その日、僕らは運命に出会った―――
常に【sage】進行でお願いします
結局現状維持?
書き手はハカロワ3やアニメロワの方に集中しているから当分は現状維持ジャマイカ?
森林地帯を抜けた新都との境界付近。そこに3人の参加者がいた。
25番・小日向音羽。26番・小日向すもも。そして、27番・小日向雄真である。
「――じゃあ、俺は行くから……」
そう言って自身の支給品である日本刀を手に雄真は先程まで自分たちが歩いていた森林へと戻っていった。
「気をつけてね雄真くん」
「兄さん。必ず姫ちゃんたちを助けてあげてください」
「わかってるよ」
音羽とすももに笑顔で答えると雄真は草木のなかに消えていった。
「――『助けてあげてください』か……」
森の中を歩きながら雄真は先程すももが自身に言った言葉を思い出していた。
「――悪いけど、今はできないな」
先程、雄真は音羽とすももと別行動を取る際に理由として「みんなを探す」と2人に言った。
しかし、それは嘘だった。
あの時――準に10円玉を取られた後、雄真はもうひとつ10円玉を取り出してコイントスをしたのだ。
そして、出た面は裏だった…………
そう。雄真はゲームに乗ったのだ。
しかし、母と妹にそのことを明かすわけにはいかなかった。絶対に止められると思ったからだ。
だから雄真はスタート直後に合流した2人が安全な場所に避難できるまでは一緒にいてあげることにした。
その後、「みんなを探す」という理由で2人と別れた後はゲームに乗った1人の殺戮者になる……それだけだ。
(――罪を背負うのは俺だけでいい………)
自分はもう過去に罪を背負っている。罪を背負うのには慣れていた。
その罪が何であったのかは自身もよく覚えていないが………
「できれば知り合いには会いたくないな………」
そう呟くと雄真は日本刀を一度鞘から抜いてぶんと振ってみた。
刀のことはよく判らないが、自身に支給されたソレ――『皆琉神威』と銘うたれた刀はかなりの業物のようだった。
覚悟は決まった………
「――さて。行くか」
刀を鞘に戻すと雄真は再び歩きだした。
全ては自身のため。そして、この殺し合いに参加している全参加者のために……
小日向雄真
【時間:1日目・午後4時】
【場所:森林地帯】
【所持品:皆琉神威(冥夜の刀)、他支給品一式】
【状態:マーダー化。目標は自身が優勝して聖杯で全参加者を生き返らせること】
小日向音羽
【時間:1日目・午後3時45分】
【場所:新都付近】
【所持品:支給品一式(ランダムアイテム不明)】
【状態:ゲームには乗っていない。すももと行動】
小日向すもも
【時間:1日目・午後3時45分】
【場所:新都付近】
【所持品:支給品一式(ランダムアイテム不明)】
【状態:ゲームには乗っていない。音羽と行動】
時刻は夕方。森の中を走る1人の人影があった。
先ほどやっと教会をスタートした58番・宮小路瑞穂である。
「貴子さん。紫苑さん。まりや………みんな。僕が行くまでどうか無事で………」
この聖杯戦争というふざけた殺し合いで瑞穂がやるべきことは1つだった。
――1人でも多くの参加者を救い、そして主催者――言峰たちを倒す。
もちろんそれが一筋縄でいけるほど簡単ではないことくらい瑞穂にも判っている。
しかし、誰かがやらなければならないのだ。
そして……それをやるべき者はその考えに至った自分以外の誰がやるというのだ?
そう。自分は聖應女学院の72代目エルダー・シスターだ。
皆の先頭に立って行動することは学院の外であろうと何処であろうとも変わりはしないはずだ。
瑞穂は考える。恐らく参加者のうち何名かは殺し合いに乗ってしまった者もいるだろうと。
彼女――否。彼はあの聖堂で他の参加者たちのスタート時の様子をじっくりと観察していた。
自身の見た感じによる第一印象によるものではあるがゲームに乗ったものはだいたい目星が付いていた。
(――遠坂凛さんに、間桐慎二……だったかな? あの2人は確実にやる気満々だ………)
瑞穂はしばらくそのようなことを考え、そして止めた。
森を抜け耕作地帯に出たからだ。
(――ここまでくれば一応大丈夫かな?)
