?」
「会長〜」
「ふふっ」
「ふふふふ…」
 辺りに少女たちの笑いが溢れる。
 加奈子の顔も皆につられてか、いつの間にか笑顔が戻っていた。

 今日も彼女たちの優しくて、退屈で、甘くて、大変で、楽しい日常が幕を開ける。

516 :Qoo :2006/11/16(木) 19:52:19 ID:OTvYPcZH0

◆ 2回表 11月14日:昼休み

 昼休み、生徒会室。
君枝「主よ、今から我々がこの糧をいただく事に感謝させたまえ、アーメン」
 君枝は慣れ親しんだ祈りを口ずさむと、弁当の蓋をぱかっ、と外して箸を握った。
 昼食を生徒会室で摂ることが多い君枝。 別に教室で食事を摂りづらいわけでも、友達が居ないわけでもない。
 昼休みも業務をこなすこともあるのだが、静かであり、自分の仕事場である生徒会室は
 この学院のどの場所よりも君枝のことを落ち着かせてくれた。
 生徒会の仕事は4人というギリギリの人数での運営は大変ではあるものの、
 それだけに役員内の連帯感は強く、それだけにこの空間はいわば自分の居場所…と言い代えることもできる。
 もちろん、あの人が来る場所ということも、この場所を神聖化させることに一役買っていた。 

 君枝は弁当の中で黄色い光彩を放つ卵焼きを摘まみあげた。 今日の弁当は君枝が自分で作ったものである。
 基本的に料理は苦手ではなく、毎日というわけではないが君枝が自分で弁当を作ることもしばしばあった。
 綺麗な色にできたな、と思っていると、自分の席でサンドイッチを食べていた加奈子さんがふと呟いた。
加奈子「その卵焼き、美味しそうですねぇ」
 あ、きたな。
君枝「一口いりますか?」
 加奈子さんと一緒に食事をしていると、「美味しそうですねぇ」、みたいなことを加奈子さんが口にすることがある。
 「美味しそう」と「食べたい」が同義であるかは分からないが、そういう場合君枝は四の五なく
 「いりますか?」みたいな感じで聞いてしまっていた。
 葉子さんの場合は、「あげないわよ」で一蹴するのだが、君枝はそういう風に突っぱねることは出来ない。
 加えて友達同士であれば、どれそれと交換ならいいよ、とでも言えるのだろうが
 (もしそう返せば、にぎやか好きな加奈子さんのことだ、喜んで交換に応じるだろう)、
 君枝は基本的に受身でしかも下手に上級生なだけに、一方的にあげる立場になるのが通例だった。

517 :Qoo :2006/11/16(木) 19:54:23 ID:OTvYPcZH0


 あ〜ん、と開いた加奈子の口に、摘んでいた卵焼きを放り込む。
「おいひぃ〜」
 自分でもうまく出来たと感じていた卵焼きは味覚の琴線を揺さぶることができたのか、加奈子さんはにこにこと満面の笑みを浮かべた。
 ここまでの反応だとさすがに"あげ甲斐"もあるといというものだろうか。
 その加奈子さんの表情に君枝も思わずくすっ、と微笑する。
「それじゃあお返しにたまごサンド少し食べます〜?」
「あ、いえ、私は…」
 加奈子さんのお決まりの返し文句に、君枝がお決まりの返し文句を返していると、がちゃり、と生徒会室の扉が開いた。

「お疲れ様」
「お疲れ様です」
「まだご飯食べてただけですけどね」
 加奈子さんの軽口を鼻息で流しながら扉をパタンと閉じると、「ちょっといい?」と葉子さんが二人の前まで歩いてきた。
「どうしたんですか〜?」
「明後日なんだけど、11月16日。何の日だか分かる?」
「11月16日ですか〜?」
 11月16日というと、今日から2日後。
 すぐにピンと来た。 というか、今日もそのことで頭を悩ませていたのだが…。
「会長の誕生日ですね」
「そう。加奈子、覚えてた?」
「勿論ですよぉ〜」
 そういう加奈子さんだが、挙動がちょっとぎこちない。
 何か嘘っぽいな。
「忘れてたのね」
 すぐさま葉子さんに突っ込まれると、「…えへへ…」と照れたようについつい、と鼻頭に触れる加奈子さん。
 やっぱり覚えてなかったか。

518 :Qoo :2006/11/16(木) 19:56:31 ID:OTvYPcZH0


「それで、君枝さんはもうプレゼントは買ったの?」
「いえ…ずっと考えていたんですけれど、なかなか決まらなくって…」
 そう。 数日前からずっと考えていたのだが、いまいちプレゼントが決まらないのだ。
 きっと何を贈っても会長は喜んでもらえる…とは思う。 うぬぼれじゃなくって、それはきっと会長の優しさから。
 でも、どうせ贈るのだったら心の底から喜んでもらいたいと思うのが人情というものだろう。
「丁度良かったわ。それじゃあ、明日の放課後にでも皆でプレゼントを買いに行かない?」
「それはいいですね」
 二つ返事で快諾する。
 このまま一人で考えていると、出口のない堂々巡りを続けかねない君枝には渡りに船だ。
 同じく「は〜い」と承諾した加奈子さんだったが、何かを思いついたらしく二人に提案を持ちかけてきた。
「あぁ〜、それじゃぁ、皆でお金出し合って1つのプレゼントを買いませんか〜?」
「…ふぅん。加奈子の案にしては悪くないじゃない」
「どういう意味ですか葉子さん…」
 揶揄するように言われ、ぐぐーっ、と睨みつける加奈子さんだったが、葉子さんの涼しげなポーカーフェイスは崩せなかった。
 何というか…本当に仲がいい二人だと思う。
「今日の放課後はどう?」
「今日は…明日の朝会の資料をまとめないといけないので…」
「私はぁ、今日はお金持ってきてないですぅ」
「そう。じゃあ明日の放課後ならいい?」
「えっとぉ、多分大丈夫だと思いま〜す」
「私も大丈夫だと思います」

519 :Qoo :2006/11/16(木) 19:58:12 ID:OTvYPcZH0


「じゃあ、明日の放課後ね。あと会長を驚かせるつもりだから、
 プレゼントのこととか会長の誕生日のこととかには触れないこと。いいわね」
「分かりました」
「はぁ〜ひ」
「約一名不安なのがいるけど…」
 じい、とツナサンドを口に咥えた加奈子さんを見下ろす葉子さん。
「はんへふはぁ…」
「…まぁいいわ。明日の仕事は少なくなるから、調整お願い」
「分かりました」
 「それじゃ」と葉子さんが踵を返すが、その背中を加奈子さんが呼び止めた。
「あ、ようほはん」
「ちゃんと食べてから喋りなさい…」
 呆れたように言いながら葉子さんが振り返る。
 加奈子さんは言われたとおり?ちゅ――、ごくん、と食べていたものをオレンジジュースで流し込んで言った。
「葉子さぁん、お昼ご飯食べました〜?」
「いや、まだだけど」
「ここで一緒に食べません〜?」
「遠慮しとくわ」
「えぇ〜、ぶぅ〜」
「待ち合わせがあるのよ。また今度ね」
 ひまわりの種を頬袋に溜めたハムスターみたいに膨れている加奈子さんを尻目に、
 葉子さんは手をひらひらと振りながら生徒会室を後にした。

520 :Qoo :2006/11/16(木) 19:59:36 ID:OTvYPcZH0


「私との食事より大事な待ち合わせがあるなんてぇ…」
 葉子さんの出て行った扉を見詰めながらぽつりと呟く加奈子さんの言葉に、君枝は思わず「えっ!?」と驚きの声を上げた。
「? どうしたんですかぁ?」
「か、加奈子さんと葉子さんって…その…そういう…」
 そういう関係なの?と聞きたかったんだけど…。
 でももしも…もしも二人がそういう関係だとすると、あんなに色々言われてるのに
 決定的に怒ったりしない加奈子さんの様子にも説明がつく。…のだろうか?
「??」
 何だかしどろもどろな君枝の様子に首をかしげる加奈子さん。
「いえっ、な、何でも…」
 段々と君枝の言葉尻が消沈していく。
 オレンジジュースをストローでちゅ―と吸いあげながら不思議そうに首をかしげる加奈子さんに、
 あはは…、と乾いた愛想笑いでごまかしつつ、弁当の方へ視線を逸らした。
 確かに聞いてみたかったけど、聞くのもちょっと怖い気もする…。
 加奈子さんのことだから、多分聞いたら教えてくれるだろう。
 でも、もし"そう"だったら…今後二人を見る目を全く変えないでいられる自身はちょっとなかった。
 もちろんもし答えが"そう"だとしても、二人のことを嫌いになったり軽蔑することはないと断言できる。
 ただ二人を見るときとか、二人の会話を聞くときにいちいちドキドキしてしまいそうで…。
 冷たい言葉を吐く葉子さんだけど、実は二人っきりのときには甘い言葉をささやいているのかな…なんて、
 って何考えているんだ私は…。

521 :Qoo :2006/11/16(木) 20:02:05 ID:OTvYPcZH0


 それに、自分の気持ちすらうまく分からないのに…と、何となくはばかられてしまった。
 好きな人かぁ…。
 溜息をつきながらふと「好きな人」というフレーズを頭に思い浮かべると、頭の中に浮かんでいた「好きな人」という文字が、
 ぼわん、と煙を立てながら会長と、お姉さまの顔に姿を変えた。
「わわっ!」
 それに驚いて思わず声を上げてしまい…当然加奈子さんに「どうしたんですか〜?」と聞かれてしまう。
「な、何でもないんです!」
 慌てて乾いた愛想笑いを振りまいてごまかしつつ(ごまかせているのか?)、視線を弁当へと戻す。
 変な人と思われてるかも…っていうか、絶対思われてる。 自分の想像に驚いて大声上げるなんて…ばかじゃないの。
 君枝は人前で思いもよらぬ痴態を演じてしまったことに猛省しつつ、
 加えて「好きな人」に会長とお姉さま両方を思い浮かべてしまったことにショックを受け、
 机に突っ伏してしまおうかと考えたところで、目の前に弁当があることを思い出した。
「はぁ…」
 再び重い溜息をつくと、お腹が腹減ったぞ〜と小さなうなり声を上げていることに気付く。 
 悩んでいても、お腹は空くのだ。
 君枝は箸を握りなおすと、先ほど食べ損ねた卵焼きを口の中に放り込んだ。

522 :Qoo :2006/11/16(木) 20:03:35 ID:OTvYPcZH0

◆ 3回表 11月14日:放課後

 パタパタパタ、とノートパソコンのキータッチ音が室内に響く。
 本日の授業過程は全て終了し、そのあとはいつもどおり生徒会活動と相成る。
 書類に目を通したりのキーボードをタイピングしたり書類にペンで記入を行うときの加奈子の表情は、
 いつもの様子からは考えられないくらい真剣だ。
 どうにも普段のぽや〜んとした口調や行動から、頭がちょっと…、的なイメージを持たれることの多い加奈子だが、
 普段気を抜きすぎているだけで、学校の成績やこういった生徒会活動での働きは優秀である。
 それは葉子さんをして、「いつもその調子だったらいいのに」と言わしめる。 誉め言葉かどうかは別として。
「ふぅ〜…」
 一段落つ〜いたっ、といった感じでキーボードのエンターキーをパチンッ、と叩くと、
 溜息をついて立ち上がり、プリンターから吐き出されてくるはずの紙を待ちながら、「ん〜…」と伸びをする。
 ふと窓の外へ目を向けると、雨が降っていることに気付いた。
 空は黒ずんではいない。 しかし、降り方はそこそこ激しい。
「あれ…、雨降ってたんですねぇ」
「丁度今降り出したようね…。空は明るいままだから、多分すぐ止むとは思うのだけれど…」
 加奈子の疑問に答えながら、会長がポット代わりのコーヒーメーカーの横に置いてある、
 紅茶の茶葉が入っている背の低い筒を手に取った。
「かっ、会長!会長がそんなことなさらなくても、私がっ!」
 そんな会長の行動を目ざとく見つけた君枝さんが、慌てて声を上げて立ち上がる。
 まぁ、君枝さんの性格からして会長が雑用なんかしていれば当然放っておかないわけで。
「いいのよ君枝さん」
「そ、そういうわけにはいきません!」
 どもりながらも会長の持っている筒を何とか奪い取ろうとする君枝さん。
 必死に懇願する様子から、会長にそのような手間をかけさせるわけにはいかない、という心の声が聞こえてくるようだ。
 会長はそんな君枝さんの困った表情を見つめると、少し苦笑しながら、
 「分かったわ。お願いするわね」と筒を君枝さんに手渡した。