瑞穂は周辺を軽く一度見渡すと、ゆっくりと地面に腰を下ろした。
「ふぅ……さてと。それじゃあ早速中身を確認してみようかな?」
肩に提げていたデイパックを下ろし、早速中を確認する。
空は既に日が沈んで暗くなりかけている。調べられるうちに調べたほうがいいと判断したからだ。
「……地図にコンパス。筆記用具に水とパン。それと…参加者名簿か……」
中身を一通り確認すると参加者名簿を手に取り自分の後にスタートした参加者の名を確認する。
(やはり50音順か…そして僕の番号は58番………)
自分が教会をスタートするとき聖堂に残っていた自分以外の参加者は4人いた。
ならばその4人とは自分の後ろの番号――59番・森来実。60番・鎧衣尊人。61番・柳洞一成。そして62番・渡良瀬準に間違いないだろう。
(――あれ? ちょっとまって。なにか忘れているような………)
「――――あ、そうだ。1人に1つ支給されるアイテムだ。いったい僕のには何が入っているんだ……?」
言峰が言っていた参加者に1つ与えられるというランダムアイテム。
それを確認するため、瑞穂はもう一度デイパックの中身を確認した。
他の支給品は全て地面に置いてある。そうなると、あとはランダムアイテムだけだ。
しかし……
「あれ?」
――デイパック中にはもう何も入っていなかった。
「…………」
――無言でデイパックを逆さまにしてぶんぶんと振ってみる。
しかし何も出てこない。
「…………」
――次に中に顔を突っ込んで隅々まで覗いて調べてみる。
やはり何もない。ないものはない。
この時、瑞穂の脳裏には言峰が説明の時に言っていた言葉が延々と繰り返しで再生されていた。
『何が誰に当たるかはランダムだ』
『何が誰に当たるかはランダムだ』
『何が誰に当たるかは……』
「……つまり僕のはハズレ中のハズレ、『アイテムなし』ってこと……?」
デイパックから顔を出した瑞穂の表情は先ほどの彼とはまったく正反対な―――ぞくに言う『おボクさま』モードに変わっていた。
それも滝のような大量の冷や汗を流しながら。
――まずい。これは非常にまずい!
これならお鍋のフタや金盥。大量のもずくもしくは豆腐、うまい棒とか腐女子向け同人誌とかアビシオン人形とかきんのたまとかの方が明らかにマシじゃないか………!
ああ、神様。これはなにかのイジメですか? 僕がいったい何をしたというんですか?
アニメ版の声優がオール変更になったことに対する報復ですか? だとしたら、堀江ボイスのどこがいけないんですか? 佐元ボイスじゃない貴子さんも悪くなかったじゃないですか!
ん? 貴子さん? ああ、そうか。アニメが貴子さんENDじゃなくて典型的なハーレムエンドで終わったことに対する報復だったのですね?
――って。さっきから何の話をしとるんだ僕は!? そもそもアビシオン人形って何だ!? 貴子さんENDって何だ!?
錯乱している頭を抱えうんうんと呻きながらいろいろと考えている瑞穂をよそに、彼のデイパックには不思議な現象が起きていた。
「ああこれから先、いったいどうやって戦えば……ん?」
瑞穂もしばらくした後にそれに気がついた。
「な…なんだ!?」
――デイパックから光が溢れているのだ。
もちろん瑞穂にもどうゆう原理でそれが起きているのかなど想像もつかない。
「夜光塗料? いや…そんなわけないよね………っ!?」
次の瞬間、その光の中から何かが段々と姿を現し始めた。
「こ…これは………?」
瑞穂は最初何が出てくるのだと思ったが、ソレが出てくるにつれてその正体がはっきりと判ってきた。
出てきたのは………
「――契約に従い参上した」
「………」
「問おう…貴女が私のマスターか?」
――中世の騎士の鎧を着た1人の少女だった。
【時間:1日目・午後5時15分】
【場所:耕作地帯】
宮小路瑞穂
【所持品:支給品一式(周辺にまとめて置いてある)】
【状態:セイバーを召喚。やや錯乱気味。令呪・残り3つ】
【思考】
1・何でデイパックから女の子が?