523 :Qoo :2006/11/16(木) 20:05:11 ID:OTvYPcZH0


「はいっ、お任せ下さい!」
 それを嬉しそうに承る君枝さん。 敬礼でもしかねない勢いだ。

「そういえば会長。この茶葉はどこで買われたんですか?」
 君枝さんが承った筒のふたをぽん、と開けながら質問した。
「これ?これは駅近くのアーケードの紅茶専門店で買ったものよ」
「そうなんですか。前頂いたときに美味しい紅茶だと思っていたんです」
「ふふっ。それは良かったわ」
 そう言って会長が微笑する。
 しかし君枝さんが中のプラスチックの二重目のふたとぱかっ、と外すと。
「あれ…」
「どうしたの?」
「いえ、その…茶葉がなくなっているみたいです…」
 と申し訳なさそうに答えた。
「そう…。なら、新しい茶葉を買わないといけないわね。今から買ってこようかしら」
 そんなことを言い出す会長だが、会長命の君枝さんがそんな"暴挙"を許すはずも無く、当然慌てたように声を上げる。
「それなら私がっ」
「いいのよ君枝さん、私用なのですから…」
 先ほどと同じ問答を繰り返す会長と君枝さん。
 となれば、結果も同じである。 会長の少し困った表情も、やはり同じだ。
 ほんとよく見る光景だけど、飽きないなぁ…と自分のことを棚に上げて思う加奈子。

524 :Qoo :2006/11/16(木) 20:06:54 ID:OTvYPcZH0


「…分かったわ。それなら…」
 根負けした会長は自分のポケットの中から財布を取り出すと、お金を会長の机の上にあった封筒に入れて、
 その封筒にペンですらすらと何かを書き込んだ。 多分紅茶の種類などを書いているものと思われる。
 やおら書き終えると、「はい」と君枝さんに手渡した。
「場所は、分かるかしら」
「はい。何度かお店の前を通ったことがありますから」
「そう。なら、お願いするわね」
「かしこまりました」
 君枝さんは受け取った封筒を嬉しそうに握り締めると、生徒会室を後にした。
 それと入れ替わるように、用事があるとかで「すぐに戻ります」と言い残して外出していた葉子さんが帰ってきた。
「ただいま戻りました…。今、君枝さんが」
「ええ。紅茶を買いに行ってくれたの」
「…君枝さんのことですから、私が行くと言ってきかなかったんですね」
 会長がどうにも形容しづらい表情を浮かべているのを見て、
 葉子さんが先ほどの状況を見事言い当てた。
 すごい。 さすが葉子さん。
「ええ…。私用なのだから気にしなくてもいいのだけれど…」
「君枝さんは会長を慕ってますからね」
「確かに、それは嬉しいしありがたいわ」
「会長の役に立つことが嬉しいんです。 できればこういう雑用は君枝さんに任せてあげてください」
「…そうね。できればそうするようにするわ」
 何かを想うように軽くまぶたを閉じる会長。 何か、大人な会話って感じだ。

525 :Qoo :2006/11/16(木) 20:09:46 ID:OTvYPcZH0


 場が少し落ち着いたところで、加奈子はふと思いついて話題を変えた。
「そういえばぁ、今君枝さんが買いに行った紅茶って、いくらくらいするものなんですか〜?」
 さっき会長が封筒に入れたお札は、確か福沢さんだったはずだ。
「そうね…。ダージリンのファインのセカンドフラッシュだから…100グラム3000円くらいかしら」
「結構、っていうかかなりするものなんですねぇ…」
 はぁ〜…、と感嘆とも呆れともつかない溜息を漏らす加奈子。
 日頃飲むものにそんなにお金をかけるという感覚がちょっと分からない。
「まぁ、紅茶はピンからキリまであるからね。100グラム1万超えるものもあるんだし」
「お二人はそういう紅茶って飲んだことあるんですか〜?」
「多分、私はここで飲んだ紅茶が今まで飲んだ紅茶の中で一番高いと思う」
「あるにはあるけれど…。好みがあるから、値段が高ければ美味しいというものではないわ」
「ふぅ〜ん…そうなんだぁ…」
「まぁ、加奈子には紅茶のピンキリは分からないでしょうけれどね」
 二人の意見を頷きながら聞いていた加奈子に、葉子さんが冷淡な口調で茶々を入れる。
「そんなことぉ…」
「ないの?」
「…だったら葉子さんは分かるんですかぁ〜?」
 追い詰められた加奈子だったが、ない、とは言えず、でもある、と答えるのも癪なので、問題をすり替えて反撃に出る。
「分からないわよ?」
 葉子さんは手に書類を持って立ち上がりながら、しかして事も無げに答えた。
 分かるわよ、とそれが当然のことのように返されるのもなんだけど、だからといって暖簾に腕押しなのも面白くない。
 加奈子から目を逸らしながら、「わ、分かるわよ?」とか明らかに嘘と分かるような動揺を期待していた加奈子は、
 (そんな手に乗ってくれる人ではないことは分かっているけど…)上手く自分のペースにはまってくれない葉子さんが
 君枝さんの机に書類を置くのを見つめながら、つまらなそう唇を尖らせた。

526 :Qoo :2006/11/16(木) 20:11:44 ID:OTvYPcZH0


 葉子さんは加奈子の机にもプリントを何枚か置くと、
「報告書を回収しに行ってきます」
 と再び生徒会室を後にした。
「はい」
「行ってらっしゃ〜い」
 パタン、と扉が閉まるのを待ってから、加奈子は図らずも二人きりとなった会長に話しかけた。
「葉子さんってぇ、加奈子に冷たいですよねぇ」
 葉子さんがいないのをいいことに、愚痴をこぼしてみる。
 そうだ。葉子さんは冷たい。
「そうかしら…」
「そうですよぉ」
 会長やお姉さまとかと話してるときはすごく素直で言うこともすぐにうなずくのに、
 加奈子と話してるとばかにしたり、からかったりするのだ。
「でも加奈子さんと話しているときの葉子さんは、いつも楽しそうに見えるわ」
「加奈子をからかって楽しんでるだけなんじゃないんですかぁ?」
「ふふっ。それは否定できないけれど…」
 笑いながら言う会長に、やっぱり出来ないんじゃないですか、と軽く突っ込みたかったけど、すぐに会長が続ける。
「でも、からかうっていう行動は、相手のことを興味があったり、よく知っていなければできないことだと思うわ」
「ということは、葉子さんは私に興味があるのかなぁ…」
「かもしれないわね」
 そう言って会長が微笑んだ。
 加奈子の頭の中の誰かが「きっとそうだよ」と言う。 加奈子の頭の中の誰かが「そんなわけないだろう」と言う。
 そうだといいなぁ…とは思うが、本当のことは葉子さんしか知らないのだ。
 加奈子はプリンターからとっくの前に吐き出されていた紙を会長に手渡すと、再び外を見やった。
 しばらく前に降り出したらしい雨は、いつの間にかもうすっかり上がっていた。


 そして再び運命の歯車が、雨に濡れて、ゆっくりと回り始める。

527 :Qoo :2006/11/16(木) 20:19:33 ID:OTvYPcZH0


え〜、アホみたいに長いので、切ります(笑)。

今回は貴子の誕生日の話ですけど、貴子は脇役で、
主役は貴子以外の生徒会役員3人です。

頑張って面白くしていきます! ヽ(`Д´ )ノ Qooでした。m(_ _)m

528 :名無しさん@初回限定 :2006/11/16(木) 20:30:25 ID:B/NYHthY0

コマイさん
これはこれで完結なのでしょうか
まりやのことなのでそんなこといいつつプレゼントも用意してそうな気もしますが
ボジョレーに鍋というのも愉快ですね

3-180さん
その行動力に乾杯
貴子さんの誕生日に乾杯
瑞穂ちゃんも貴子さんも人形でない生活を手に入れたんですねえ

Qooさん
長編のようですね、もしかして裏もあるのかな
生徒会2年生トリオいいですね、申そう入ってるデコ眼鏡もいいですし
百合なのかどうなのかつかず離れずの葉子さん加奈子さんも微笑ましくていい感じです
おとボクの雰囲気が充満してて満幅でした

529 :名無しさん@初回限定 :2006/11/16(木) 22:00:23 ID:y319D7260

せいとかいちょー、たんじょうびおめでとー

530 :コマイ :2006/11/16(木) 22:48:40 ID:q+k9hipy0

>>528

紫苑「この鴨鍋とても美味しいですね」
貴子「本当に美味しいですわまりやさん、ワインにもよくあいますし」
奏 「飲み口が良いのですよ〜」
由佳里「明日は宿酔いですね」
瑞穂「ああ・・・みんなそんなに飲んで」

−食べ終わって−

紫苑「貴子さん、私プレゼントを作ってきたんです」
貴子「ありがとうございます紫苑さま…これ…お洋服ではありませんか」
由佳里「私も作ったんです、ビーズのアクセサリーなんですよ」
奏「奏はリボンを作ったのですよ〜」
瑞穂「私は…その…不器用なので買ってきたものなのですが…」
貴子「お姉さま…みなさん…私…とてもうれしいです」
まりや「貴子ーあたしもプレゼント」
貴子「まりやさん…」
貴子が包みを開けてみると…でてきたのは未開封のボジョレー
貴子「って今飲んでたワインをラッピングしただけではありませんかっ!」

瑞穂「本当に忘れてたんだ」

531 :名無しさん@初回限定 :2006/11/16(木) 22:49:20 ID:OTvYPcZH0


貴子さん、誕生日おめでとうございます!

危うく言い逃すところだった(笑)。

>>528
あの、実は加奈子だけ同級じゃないんです。
葉子と君枝は2年生で、加奈子だけ1年生。 豆知識でした(笑)。

532 :528 :2006/11/16(木) 23:17:04 ID:B/NYHthY0

>>531
そうでした、指摘ありがとうございます
加奈子は奏や由佳里と同級生で1年でした
でないとエトワールが成り立たない
葉子さんとの絡みで加奈子も2年のように錯覚してました

533 :名無しさん@初回限定 :2006/11/16(木) 23:43:50 ID:y319D7260

加奈子さんが1ねnごほごほ…新入生だったのは知りませんでした。
てっきり君枝さんたちと同学年だと思っていたのに。

Qooさんのバースデイ・カプリッツィオですが、加奈子さんの一人称なんでしょうけど、どうも三人称のように感じるときもあります。
加奈子さんの一人称が「加奈子」だからでしょうか?

534 :名無しさん@初回限定 :2006/11/16(木) 23:49:35 ID:anIfZJYJ0

誕生日SSきてますねー、貴子さんおめでとう〜!

535 :名無しさん@初回限定 :2006/11/17(金) 00:59:12 ID:R9lbNjO90

>Qooさん
ちなみに加奈子さんじゃなく可奈子さんだあぁぁぁ……
それ以外はGJ! とてもGJ! 

536 :名無しさん@初回限定 :2006/11/17(金) 11:30:00 ID:FFUr/7nX0

まりや「それにしても貴子ばっかりずるいわね」
貴子「なぜです?」
奏「いっぱいSS書いてもらったのですよ〜」
まりや「あたしらんときゃぜんぜん書いてもらえなかったってのに」

一子「あの…私のは書いてもらえるんでしょうかね〜〜〜」

537 :Qoo :2006/11/17(金) 16:39:39 ID:m3rAu3RQ0


バースデイ・カプリッツィオ、続きです。 ドゾ(泣)。

538 :Qoo :2006/11/17(金) 16:42:40 ID:m3rAu3RQ0

◆ 2回裏 11月14日:昼休み

「お姉さまね。分かったわ」
 昼休み。お姉さまのクラスに訪れた葉子は、受付嬢の方にお姉さまを呼んでいただくようお願いしていた。
 しばらくしてお姉さまがこちらへと歩いてくる。
「美智子さん、ありがとう」
「いえ」
 美智子さんと呼ばれたその人はにこりと微笑すると、他の生徒のところへ歩いていった。
 お姉さまを呼ぶときに、名前で話しかけていたように聞こえたが、お姉さまと親しいのだろうか。
「葉子さん、どうしたの?」
「少しお話がありまして。お時間よろしいですか?」
「ええ、大丈夫よ」
「それでは、廊下で。長い話ではありませんから」
「分かったわ」
 数歩歩いて廊下へと場所を移した。
 室内を出ると、廊下は少し温度が低いことに気付く。
 少し暖かい空気を浴びたせいか、慣れていたはずの冷気にぶるっ、と震えが走った。
「それで、話って何かしら」
 にこっ、と微笑するお姉さま。 可愛い…じゃなくて。
 話の内容は当然会長の誕生日のことなのだが、少し思考が逸れてしまった。
「…11月16日って、何の日かご存知ですか?」
「11月16日?…何かしら」
 不躾とは思ったが、とりあえずクイズ形式で質問をぶつけてみる。
 下唇に人差し指を当て思案するお姉さまだったが、しばらく考えたあと、
「…ごめんなさい、分からないわ」
 と申し訳なさそうにギブアップした。
「いえ、もしご存知ないないのであればお耳に入れておきたいと思っていただけですから」
「そうなの。それで、11月16日は何の日なのかしら」
「会長の、誕生日なんです」
「貴子さんの…そう」
 少し驚いたような表情を浮かばせるお姉さま。

539 :Qoo :2006/11/17(金) 16:45:18 ID:m3rAu3RQ0


 ただ、プレゼントを渡して欲しいとは言わない。 そういうことを言いに来たわけではなかった。
 強制では意味がないのだ。 お姉さまの自主性によるものでなければ。
 まぁ、こうやって誕生日のことを伝えただけでも多少なりとも強制力はあるのかもしれないが、それくらいは勘弁してほしい。
「私からは以上です。それだけを伝えたかったので。昼休み中、失礼しました」
 軽く頭を下げて踵を返すと、二、三歩ほど歩いたところで「待って」と呼び止められた。
「はい」
「11月16日…あさってよね。生徒会の皆は何か予定があるのかしら。プレゼントを渡すだけ?」
「ええ、そのつもりでしたけれど…」
「なら、うちの寮でパーティをしない?」
「パーティ、ですか」
「ええ。そんなに豪華なことはできないと思うけれど、奏ちゃんや由佳里ちゃんも…きっと祝福してくれると思うわ」
 確かにいいアイディア…だけど。
「まりやお姉さまも…ですか?」
 と聞くと、そういう質問が来るのを予想していたかのようにふふっ、と微笑する。
 まりやお姉さまだけ抜いたのは、今の質問を導くロジックだったのだろうか。

540 :Qoo :2006/11/17(金) 16:52:23 ID:m3rAu3RQ0


「ええ。祝ってくれると思うの。…ダメかしら」
 少し目を細めて懇願するお姉さま。
「いえ、願ってもないことです」
「ありがとう。皆に伝えておくわね」
「よろしくお願いします」
 失礼します、と頭を下げると葉子は踵を返した。
 歩きながら、ついさっきの懇願するお姉さまの表情を思い返す。
 目の前でお姉さまにあんな表情をされて「Yes」と答えない生徒は、この学院にはいないと思う。
 さっきお願いされたことはこちらにとっても願ってもないことだったが、あんな風にお願いされてしまったら、
 頼まれたことがどんなことであっても、別段エルダーシンパではない自分ですら揺らいでしまうかもしれない。

 …そんなことを考えている自分に気付くと、葉子は軽く頭を振った。
 何考えてるんだろ。
 葉子は頭の中を切り替えると、生徒会室に向かうべく足を早めた。 

541 :Qoo :2006/11/17(金) 16:54:28 ID:m3rAu3RQ0

◆ 3回裏 11月14日:放課後

 放課後。 いつもなら生徒会室で作業をしている時間帯だが、葉子は今並木道を歩いている。
 校舎の外を歩いているからといって、別に生徒会活動をサボっているわけではない。
 目的地は学院寮だった。生徒会活動とは特に関係はない。
 ん? …ということはサボリに近いのだろうか。
 そんなどうでもいいことを考えながら、学院寮を目指す。

 学院寮に到着し、玄関の扉を開けた。
「どなたかいらっしゃいませんか?」
 葉子の声が廊下に響き渡る…がすぐに静寂が戻る。 静かだ。
 教室を出られたことは確認済みだ。 かばんも残されていなかった。 陸上部にも顔を出されていない。
 未だ教室と陸上部以外の校内にいらっしゃる可能性も無きにしもあらずだが…。
 とりあえずは必然的に自室に戻っている可能性が高い。
 もし自室にいて葉子の声が聞こえないのであれば、このままでは埒があかない。
 失礼します、と小さく建前上の挨拶を呟くと、靴を脱いで中に上がることにした。
 ひんやりしている廊下を進む。 靴下越しの床が冷たい。
 事前に調べておいた部屋の前に到着すると、コンコン、とノックしてみる。
「ん〜?誰〜?由佳里?」
 予想的中。
「2年○組の、門倉葉子と申します。まりやお姉さまにお話があって参りました」
 そう。 ここは御門まりやさまの部屋だった。
 用件はもちろんあさってに迫った会長の誕生日に関することだ。
「門倉葉子?」
 疑問符つきで葉子のフルネームを繰り返すと、こちらに歩いてくる気配ののち、扉が開いた。
「あれ、あんた…」
「いつも会長がお世話になっております」
「別に世話はしてないけど…何か用?」
 訝しげな目を向けられる。 掴みは失敗か。

542 :Qoo :2006/11/17(金) 16:56:42 ID:m3rAu3RQ0


「お聞きしたいことと、お伝えしたいことがありまして。…あさって、11月16日なんですけれど、何の日か分かりますか?」
 お姉さまに聞いたときと同じように質問してみる。
 やはり不躾とは思ったが、相手の反応を見るにはこれが一番だろう。
 葉子の目をしばらく見つめ一瞬何かを考えるように目を逸らすと、
 扉のかまちに背もたれ、再び葉子の目に視点を戻して答えた。
「…さぁ。何なのよやぶから棒に」
「…ご存知の様ですね」
 答えが出たからこそのこの速い反応と判断して、断言してみる。
 二人とも幼稚舎のころからの知り合いと聞く。 犬猿の仲とはいえ長い付き合いだ。
 それに生徒会関係者の葉子がXデーの2日前に来たとなれば、ピンと来てもおかしくないと踏んだのだが…。
「知ってたからって、何なの」
 言って、はぁっ、と息を吐くと髪をかき上げると、すう、と目を閉じるまりやお姉さま。
 そしておもむろに目を開け、軽く睨みをきかせた。 …さすがに迫力がある。
 会長と互角にやりあってきた人なのだ。 ある程度は覚悟していたが…。
 しかしこの反応。 ビンゴ…と見ていいのだろうか。
「喧嘩をしにきたわけではありません。ただ、まりやお姉さまのお力をお借りできればと思いまして」
「あたしの力?」
「ええ。お互いを知り尽くしたまりやお姉さまであれば、会長のお喜びになるものも用意できるのではないかと思いまして」
「…ふ〜ん。あたしが貴子の嫌がるものを用意するとかは考えないわけ?」
「まりやお姉さまの性格からして、そういったことでダメージを与えるのを嫌うのではないか、との確信がありますから」
「…ほんと、いい度胸よね。あんた」
 しばらく葉子の目を見つめると、ふっ、とまりやお姉さまの表情がくずれ、口元に笑みが浮かんだ。
「小心者ですから、引く勇気がないだけです」
 実のところ、さっきは内心少したじろいでいたりする。
 ただ、そういう態度が表に出ない体質なだけだ。

543 :Qoo :2006/11/17(金) 17:00:07 ID:m3rAu3RQ0


「よく言うわ…。で、何。貴子にプレゼントを渡して欲しいわけ?」
「いえ、結局の目的はまりやお姉さまにXデーがもうすぐ、ということをお伝えしにきただけです。
 "させられた"プレゼントでは、意味がありませんから」
 ここまで言ってしまった以上、ほぼ「渡して欲しい」と言ったと同義なのだが、やはりここは一応建前上の言葉として。
「つまりはあたしが自主的にプレゼントをして欲しいと、そういうわけ」
「有り体に言えば」
「…分かったわ」
「ありがとうございます」
 最後に、お姉さまにこの件を伝えると寮でパーティをしたいとおっしゃっていたことと、
 誕生日に関することは会長には秘密にして欲しい旨を伝えた。
 プレゼントの件は「分かったわ」とはおっしゃったが、本当に贈るかどうかはやはり本人の自主性に委ねられる。
 とはいえ、とりあえずこれで用件は終了。
 礼と挨拶を述べて踵を返そうとしたところで、「あ、ちょっと待った」と呼び止められた。
「贈るのはどんなものでもいいのよね」
「会長のことを想ってのものであれば、恐らくは」
「分かったわ」
 にやり、とまりやお姉さまが笑う。
「弱点と、良いプレゼントは必ずしも相反するとは限らないことは、理解しております」
「……あんた、いい黒幕になれるわ」
 ふっ、と鼻で微笑するまりやお姉さま。
「お褒めに預かり、光栄です」
 「それでは」「あいよ」と挨拶を交わし、まりやお姉さまの部屋を後にする。

 多少計画とは違ったが、大方満足のいく結果を得られた。
 恐らくプレゼントの本質とは違う部分で、会長に一番喜ばれるプレゼントができるのは、まりやお姉さまだと確信していた。
 まりやお姉さまが贈りそうなプレゼントを思い浮かべ、葉子は楽しげに微笑した。

544 :Qoo :2006/11/17(金) 17:02:11 ID:m3rAu3RQ0

◆ 5回表 11月15日:放課後

 次の日の放課後。
 学校も無事に終わり、いつもなら生徒会活動に気合を入れる――ところだが、
 今日は誕生日が明日に迫る会長のプレゼントを皆で買いに行くという別の予定がある。

 葉子はある目的を達成すると、生徒会室へと戻った。
「どうでしたか〜?」
「帰られたわ」
 その目的とは、会長が学院を出て行くのを確認しに行くこと。
 その前には今日会長に仕事をされると困るので、会長が生徒会活動をせずそのまま帰るように説得する役割も担っていた。
 ただし、ホームルームが長引くというイレギュラーな状況もあり得たので、
 その場合は君枝さんがピンチヒッターとしての役割を担う予定だった。
 両方ともホームルームが長引いた場合は…運が悪かったと諦めるしかない。 可奈子に任せるのは論外だった。
「どうやって会長を説得したんですか?」
「今日の仕事は少なくてすぐに終わるからって言いくるめたの」
 運よくスムーズにホームルームが終了したので、生徒会室へと急ぎ室内に会長がいないことを確認すると、
 会長の教室へと向かい、途中で鉢合わせた会長にその旨を伝えたのだ。
 今までこういったケースはなかったので、多少怪しまれた可能性もあるが、致し方ない。
「言いくるめたなんて、葉子さんあくど〜い」
 可奈子が横から茶々を入れる。
「頭脳的って言って。それで、今日の仕事はどれくらい?」
「えっ…と、今日中に終わらせなければならないのは…」
 君枝さんが数個の案件を挙げた。
「それとあさっての会の資料も今日中にある程度進めておいたほうがいいと思います」
「そう…」
 備え付けの壁掛け時計を見上げると、時刻は4時前。
 終わってからプレゼントを探しても何とかなるだろう。
「それじゃあ、始めましょ」
「そうですね」
「はぁ〜い」

545 :Qoo :2006/11/17(金) 17:04:38 ID:m3rAu3RQ0


「それでは行きましょうか」
「了解」
 生徒会室を施錠し、カギを保管場所に戻すと、皆揃って昇降口へ歩き始めた。
 一応ノルマはほぼ消化した。 時刻は現在午後5時15分。
 移動時間が30分と仮定しても、6時に閉まる店はそうそうないだろう。 色々考えながら買う時間はありそうだ。
「会長とどこかで鉢合わせしたりしないかなぁ…」
 可奈子が心配事を口にする。 可能性は少ないが、ゼロではない。
 バレてしまえばサプライズプレゼントというのは台無しになる。
「恐らくはまっすぐ帰られたとは思いますけれど…」
「ありえないことじゃないけど、大丈夫よ」
 一度昇降口で三人共別れて靴を履き、再び合流すると学院の並木道を通って外へ向かう。
「どこに行きますか?」
「うぅ〜ん…アーケードにでも向かいますぅ?」
「そうね…。あ、そういえば」
「どうしたんですかぁ?」
 可奈子と君枝さんは二人の間で何かを思い出した様子の葉子を見上げた。
「明日の放課後、お姉さまの寮で誕生パーティ開くことになってるから」
「誕生パーティ…ですか?」
「会長の誕生日のことをお姉さまのお耳に入れたときに、
 お姉さまがそれならうちの寮でパーティでもしないかって言ってくださったの」
「さっすがお姉さまですねぇ〜」
「ええ。きっと会長もお喜びになると思うわ」
「あ…、でもぉ…」
 うんうん、と頷いていた可奈子だったが、ふと、その表情を曇らせた。

546 :Qoo :2006/11/17(金) 17:08:00 ID:m3rAu3RQ0


「何か問題?」
「いえ、その、まりやお姉さまが…」
 言葉を濁らせる。
 まりやお姉さまと会長は犬猿の仲というのは有名な話…というか、
 生徒会役員である可奈子も二人の衝突は何度か経験したことがあるはずである。
 つまり、一緒にパーティとかは少し難しいのではないか、そう考えたのだろう。
「あぁ、それなら大丈夫よ。 昨日お話をしておいたから」
 少し笑いながら言った葉子の言葉に、可奈子は何かピンと来たらしい。
「あ〜、もしかして昨日の放課後に外出したのってまさか…」
 別に会長のパーティに出席して欲しい、みたいなことを言いにいったわけではないのだが、まるっきり外れているわけではない。
「可奈子にしては察しがいいわね」
「えへへぇ…」
 顔がにやける可奈子。 実はあまり誉めていないことには気付いていない。
「最近のまりやお姉さまと会長は、何だかお互いに対する険が取れた風でいらっしゃいますからね」
 そうなのだ。 二人が鉢合わせるといつもギスギスした雰囲気になってしまっていたのだが、
 最近は二人が衝突しているところを見なくなった。 それどころか、二人が仲良く話しているところを見かけることもあった。
「先の文化祭くらいからかしらね…」
「そういえばぁ、何だか最近会長の雰囲気が柔らかくなった感じがします〜」
「可奈子にも分かるんだから、相当よね」
「…どういう意味ですかぁ」
 突っかかってくる可奈子だったが、葉子はいつもどおり「さぁ」と涼しい顔で話を流し、話題を本題へと戻した。
「それよりも、プレゼントを決めましょ」
 可奈子が膨れてブーたれているが、気にしない。

547 :Qoo :2006/11/17(金) 17:13:02 ID:m3rAu3RQ0


 さて。 アーケードに着くまで3人で色々とプレゼントについて考えてみた。
 まず予算は3人合わせて1万円強。 無理すればもうちょっといける。
 使って喜ばれるものをというのは当然だけど、筋金入りのお嬢様ということで、実用品の類は避けたほうがいい。
 服などは高くていいものをいっぱい持ってそうだからこれもなし。
 カジュアルな服をプレゼントという案もあったが、会長がパーカーやジーンズにスニーカーなどというような
 ファッションをしている様子は想像がつかない。 思ったより似合うかもしれないけど…。 ということでこれもなし。
 あと下着というのも出た。 当然却下された。 これは可奈子の案だった。
 そして色々と出てきたアイデアをふるい落していった結果、見事プレゼントすることになったアイテム。
 それは、会長がいつも身に着けているリボンだった。
 会長は、学校の中では華美な装飾をあまり好まない会長らしいシンプルなデザインのリボンを
 身につけていることが多いけど、もう少し可愛いリボンをしてみてもきっと似合うと思う。
 ということで、リボンというアイデアが採用されたわけだが…、
 さすがに3人合わせてのプレゼントがリボンだけというのはちょっと寂しい。
 実際ヘアーアクセサリの店に行ってみても、値段が高いのはそうそうなかった。
 ということで、3人でよさそうなリボンを一人一人選んで買った。
 1つは納得のいくプレゼントができたわけだけど、懐はそんなに痛んでいない。
 プレゼント探索はまだまだ続く。

 結局色々と考え抜いたのち、納得のいくプレゼントが決まったのはそれから1時間も後のことだった。

548 :Qoo :2006/11/17(金) 17:17:47 ID:m3rAu3RQ0


え〜、To be continued です。
これで半分くらいでしょうか。

 以下、嘆きとお詫び。

ぎゃぼ―――――――――――!!!!
ありえねー、やべー、名前間違うとか何て初歩的なミス…。
後のは修正しておきますので、ほんとごめんなさい。
可奈子ファンの人マジすみません。m(_ _;;)m

うわぁすげーショック…
あぁ、マジへこむー…。   ああぁぁぁぁああああQooでした。 O.../rz

549 :名無しさん@初回限定 :2006/11/17(金) 18:22:12 ID:+Qzqkqs30

    , ´ ヾ ヽ
..  ´∬∫∫∬
  ∫∬゚ ヮ゚ノ∬  続き楽しみにしてます〜
   /({O[GJ]O
    と/__〉
     ~し'ノ

550 :名無しさん@初回限定 :2006/11/17(金) 21:50:38 ID:JpGuo1wO0

乙です!

ところで珍しく(?)スレの容量がオーバーしそうですね。現在455KB。これでは700行かないで次スレかも。

551 :名無しさん@初回限定 :2006/11/20(月) 14:41:17 ID:XHLU6yJB0

容量オーバー?

552 :名無しさん@初回限定 :2006/11/20(月) 15:44:50 ID:JmFtesiL0

一番下の新着レスの表示の上に、〜KBって赤い表示があるさね。
それが500を越すと書き込めなくなるのさ。

553 :名無しさん@初回限定 :2006/11/21(火) 00:04:38 ID:yJnHripI0

この おとボクワールドが
一子ちゃんの 夢物語で
一子ちゃんと幸穂様のお話を
断片的に 浮かんできてる
一つの話になったとして
どこにもっていっていいもんだろう?

554 :小ネタをひとつ :2006/11/21(火) 18:54:48 ID:JLiwFwM10

現文の授業が終わり

美智子「まさかいきなり漢字の小テストをやらされるなんて思いませんでした」
瑞穂「普段パソコンなんかをいじっていると漢字が読めても書けなくなっていますね」
紫苑「私あわてて『はがんいっしょう』を『破顔一生』と書いてしまいました」
瑞穂「『破顔一笑』にっこり笑うことですね」
圭「破顔一笑…破顔は中国戦国時代の武将よ」
瑞穂「え?そうなんですか?」
圭「呉の武将で城を陥とされたとき単騎で敵陣に突入したの」
美智子「無謀な人ですね」
圭「その死に際の笑みは見事なものだったそうで死に際の微笑を破顔一笑と言うようになったの」
紫苑「時が流れて現代の日本ではにっこり笑うという四字熟語になったのですね」

圭「ウソだけどね」

555 :名無しさん@初回限定 :2006/11/21(火) 19:13:52 ID:jAU8gU5U0

民明書房刊
「旧説後漢書」「南朝宋三国志演義」








ttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/408859469X/hatena-22/ref=nosim

556 :名無しさん@初回限定 :2006/11/21(火) 21:43:52 ID:QYhlTQy60

アフィ入れんなクズ

557 :名無しさん@初回限定 :2006/11/21(火) 21:52:14 ID:jAU8gU5U0

すまん

558 :小ネタをひとつ :2006/11/21(火) 23:50:51 ID:JLiwFwM10

由佳里「それにしても私たちもうすぐ2年生ですか」
奏「来年は修学旅行があるのですよ〜」
由佳里「楽しみです」
美智子「私たちはオーストリアに行ったんですよ」
まりや「いやーあんときゃ大変だったわ」
紫苑「何しろ泊まった宿というのが…」
圭「『住み潜む恐怖』の住処だったものね」
まりや「雷鳴と共に襲い掛かってきたからねー」
紫苑「一応は悪魔祓いの実習を受けていたので何とかなりましたが」
圭「おどろいてアレを召還してしまったし」
美智子「幸い死者が出なくてよかったですよ」
由佳里「私…私…修学旅行行かなくていいです」
奏「奏も遠慮しますのですよ〜」
圭「素直すぎてからかいがいがないわね…」

瑞穂「あのね、由佳里ちゃん、奏ちゃん、カトリックはエクソシスト否定してるのよ」

559 :東の扉 :2006/11/22(水) 03:59:44 ID:m1iPHu0i0

まりやが由佳里ちゃんの恥ずかしい秘密を知り、辱めたことをきっかけに、2人の間には決定的な溝ができてしまった。
色々あったけど、あとはまりやと由佳里ちゃんの仲を元に戻すだけだし、まりやも自分の過ちに気づくことができた。
でも、油断は禁物だ。そう。本当の勝負はこれからなんだ。

〜ほころび始めた縁 後編 修復の光〜

コンコン……。
僕は由佳里ちゃんの部屋をノックした。
「はい。どなたですか?」
「瑞穂です。入っていいかな?」
「ええ。どうぞ」
由佳里ちゃんはそう言うと鍵を開けて僕を部屋に招き入れてくれた。

560 :東の扉 :2006/11/22(水) 04:03:22 ID:m1iPHu0i0

「調子はどう?」
「お姉さまや奏ちゃんたちのおかげで、最近はだいぶいいです」
「そう。それはよかったわ」
僕は、それを聞いて少し安堵した。
「……それでお姉さま、何か御用ですか?」
「うん。まりやのことだけど、そろそろ許してあげたらどうかって思うんだけど……」
「イヤです」
そんなに即答しなくても……。
「……由佳里ちゃん、まりやにされたことが辛いのはわかるけど、辛いのは由佳里ちゃんだけじゃないのよ?」
僕は、なるべく優しく諭すように自分の意見を言うことにした。
「まりやだって、あれからかなり堪えてたし、やつれていたわ。食事ものどを通らなくなったくらいだからね」
「………! そんな、お姉さままで、あの女の肩を持つんですか!?」
「落ち着いて由佳里ちゃん。私はそんなつもりじゃないわ。ただ、由佳里ちゃんにも現実だけはしっかりと見てほしくて……」
「現実って何ですか!? お姉さまもあの女みたいに、私が悪いっておっしゃりたいんですか!?」
まりやのやつれた姿を思い出した僕はさすがに少しカチンと来て、ちょっと声を荒げてしまった。
「由佳里ちゃん、いい加減にしなさい。辛いときに甘えるのはいいけど、甘えすぎていると、すっかり浸ってしまって、
それが当たり前だと思うようになって堕落していってしまうわよ? 少しは今の自分の姿を見つめてみなさい」
それがいけなかったんだろう。それを聞いた由佳里ちゃんは、突如目に涙を浮かべながら怒鳴り始めた。
「なんですかそれは! お姉さままでまるで全部私が悪いみたいに!」
「ちょ、ちょっと由佳里ちゃん、そこまでは言ってないわ」
「お姉さまに、私の何がわかるっていうんですか!?」
「………」
「あの女に恥ずかしいセリフを無理やり言わされて、恥ずかしいことを限界を超えて何度もされて、挙句にはしたないおねだりをしてしまった
私の気持ちが、お姉さまにわかるっていうんですか!?」
「………!!」

561 :東の扉 :2006/11/22(水) 04:05:58 ID:m1iPHu0i0

僕は反論できなかった。まりやのことを考えるあまり、由佳里ちゃんの気持ちをおろそかにしてしまっていた。
というか、今の由佳里ちゃんの状態を、完全にはき違えていた。
僕は由佳里ちゃんの心の傷は癒えたんだと思い込んでいたけど、そうじゃなかった。
僕や奏ちゃん、一子ちゃんといる時は、傷の痛みを忘れていられただけだったんだ。
由佳里ちゃんの言葉が、それを物語っている。そもそも、心の傷が癒えたのなら、まりやのことも許せているはずだ。
由佳里ちゃんには、おそらく心の中に誰かがいるんだろう。それが誰かは知らないけど。
だから、それ以外の人に感じちゃったことが、気持ちよくなったことが、そうしてほしいとおねだりしたという事実が、
由佳里ちゃんを苦しめているんだ。
おそらく、由佳里ちゃんが本当に許せないのはまりやではなく、自分自身なんだ。
「もういいです。私のことはほっといてください!」
僕は、由佳里ちゃんにそう言われて、仕方なく今日は引き下がることにした。
「ごめんね、由佳里ちゃん……」
最後にそう言って、僕は部屋の扉を閉めた。

562 :東の扉 :2006/11/22(水) 04:36:38 ID:m1iPHu0i0

「なんで? なんでお姉さまにまで、あんなこと言われなきゃいけないの!?」
私は、お姉さまが帰った後、部屋でそう愚痴を言いました。
そうは言っても、お姉さまの気持ちも理解はしていました。お姉さまは、ただ私たちを仲直りさせたいだけなんだって……
私のためを思って言ってくれてることも、わかってはいました。
でも、私はまだ立ち直ってはいません。ですからもう少し、お姉さまの優しさに触れていたかった。
だから、そんな私の気持ちを裏切ったことが許せなかったんでしょう。
同性でありながら、お姉さまのことを好きになってしまった自分。私は、それを自覚していました。
だから、それ以外の人からは性的な意味で感じたくなんかないし、気持ちよくなりたくもありません。
なのに、感じてしまった。気持ちよくなってしまった。何度もイってしまった。それどころか、自分からそれをお願いしてしまった。
私は、そんな自分がつくづくイヤになりました。だけど、お姉さまは、そんな私に優しくしてくださった。
だから、もう少しだけ、お姉さまの優しさに浸っていたかった。私の心が癒えるまでの間……。
なのに、他ならぬお姉さまに、私のことを否定された。それが悲しくてたまりませんでした。
「今の自分の姿……か……」
そういえば、街でナンパされて以来、あの女の顔を見る機会もありませんでした。今どんな状態なのかは、声以外では判断できません。
お姉さまは、感情を爆発させてしまったさっきの私を見て、愛想が尽きてしまったのでしょうか?
「やだ……そんなの……絶対にやだよ……」
私は、いつしか泣いていました。
「見つめなおさなきゃ。今の自分を、そして現実を……」
そうしなきゃ、お姉さまに完全に嫌われてしまう……。

563 :東の扉 :2006/11/22(水) 04:38:54 ID:m1iPHu0i0

コンコン……。
そして翌日、お姉さまが部屋にやってきました。
お姉さまにちゃんと謝ろう。そして、ちゃんと仲直りしてもらおう。そう思っていると……。
「由佳里ちゃん、昨日はごめんなさいね」
なんと、お姉さまの方から私に謝ってくださいました。
「私、2人を仲直りさせることにあせって、由佳里ちゃんの気持ち、ぜんぜん考えてなかった。こんなんじゃ、私もまりやと同じね」
「お姉さま……そんな……」
不思議です。お姉さまにどうやって謝ろうか悩んでいたのに、お姉さまの言葉を聞いて、それは自然に出てきました。
「わ、私こそごめんなさい。お姉さまが私のために一生懸命になってくださっているのに、私だけ自分のことしか考えてなくて……」
「それは、まあ、落ち込んでるときはしょうがないと思うし……じゃあ、おあいこってことで、謝罪はこれで終わりましょうか」
「はい」
私は、不思議なくらいお姉さまに対して自然に、素直にそう返事をしました。
「それで、お詫びといっては何だけど、由佳里ちゃんの望みを、なんでも1つだけ叶えてあげたいの」
「えっ!?」
私は、お姉さまの言葉が信じられませんでした。なんでも……お姉さまは確かにそう言ってくださった。
「ホントになんでも……ですか?」
できれば、お姉さまに優しく抱いてほしい……でも、そんなこと、こんな時に言うのは反則だよね。
そう思い、別のことをお願いするつもりでした。
「ええ。なんでもよ。エッチなことも含めて、ね」
すると、なんとお姉さまの方からそうおっしゃってくださいました。私の心は、自然と軽くなっていきます。
どうせ、あそこまで大恥かいたんだから、今さら遠慮なんてしなくてもいいでしょう。
というより、お姉さまが遠慮しなくていいわよ、とおっしゃってくださっているんでしょう。なら……。

564 :東の扉 :2006/11/22(水) 04:43:21 ID:m1iPHu0i0

「じゃあお姉さま……私を……私を……抱いてください!」
言っちゃった。同時に私の目から、雫がどんどん流れてきました。
「私、不安で不安で仕方ないんです。またあの女に犯されるかもしれないって思うと……私の身体も心も、
このままどんどん汚れていってしまうのかって思うと……だから、だから……」
頬を伝う涙を拭おうともせず、私は続けます。
「お願いです! もうお姉さましかいないんです! 何されてもいいですから、あの出来事を、忘れさせてください!」
「由佳里ちゃん……」
お姉さまは、私を抱きしめてくださいました。
「由佳里ちゃんには、心に決めた人がいるのよね」
そして、腕の中にいる私に話しかけてくださいます。
「だから、あの出来事をなかったことにしたいのね。由佳里ちゃんが本当に許せないのは、自分を犯したまりやじゃなくて、
好きな人以外の人から感じて、気持ちよくなってしまった、好きな人以外の人にはしたないおねだりをしてしまった『自分自身』だったのよね」
わかってくれた……お姉さまが、私の本当の気持ちを……そのことで、私の心は、嬉しさでいっぱいでした。
私は、1人じゃないんだ……私のことを、ちゃんとわかってくれる人がいるんだ……。
「お姉さま……」
「辛かったでしょう。苦しかったでしょう。でも、もう大丈夫よ。その苦しみを、私も一緒に背負わせて」
「うっ……うう……」
私は、嗚咽しながら、お姉さまにすべてゆだねてしまいたいと思いました。でも……確認しておきたいことが……。
「あの……お姉さまは、よろしいんですか? 私みたいな変態女が相手で……」
「そう自分を責めないで。私も昔、1度まりやにやられたことがあるから、よくわかるもの。人の身体って、無理やりでも反応してしまうし、
気持ち悪いのと気持ちいいのとか、取り違えてしまうこととか、はしたないことをしちゃうのも、息苦しさから解放されたいからだって、
なんとなくわかるから」
そっか、お姉さまもそんな経験があるのか。意外な一面を発見した気分です。
「それに、由佳里ちゃんがそれを許せないって思っているなら、それは素敵なことよ。大切なのは結果じゃないの。
由佳里ちゃんが、そのことをどう思っているかよ。そういうふうな考えができる女の子って、私は素敵だと思うわ」

565 :東の扉 :2006/11/22(水) 05:11:40 ID:m1iPHu0i0

「お……お姉さま……」
「さ、いらっしゃい。由佳里ちゃんの望みを、叶えてあげますから」
「お、お願いします、お姉さま……」
そう言って私は、着ている制服を脱ぎ、下着一枚になりました。

「あ……はああん……」
お姉さまは、私の身体を愛撫してくださっています。
技術自体で言えば、あの女に比べれば、笑ってしまうくらい稚拙な愛撫。だけど、お姉さまが本来持っておられる天性の優しさ、
そして私を慈しむ心、私に元気になってほしいと願うお姉さまの気持ち……。
それらがダイレクトに伝わってきて、とっても気持ちがいいです。
1人でする時や、あの女にされた時とは、まったく違う気持ちよさ。私は、それに身も心もとろけてしまいたい……そう思いました。
あの女と絶交して以降、1回もしていなかったので、久しぶりのエッチがとても満たされる……というのもあったのでしょう。
「気持ち……いい……とっても気持ちいいよ……」
私は、涙を流していました。嬉しかったわけでも、悲しかったわけでもなく。でも、ただただ、涙が流れてきました。
「そう? ムリしなくていいのよ、由佳里ちゃん。少しでもイヤだったら言ってね」
お姉さまの言葉は、優しい。私に安らぎだけを与え、それを安心して受け入れさせてくださいます。
「だ、大丈夫です。続けてください」
「そう? じゃ、続けるわね」
「はあ……はあ……はあ……も、もっとください……あのことを、忘れさせてください……」
「大丈夫よ……私が、一緒にいてあげますから……」
「お姉さま……」
「なあに? 由佳里ちゃん」
「キス……してください……」
「わかったわ……」
そう言ってお姉さまは、私にキスをしてくださいました。

566 :東の扉 :2006/11/22(水) 05:13:48 ID:m1iPHu0i0

「んっ……んん……」
しばらくして唇が離れると、私はお願いしました。
「お姉さま……お姉さまの唾液……飲ませてください……」
「……由佳里ちゃん?」
「お願いです……あの女にされたことを……全部、忘れたいんです……」
「わかったわ。じゃあ、苦しかったら言ってね」
お姉さまは、再び私に優しくキス。そしてお姉さまの体液を、少しずつ送り込んでくださいます……。
「んはあ……」
「どう? 苦しくない?」
「く……苦しいですよ……」
私は、お姉さまの唾液を貪りながら、言いました。
「ごめんなさい、やりすぎたかしら?」
するとお姉さまは、そう謝罪の言葉を投げかけました。でも、私は……。
「ち、違うんですお姉さま……苦しいけど……苦しいくらいお姉さまを味わいたかったから……だから……」
「そう……じゃあよかったのね。私、由佳里ちゃんの心の傷、ちゃんと癒せてるかしら?」
「はい……」
その後も、お姉さまは優しく私を愛撫してくださいました。
私の心の中の黒い感情がどんどん心の外に流されていく……ううん、雪のように優しく包んで溶かされていくのを感じました。
久しぶりに優しい気持ちになりたい……そう思いました。
お姉さまって、やっぱり不思議……エッチの技術だけでいえば拙いのに、心は今までのどんなエッチよりも優しく、気持ちいい……。
私が今までほしかったもの……それを、お姉さまは全て与えてくださいました。
「由佳里ちゃんは、きっと悪い夢を見ていたのよ。お忘れなさい、イヤなことは全部……」
お姉さまにされると、本当に忘れられそうです。一時的なものではなく、本当の意味で……。
そして、私はお姉さまの手で心が満たされるまでイかせてもらいました。

567 :東の扉 :2006/11/22(水) 05:30:46 ID:m1iPHu0i0

「はあはあはあ……」
「どう? 由佳里ちゃん、満足できたかしら?」
「はい……」
エッチも終わって、余韻に浸っている私に、お姉さまはそう聞いてこられました。
「そう。よかった」
「お姉さま……ありがとうございました……」
「いいのよ。私も由佳里ちゃんのお役に立てて、嬉しいわ。ふふっ……それにしても、本当にまりやの言ったとおりだとはね」
……え? それっていったい……。
「どういうこと……ですか? あの女が何か……?」
「実はね、私、まりやに頼まれてたのよ。由佳里ちゃんを抱いてあげてって。
私に抱かれれば由佳里ちゃんも嬉しいだろうからって……でも、まりやの思い込みかもしれないから、由佳里ちゃんに確認したんだけどね」
今までの私なら、私たちを仲直りさせるためのデタラメだと思っていたでしょう。でも、お姉さまが抱いてくださったおかげで、
今までのすさんだ心がかなり楽になったせいか、お姉さまの言葉を受け入れていました。
「そんなことが……」
「まあ、だから許してあげて、とは言わないわ。最終的にまりやをどうするかは、由佳里ちゃんが決めればいいですから……
それじゃあね、由佳里ちゃん」
お姉さまはそう言って、部屋を後にしました。
「お姉さま……」

コンコン……。
「由佳里、あたしだけど、いる?」
部屋をノックすると、あの女の声が聞こえてきました。
少しイヤな気分になりましたが、私は部屋の外に出ました。
「由佳里……」
確かに、あの女は目に覇気があまりありませんでしたし、身体も以前よりやつれていました。
お姉さまが言ってた、この女が私に嫌われてへこんだ、食事ものどを通らなくなった……というのも、まんざらウソではなさそうです。
「……食堂には誰かいますか?」
「ううん、みんな自分の部屋」
「じゃあ行きましょう。私に話したいことがあるんでしょう?」
「うん……」

568 :東の扉 :2006/11/22(水) 06:03:27 ID:m1iPHu0i0

あたしは、由佳里に食堂に連れてこられた。
今まで部屋から出てこなかったことを考えると、大きな進歩、なんだろう……。
「由佳里……」
食堂に着いたあたしは、そこで由佳里の前で土下座した。
「……ごめんっ!」
あたしは、自分の言葉で謝罪することにした。由佳里が言った言葉をそのまま言うんじゃなく、自分の言葉で……。
「瑞穂ちゃんに言われてやっと気づいた。口では由佳里のためだとかなんだとかもっともらしいことを言いながら、
結局ホントは自分が楽しみたかっただけだって……。
あたし、トイレで由佳里が何してたのか知ってから、エロいってだけで由佳里のこと勝手に判断して、自分にだけ都合のいいように解釈して、
由佳里がほかにどんな面を持ってるかなんて、考えもしなかった。
由佳里に完全に嫌われて、瑞穂ちゃんたちにこっぴどく叱られて、由佳里がどれだけ傷ついたのか、やっと考えることができた……。
謝ってすむことじゃないけど……本当にごめん!!」
由佳里はしばらく黙っていた後、口を開いた。
「……ずいぶん甘々ですね」
「……え?」
「お姉さまと奏ちゃんの前で……って言いましたよね? セリフも私の言ったのと違いますし……」
「そ、それは……」
「……昨日、お姉さまが来られましたよ」
「………」
「お姉さまは理解してくださいました。私の本当の気持ちを。そして、こんな私のことを、素敵だっておっしゃってくださいました」
瑞穂ちゃん、無意識の逆ナンパ師だからね……。
「お姉さまは、ホントあなたの親戚とは思えないくらい、優しさと配慮に満ちあふれた素敵な方ですよね」
「く……」
こんな状況じゃなきゃ、あたしは由佳里のことメタメタに痛めつけてただろうな……。

569 :東の扉 :2006/11/22(水) 06:04:53 ID:m1iPHu0i0

「あの時、どれだけ気持ちよかったのか、今は全然思い出せませんけど、私の心はその何百倍も痛かったんですよ」
「………」
「それに、私にだって女として好きな人以外からは感じたくない、気持ちよくなりたくないって気持ちも、ちゃんとあるんですから」
「うん……」
「しっかり覚えといてくださいね、“まりやお姉さま”」
「………!!」
絶交されてる時、あたしのような姉なんか知らないって言われた。つまり、じゃあ、今の由佳里のセリフは……。
許してもらえたんだ、やっと……。
「うっ……うう……」
長かった。もう何十年も経ったみたいだった。あたしは、いろいろな理由でそのまま泣き続けた。

この続きは、「ほころび始めた縁 エピローグ それから」で話すから、もうちょっとだけつきあってね。

570 :東の扉 :2006/11/22(水) 06:14:17 ID:m1iPHu0i0

東の扉です。
「ほころび始めた縁」も、次回でいよいよ最後です。まとまるかな……と心配ですが。
以前のシナリオでは、ここで瑞穂くんがエッチの時に由佳里ちゃんが自分に純潔をささげる演出をする……というネタもあったのですが、
シナリオを変更したので、没になりました(涙)

しかし、Qooさんの「ゆかりんのひとりでできるもん!」「まりやさまはしってた」で、由佳里ちゃんがちょっとかわいそうかな……
と思ったので、まりやにも痛い目にあってもらおうかな、と思って書いていたら、いつの間にかこんな感じに……。
エピローグの「それから」は後日談ということになりますが、もし続きがあるとしたら、こんな感じになっていたでしょうか?

それでは、失礼いたします。

571 :Qoo :2006/11/22(水) 21:25:25 ID:fKcBSkEN0


「バースデイ・カプリッツィオ」続き行きまぁす。
…もう誕生日だいぶ過ぎちゃいましたけれどね(汗)。

572 :Qoo :2006/11/22(水) 21:28:21 ID:fKcBSkEN0

◆ 6回表 11月16日:昼休み

 2時間目の休み時間、可奈子が葉子の教室へとやってきた。
 何の用か聞いてみると、今日の朝、昨日買ったプレゼントを学院寮に置きに行った際、
 周防院奏さんが昼休みに皆で作戦会議をしませんかと言ってきたらしい。 断る理由もない。
 会議場はお姉さまの教室。 食堂やテラスだと会長が訪れる可能性もあるので、妥当なところか。
 というわけで、昼休みになったので今は生徒会室へと向かっている。
 昼休みは大体生徒会室で食事するはずの君枝さんを拾って、お姉さまの教室に向かおうというわけだ。 

 生徒会室前に到着し可奈子が生徒会室の扉を開けた。
「ひゃぁっ!?」
 すると扉の向こうから何か驚いたような、素っ頓狂な声が上がった。
 すわこそと、葉子がぐいっと勢いよく扉を開けると、君枝さんがこちらを見つめたまま目を丸くして固まっていた。
「…どうしたの?」
「いっ、いえ!何でもありません!」
 どもりながらふるふると首を横に振る君枝さん。
 その手には、何かの袋を握りしめている。
 さっきの声やこの態度からしてどう考えても只事ではない。
「…手に持ってるのって、プレゼント?」
 とりあえず話題の矛先を変えてみる。
「えっ?ぇ、ええ…」
「君枝さんが買ったんですかぁ?」
「いえっ、そういうわけでは…」
 何だか君枝さんにしては歯切れが悪いというか…正直、ちょっと挙動不審だ。

573 :Qoo :2006/11/22(水) 21:29:56 ID:fKcBSkEN0


「じゃあ、誰かに渡されたとか?」
 君枝さんが用意したプレゼントでなければ、必然的に他の誰かによるプレゼントということになる。
「えっと、か、会長の机に置かれてて…誰のプレゼントかなぁ…って…」
「会長の机?」
 会長の机に視線を移す。
 机の上にはいくつかのプレゼントと思しき袋や箱が置いてあった。
 自他共に対し厳しい会長だが、そのストイックさに憧れる生徒は少なからず存在する。
 一度朝誰かが生徒会室の扉を開ければ、放課後生徒会活動が終了するまで開けっ放しとなる。
 休み時間中に生徒がプレゼントを置いていったのだろう。
 さっきの動揺はこれを見ていたのが原因だろうか。
 多少不自然な気もするが…まぁ、無理に突くこともないかな。

574 :Qoo :2006/11/22(水) 21:31:42 ID:fKcBSkEN0


「誰のプレゼントかは分からないの?」
 もし誰かが置いていったプレゼントであれば、バースデイカードか何かが一緒に置かれていてもおかしくない。
「いえ、特にそういうのはなかったみたいで…」
「そう」
「誰のプレゼントなんでしょうねぇ…」
 むー、と唸る可奈子。
「…そうね。悪くないかも」
 突然頭の中に去来した閃きに、葉子が呟きを漏らす。
「何がですか〜?」
「ん…とりあえず後にするわ。君枝さん、今日の食事はお姉さまの教室で摂らない?」
「お姉さまっ!?」
 驚きの声を上げる君枝さん。
「…どうしたの?」
「ぃ、いえ、どうしてお姉さまの教室で…」
「今日の夜パーティするでしょ。その作戦会議を開くの」
「作戦会議ですか…」
「何か都合が悪いことでもある?」
「いえ、ありません。行きましょう!」
 どこかほっとした様子だった君枝さんはいきなり威勢よく立ち上がると、先陣を切って生徒会室を出て行った。
 持っていた会長へのプレゼントとやらを持ったまま。
「どうしたんでしょうねぇ…」
「さぁ…」
 残った二人で首をかしげながら、飛び出して行った君枝さんを追うべく生徒会室を後にした。

575 :Qoo :2006/11/22(水) 21:32:55 ID:fKcBSkEN0


「は〜い注もぉ〜く!只今より、聖應スケバン連合緊急集会を行う!
 えぇ〜、今日あんたたちを呼び出したのは他でもない」
 何だ何だ、これは。
 お姉さまの教室に、今教室にいない生徒の机を借りて会議場が設けられたわけだが…。
 皆が席に座りとりあえず食事をしようということで、神に感謝し、各々が自分の昼食に手を伸ばし始めると、
 まりやお姉さまがおもむろに立ち上がり、箸を振り回しながら口上を述べ始めたのだ。
「まりやはしたないよ…っていうかそれ何?」
 皆が呆気に取られている中、お姉さまが呟く。
「えっ、瑞穂ちゃん知らないの?」
「えぇ…」
「うそ、皆も?」
 周囲を見回すまりやお姉さまだったが…。
「スケバン…」
「スケバン?」
「……」
「スケバンって何なのですか?」
「知らなくていいのよ奏ちゃん」
 肯定の言葉もなく、ひそひそと各々が呟く中、唯一今のまりやお姉さまの…芸?を知っていたらしい可奈子が言った。

576 :Qoo :2006/11/22(水) 21:35:37 ID:fKcBSkEN0


「今のってぇ、テレビでやってたやつですよねぇ」
「なぁんだ知ってる子いるじゃ〜ん」
 まりやお姉さまの顔がみるみる笑顔に変わっていく。 しかし。
「それでぇ、スケバンって何ですかぁ?」
「がっかりだよ!」
 すごい顔で凄むと、膨れ顔で椅子に座り込むまりやお姉さま。
「ふぇぇ…」
 少し泣きそうになる可奈子。
「まりや、威嚇しないの。可奈子ちゃん、ごめんね。怖かったね」
「もういいから…食べましょう」
 上岡由佳里さんが情けなさそうな顔で「頂きます」と弁当に箸を伸ばした。
「そうですね…」
「ああ、お祈り…はしたんでしたっけ」
 それを合図に皆食事に手を伸ばしていく。
 少し疲れた雰囲気での食事が始まった。

577 :Qoo :2006/11/22(水) 21:36:56 ID:fKcBSkEN0


 食事も終盤に差し掛かり、早い人はデザートの段階に入っている。
 まだ食事中の子もいるが、もうじき食べ終わるだろう。
「それじゃあ、そろそろ」
「ええ、そうね」
 お姉さまがうなずく。 実質上の会議の開始の合図だ。
「と言っても何を考えるんですか?」
「まずは、どうやって会長を寮まで呼ぶか…です」
「確かにそれは問題ね…。できれば寮に来るまでは知らないでいて欲しいのよね」
 そう。 会長にはパーティのことを知らずに寮まで誘う必要があった。
「絶対ではありませんけれど、それが理想です。でもお姉さま絡みで寮に呼ぶと、悟られてしまう可能性がある」
「確かにね」
「ちょっと難しいのでは…」
「いえ、一つ案を思いつきました」
「というと?」
 注目を集めた葉子は唇の端を本の少し上げた。
 これは、さっきの差出人不明のプレゼントを見ていて、ふと閃いたアイデアだった。
「ここは一つ…お姉さまに、悪役になっていただこうかと」
「悪役…?」
「なのですか…」
「ええ。脇役は可奈子が適任でしょう」
 この役は性格や立場的には君枝さんがいいのだが、いかんせん君枝さんは真面目すぎるきらいがある。
 会長にバレないようにと力を入れすぎて自爆する可能性があった。
 ということで、ここは多少面白がって力を抜いてくれそうな可奈子の方が適任だと判断した。

578 :Qoo :2006/11/22(水) 21:39:27 ID:fKcBSkEN0


「可奈子…脇役ですかぁ?」
 不満げな顔をする可奈子。
「別に舞台やるわけじゃないんだから、脇役だからってそんな顔しないの。まず、可奈子と会長に一緒に帰っていただきます」
「それで?」
「そこで、帰り道にダミーのプレゼントを渡してもらいます。私と君枝さん、可奈子の三人からのプレゼントとして。
 ここは私たちの立場と説得力が必要ですから」
「なるほど…」
「途中、可奈子が質問します。「会長、お姉さまからプレゼント貰いましたか?」
 貰っているはずのないプレゼントですから当然、いいえと答える会長に可奈子がこう言うわけです」
 葉子がぴっ、と一指し指を立てる。
「「お姉さまには会長の誕生日のことを教えたはずなのに、会長にプレゼントを渡してないなんて酷い…文句を言いにいこう」…と」
 くくくくく、とまりやお姉さまが笑い始める。
「目に浮かぶわ」
「面白そうですねぇ」
「そういうことね…」
「なるほどなのですよ〜」
 皆の口から「おぉ〜」や「はぁ〜」と言った溜息が漏れる。
「こんな感じでいかがですか?」
「悪くないと思うわ」
 くすくすとお姉さまが苦笑する。
「貴子をたぶらかすわけね」
「人聞きが悪い」
「どう言おうと同じじゃない」
「…まぁ」
 …確かに考えてみれば、言い換えようにも同じような言葉は「ひっかける」「かつぐ」「だます」「あざむく」 ぐらいだ。
 ほとんど意味は同じだが、全ていい意味では取られない言葉だった。
 無理に言い換えて、「愛のある罠」…、何か如何わしい感じだ。

579 :Qoo :2006/11/22(水) 21:42:28 ID:fKcBSkEN0


「でも、よくこんな手思いついたわね」
「君枝さんの持ってた会長へのプレゼントを見ていて、ふと思いついたんです」
 お姉さまに聞かれて答えると、話の矛先が自分に向いて、「えっ?」とたじろぐ君枝さん。
 しかし君枝さんが何か言葉を返す前に、
「へぇ、あの堅物の貴子なんかにプレゼント贈る物好きなんているんだ」
 とまりやお姉さまが笑いながら揶揄するように言った。
「かっ、会長は素晴らしいお人ですっ!」
 当然それにカッ、と噛み付く君枝さん。
「ほんっと、このデコメガネは会長にご執心よね…。マインドコントロールでもしてんじゃないの?」
「そっ、それ以上会長を愚弄すると、いかにまりやお姉さまとはいえっ…!」
 自分のことも言われているのだがそんなことは気にも留めず、会長への中傷を払拭すべく熱くなって立ち上がる君枝さん。
「愚弄って、あんたいつの時代の人よ」
「まりや、やめなさい」
 お姉さまが売り言葉に買い言葉を続ける二人の仲裁に入る。
「はいはい」
「ごめんなさい君枝さん。まりやのはただの憎まれ口だから、本当に貴子さんのことを悪く言ってるわけじゃないの。
 大丈夫。貴子さんが素晴らしい人だっていうことは、ここの皆が知っていることだから」
「…は、はぁ」
 君枝さんは納得がいかない様子だが、お姉さまに申し訳なさそうな表情でそう諭されてはそれ以上何も言えず、
 矛を引っ込めると椅子に腰を下ろした。
「ちょっと瑞穂ちゃん?」
 まりやお姉さまも矛を向ける先は違うものの何か言いたげだったが、お姉さまに少し厳しい顔で「まりや」と静かに一喝されると、
 「はぁ〜い」と仏頂面ながら引っ込んだ。

580 :Qoo :2006/11/22(水) 21:43:42 ID:fKcBSkEN0


「本当は仲がいいのに、すぐに憎まれ口を叩くんだから、まりやは…」
「トムとジェリーみたいですね」
 お姉さまが溜息混じりに言った言葉に、苦笑しながら相槌を打つ上岡さん。
「由佳里〜?」
「まりや」
「うぐっ」
 上岡さんを睨みかけるまりやお姉さまだったが、再びお姉さまに低い声で一喝されると、
 つり上がった目がまるで叱られた子犬のように(実際叱られているのだが)情けなく勢いを失う。
 …この二人の力関係は、やはりお姉さまに軍配が挙がるようだ。
 さすがと言うか何と言うか…。
 実際まりやお姉さまや会長クラスの相手を諌められるのは、お姉さまか紫苑さまくらいのものだろう。

「じゃあ、貴子さんを寮へと呼ぶ手筈は、これでいいわね」
 皆の肯定を確認すると、お姉さまが議題を進めていく。
 その他の議題はパーティでの食事や段取り、プレゼントといったところで、
 これらもさほど滞りもなく組み立てられていき、全ての議題を消化すると、まもなくちょっとした雑談会が始まっていた。

 計画は整った。 後は、放課後を待つだけだ。
 計画通りにいかなくても結局のところ会長を祝うことには変わりないのだが、
 やはりうまく引っかかってくれたほうが面白…もとい、会長の喜びも大きいものとなるだろう。
 しかし、細工は流々に施してもイレギュラーは必ずあるもの。
 さて…どうなることやら。

581 :Qoo :2006/11/22(水) 21:46:58 ID:fKcBSkEN0

◆ 7回表 11月16日:放課後

「それじゃあ、帰りましょうか」
「はぁ〜い」
 帰り支度を済ませた会長と可奈子は、二人揃って生徒会室を出た。
 蛍光灯の明かりに煌々と照らされている校舎内に対し、窓の外はもうすでに暗く、深い闇に覆われている。
 物音一つなく静かな廊下にがちゃっ、と鈍い音が響く。
 扉がきちんと施錠されていることを確認すると、二人はカギを保管場所へ戻すべく歩き始めた。
 ちなみに葉子さんと君枝さんはある程度生徒会活動をこなすと、
 早々に帰宅…したと見せかけて、お姉さまたちの寮でパーティの準備を進めている。
「寒くなってきたわね…」
 そう口にした会長の手には大きな袋がぶら下がっている。 中身はもちろん会長へのプレゼント。
 ただしそのプレゼントは可奈子たちからではなく、会長の机の上に置かれていたプレゼントを袋に入れたものである。
「そうですねぇ…もう冬でしょうか…」
 はぁ、と器にした手に息を吹きかけると、吐息が真っ白に染まる。
 寒いなぁ…。
「廊下も暖房がついていればいいのになぁ…」
 可奈子が漏らした呟きに、会長がくすくすと微笑する。
「それはさすがに贅沢というものよ?」
「そうでしょうかぁ…」
 寒いのは苦手なのになぁ。
 実のところ、寒いところも暑いところも苦手な可奈子だった。

582 :Qoo :2006/11/22(水) 21:51:05 ID:fKcBSkEN0


 カギを元の場所に納め、二人で話しながら昇降口に到着した。
 「靴履き替えてきま〜す」と言い残して会長と別れ、自分の靴箱へと向かう。
 ここまでは、予定通りだった。
 葉子さん曰く、「用事があるとかで問答無用で帰られてしまうのが一番痛いケース」らしい。
 確かにそれはそうだ。
 なので、今会長と一緒に帰っているだけですでに一つ目のノルマは達成していることになる。
 さて次に待ち構える二つ目のノルマは、お姉さまたちの待つ寮へと繋がる道の前で、プレゼントを渡すことだった。
 会長と合流し、他愛のない会話を交わしながら電灯に照らされた並木道を校門に向かって歩いていく。
 段々と目的の場所に近づいてくると、少しだけ心臓がドキドキした。
 大丈夫。 大丈夫。
 心の中でそう二回唱え、足を止めて立ち止まる。 横には、寮へと繋がる道。
「…どうしたの?」
 可奈子の足音がしなくなったことに気付いた会長が後ろを振り向いた。
「ちょっと待ってくださぁい」
 自分のバッグの中をごそごそと漁り、会長へのプレゼントを取り出す。
 それは昨日買ったプレゼント…ではなかった。
 昨日買ったプレゼントは今日の朝のうちに寮の中へ運んだため、今回の作戦には使えなくなってしまったので、
 昼休みに君枝さんが持っていたプレゼントを渡すことになったのである。
 寮に取りに帰ってもよかったが、作戦では一時的に渡しておくダミーのプレゼントなので、これで問題ないらしい。

583 :Qoo :2006/11/22(水) 21:52:34 ID:fKcBSkEN0


「はぁい、会長」
 とプレゼントを差し出すと、会長は驚いたような表情を見せ、少し遠慮がちな声で可奈子に問いかけた。
「これって、もしかして…」
「ハッピーバースデ〜イ、会長。バイ、生徒会一同より」
 にこっ、と可奈子が笑うと、会長の顔に嬉しそうな笑顔が浮かんだ。
「ありがとう、可奈子さん」
 プレゼントが会長の手に渡る。
「会長〜?実のところぉ、プレゼント貰えないのかな〜って思っちゃってたりしましたぁ?」
「実は貰えるんじゃないかって、少し期待していたわ」
 可奈子がからかうように言うと、会長がはにかみながらふふっ、と笑った。
 すごく可愛い笑顔だなぁ…じゃなくって。
 会長の笑顔に少し見とれていた可奈子だったが、これで終わったわけではない。
 むしろ、ここからがミッションスタートだ。

584 :Qoo :2006/11/22(水) 21:54:23 ID:fKcBSkEN0


「ねぇ可奈子さん、ここで開けていいかしら」
「あ、ちょっと待ってください会長」
「ん?何かしら」
「そういえばぁ、会長、お姉さまからプレゼントは貰いましたかぁ?」
「お姉さま?…いえ、貰っていないけれど…。お姉さまは私の誕生日をご存じないでしょうから、仕方がないわ」
 そう言いながらも、少し残念そうな顔をする会長。
「えぇ〜、そんなはずないですよぉ〜。だってこの前お姉さまに会長の誕生日のことは伝えたはずなのにぃ〜」
「えっ?」
「お姉さまってばひどぉい!会ちょぉ!抗議しに行きましょう!」
 そう言い置くと、鳩が豆鉄砲を食らったような表情の会長を置いて駆け出す。
 「絶対に「いいの、いいのよ可奈子さん」とか言いながらついてくるから」とは葉子さんの談。
「えっ、えっ?」
 可奈子のノリにちょっとついていけてない会長だったが、それでもすぐに可奈子を追って駆け出した。
「か、可奈子さん、いいのよ!」
 葉子さんの罠に落ちた会長。
 可奈子は葉子さんの予想通りの声を上げる会長に少しこみ上げた笑いを抑えながら、用意された台詞を口にする。
「ダメですよぉ会長、こういうことはしっかりしないとぉ」
「いいのよ可奈子さん、お姉さまにもきっと事情があったんだわ」
 追いついた会長が可奈子の腕を掴む。
 しかし可奈子は困った顔で説得を続ける会長を引きずりながら走り続け…そしてついに、寮の前に辿り着いた。

585 :Qoo :2006/11/22(水) 21:55:42 ID:fKcBSkEN0


 少し上がった息を整えながら、葉子さんの言葉を思い出す。
 「会長からは扉を開けられないから」
 葉子さんの予想通り、可奈子については来た会長であったものの、寮の中に入ろうという素振りはない。
 当然といえば当然。
 だって会長は可奈子に連れてこられただけだし、それに会長は、お姉さまに嫌われるようなことをしたくはないだろうから。
 でも、そうはいかない。
「可奈子さん、ありがとう。でも、もういいのよ」
 会長は扉の取っ手を掴んだ可奈子の肩に触れて引きとめようとするが…。
「ダメですよぉ。だって…」
 そう、ダメに決まっている。 だって…。
 可奈子は両手に掴んだ扉を思いっきり観音開くと、横に飛び去って耳を塞いだ。
「貴子さん、誕生日おめでとう!」
 パーン、パンパンパンパン!
 お姉さまのお祝いの言葉と共に、塞いだ手越しにも少々けたたましいクラッカーの音が辺りに響く。
「え……?」
 扉の向こうにいた皆の方を見つめながら、寝耳に水なこの状況にぽかん、と口を開けて惚けている会長。
「会長?」
「…え?」
 葉子さんが呼びかけるが、どうも今の自分の状況がうまくつかめないようだ。

586 :Qoo :2006/11/22(水) 21:56:49 ID:fKcBSkEN0


 そんな会長を見ていたまりやお姉さまが「貴子!」と大声で名前を呼ぶと、「は、はい!?」と会長が我に返った。
「上がりなよ」
 まりやお姉さまがぶっきらぼうな言葉なのに不思議に優しい声でそう言うと、
 手で"来い来い"のポーズを取って踵を返し、食堂の方に消えていく。
「貴子さん、まりやもああ言ってることですし、どうぞ上がっていってください」
 お姉さまが会長の手を握って中へと誘導する。
「えっ?あ、あの…」
「ほらほらぁ、行きましょぉ〜」
 可奈子はまだ少し逡巡している会長の背中を押して寮の扉をくぐった。
 戦果は上々といったところ。
 可奈子はさっきの万遍なく驚いた会長の顔を思い出し、
 以前見たテレビのドッキリ番組で、仕掛け人が持っていた「ドッキリ大成功」のパネルを掲げたい気分だった。

 君枝さんが、後ろで寮の扉を閉める。
 今日は11月16日。 会長の誕生日。
 パーティが、幕を開ける。

587 :Qoo :2006/11/22(水) 22:02:47 ID:fKcBSkEN0


え〜、今回はここで終わりです。ホント遅筆で申し訳ありません。 ヽ(´Д`;;)ノ

そろそろ終盤に差し掛かります。どうも今スレで書き終えるのは無理みたいですね。
っていうかやっと終盤か…(泣)。どうして私は書き出すと無駄に長くなるんだ…。

えぇ〜、痛い間違いも色々見つかってますが…。
>>533氏に言われた通り可奈子の一人称は「可奈子」だとか、もう気にしたりしないゼ!(やけくそ)
でもコソっと後半じゃ修正したり…(隠)。   で、でも頑張るゼ!(泣きながら) Qooでした!ヽ(`Д´ )ノ

588 :東の扉 :2006/11/22(水) 22:45:13 ID:m1iPHu0i0

Qooさん、GJです。
なんだか面白い展開になってきましたね。
パーティーがどんなになるのか、真相を知った貴子さんが皆さんにどう言うのでしょう?

にしても、普段あまり表に出ない脇役キャラを書くのは難しそうですね。
Qooさんの苦労がわかるような気がします。
私は貴子さんの誕生日には間に合いませんでしたが、一子ちゃんのは書き上げましたので、
落としてみようと思っています。
「ほころび始めた縁」のエピローグを落とすのも、11話になると思いますが、
お互いに頑張りましょう。

589 :名無しさん@初回限定 :2006/11/22(水) 22:53:03 ID:ZMmIfRmB0

>>587
(o^-')bb

590 :名無しさん@初回限定 :2006/11/22(水) 22:59:52 ID:Wsvvh1Zp0

>>587 GJ!!こういうの見てると自分でも書きたくなるね

そろそろ次スレ?と思って特に聞くことなく立てようとしたんだが、
立てられなかったので誰かお願い

591 :名無しさん@初回限定 :2006/11/22(水) 23:11:36 ID:UC+pO55R0

東の扉さん、Qooさん、GJです!
>>590
それでは、第11話スレ、立ててきます。

592 :名無しさん@初回限定 :2006/11/22(水) 23:17:48 ID:UC+pO55R0

次スレ立ててきましたので、作者のみなさま、どうぞご利用ください。

処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第11話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1164204810/

593 :Qoo :2006/11/23(木) 00:06:50 ID:L8DK2YIu0


>>592
次スレ立て、ご苦労様です。

>>588
私の気力が尽きるのが先かもしれませんが、とりあえず頑張りましょう。
次落とすのはいつになることやら(笑←刺)

594 :Qoo :2006/11/23(木) 01:13:18 ID:L8DK2YIu0

>>589-591
ありがとうございます。ほんと嬉しいです。

ということで、お礼とスレ埋めがてらショートギャグでもやります。
笑ってやってください。

595 :Qoo :2006/11/23(木) 01:13:55 ID:L8DK2YIu0


ショートトークドラマ:やるきねこがみてる


「おじゃまします」
「邪魔はしないでね」
「慣用語ですっ!小学生ですか貴方は!」
「冗談じゃない」
「はぁ…まりやさんの相手をするのもアホらしいですわ…」
「そんなこと言うと見せてあげないよ」
「き、汚いですわよ」
「ふん。どうとでもいえば」
「それにしても、どうしてまりやさんが瑞穂さんのアルバムを?」
「あたしが瑞穂ちゃんのアルバムのコピーを持ってないと思ってんの?」
「なるほど…。言われてみればそうですわね」

596 :Qoo :2006/11/23(木) 01:16:36 ID:L8DK2YIu0


「えっとこれっと…これと…」
「こっ…これが瑞穂さんの…」
「あっとは…これだね」
「……す、素晴らしいですわ…」
「貴子、鼻血」
「えっ?あっ…」
「あんた、興奮しすぎ」
「み、瑞穂さんが可愛すぎるのがいけないんです」
「どんな言い訳よ…。ま、気持ちは分からなくもないけど。ん〜む…確かに超可愛いわ…瑞穂ちゃん」
「………」
「貴子、あんた集中しすぎ…って、お、パンチラ写真見っけ」
「パンチラっ!?」
「うわっ、反応早っ!」
「み、瑞穂さんのですか…?」
「欲しい?あげよっか」
「……く、ください…」
「はい、あ〜げた」
「ぶ…ぶっ飛ばしますわよ?」
「はいはい、分かった分かった。ほい」
「………?これのどこが…?」
「ほら、写ってるでしょ。瑞穂ちゃんの後ろにあるパンダのぬいぐるみの足がチラっと」
「……ぶ…、ぶ、ぶ、ぶ、ぶっ殺して差し上げますわ!そこになおりなさい!」
「へぇ、貴子のくせにいい度胸じゃん。っていうか何を想像してたのよこのエロ貴子〜」
「きぃ〜〜〜〜!!!」

  ドターンバターンガターン

 今日も平和だ…。
 相変わらず懲りない二人のドタバタを見ながら、
 ふにゃあ〜、とあくびをするやるきねこだった。

597 :名無しさん@初回限定 :2006/11/23(木) 02:05:22 ID:7pN3GESf0

>パンダのぬいぐるみの足がチラっと
うわっ懐かしい

598 :東の扉 :2006/11/23(木) 03:46:58 ID:kWpdgjpU0

目標500KB、ということで、私もネタをひとつ。

もし、おとボクメンバーがダイの大冒険を演じるとしたら?

ダイは奏ちゃん、ポップは由佳里ちゃん、アバンは紫苑さん、ヒュンケルは圭さん、
マアムはまりや、レオナは瑞穂くん、ハドラーは貴子さん……で、どうでしょうか? ハドラーも後半はかっこいいですし。
ほかのキャスティングもそれぞれ意味があるんですが、いががでしょうか?

599 :東の扉 :2006/11/23(木) 09:28:13 ID:kWpdgjpU0

「はややっ、奏が勇者なのですか?」
「奏ちゃんは純粋ですからね。ちょうどいいと思って」
「それで、奏ちゃんの親友だから、私がダイの親友のポップ役なんですね」
「確かにそれもあるけど、本当の理由じゃないわ」
「え? 本当の理由って?」
「エロいからでしょ?」
「!! お姉さままで私をバカになさるんですか!?」
「違うわよ。ほら、アバンの使徒の中でポップだけ普通の育ち方をしてるとことか、
そのことで劣等感を抱いたり、勇気や自信が持てなかったりして悩んだり、それを乗り越えていくとことか、
由佳里ちゃんにぴったりじゃない」
「な、なるほど」
「アバンは紫苑さまなのですか?」
「気さくな中にも威厳があるとことか、紫苑さんならうまく出来ると思って」
「ヒュンケルは圭なのね」
「無口で孤高なとことか、が理由かしら」
「マアムがまりやお姉さまなんですか?」
「うん。普段気が強いけど本当は優しくて仲間思いなとことかがね……」
「レオナはお姉さま、なのですか?」
「奏ちゃんのパートナー、ですから」
「魔王が貴子ね、ぴったりじゃない」
「でもまりやお姉さま、ハドラーは後半かっこいいのですよ」
「そう。このキャスティングは、後半のハドラーから、ね」
「部長さんに、脚本を書いたいただけるよう、お願いしてきますのですよ」
「楽しみね、あの原作がどう変わるのか」
「そうね……」
こうして、ダイの大冒険をみんなで演じる計画は第1歩を踏み出したのでした。

600 :東の扉 :2006/11/23(木) 09:30:12 ID:kWpdgjpU0

どなたか、作品化しようという方がいればお願いします。

東の扉でした。

500 KB