2・知り合い、同志を探す
3・言峰を倒す
セイバー
【所持品:なし】
【状態:召喚される】
【思考】
1・貴女が私のマスターか?
2・今のところ特になし
【備考】
・サーヴァントはランダムアイテムとして参加者に支給される
・最初にデイパックを開くと術式が組まれ召喚される
・支給されるサーヴァントは全部で7体とは限らない(少ないかもしれないし、多いかもしれない)
・サーヴァントも能力が大幅に制限される(宝具の使用はできるがその性能もある程度ダウンしている)
・サーヴァントはレイラインによりマスターから常に魔力を供給されている
・サーヴァントは魔力が切れたら消滅する。マスターを失った場合(一部の者を除き)1時間ほどで消える
・召喚した者(マスター)には令呪(絶対命令権)が3つ付く(1回使うたびに1つなくなる。これがなくなると契約は切れる)
・令呪は自身のサーヴァントが消滅すると残りの数にかかわらず全て消滅する
・マスターはいつでもサーヴァントとの契約を破棄できる
・マスターではない参加者とマスターを失ったサーヴァントはいつでも再契約可能
訂正
>佐元ボイスじゃない貴子さんも悪くなかったじゃないですか!
『佐元』→『佐本』
また約1ヵ月ぶりに続きキタ―――(・∀・)―――!!
GJ! 超GJ!
しかし、お姉さま&セイバーってある意味最強の組み合わせだなw
>大量のもずく
ちょっwwwハカロワの北川wwwwwwwww
瑞穂錯乱テラワロスw
堀江&神村ヴォイスで再生されたぜ。
とりあえずGJ!
元ネタのロワを調べてみた
・お鍋のフタ →ハカロワ3、テイルズロワ、劇場版バトロワ
・金盥 →初代ハカロワ
・大量のもずく →初代ハカロワ
・豆腐 →ラノロワ
・うまい棒 →テラカオスロワ
・腐女子向け同人誌 →AAAロワ
・アビシオン人形 →テイルズロワ
・きんのたま →ロリショタロワ
この書き手さん、かなりのパロロワ好きだなw
なにはともあれGJ
涼宮茜、周防院奏、高峰小雪で予約
つい数日前にここを見つけた新参ですけど高島一子で一本予約を入れてもよろしいでしょうか?
ちょwwwwwセイバーwww
ハズレどころか超大アタリじゃねかwwwwwwwww
一番のアタリかな?
伊藤誠(3番)は森林地帯を歩いていた。
特に目的はない。ただ、このような状況において1人だけで行動するのは危険だと思ったので一緒に行動してくれそうな人を探していたのだ。
(どうせなら知り合い……言葉や世界や泰介あたりと合流できたらいいんだけど………)
誠は自分の友人、知人たちのことを考えてみた。
――言葉はおそらく妹と行動しているだろう。世界も清浦や黒田と行動しているかもしれない。
加藤も今頃は同じクラスの連中と合流しているはずだ。
泰介は……わからない。でも、あいつのことだから女の子と行動してそうな感じがする。
「――そういえば俺は何を貰ったんだ?」
ほかの者たちのことを考えているうちにふと自分はどんな武器を貰ったのか気になったので確認しようと足を止めた。
――刹那。自分の目の前を何かが横切った。
「え?」
誠の前を通っていった『何か』は近くの木にバスッと命中するとビーンと振るえ、やがて動きを止めた。
――それは1本の矢だった。矢は真っ直ぐ、見事に木に突き刺さっていた。
「…………」
誠は僅かな時間、ただ無言で木に刺さる矢を見つめた。それと同時に考えた。
――おい。なんで矢がこんなところに刺さっているんだ?
――いや。ちょっと待て。これは……今飛んできてちょうど今この木に刺さったんじゃないのか?
――何で? 決まっているだろう。誰かが今ここに矢を放ったからだ。
――じゃあ、どうしてそいつはここに矢を放ったんだ?
――そんなの簡単な話だ……だってこの矢が本当に狙っていたのは……この木ではなく……
ガシャと自分が目を向けている方の反対――つまり後ろ――すなわち、矢が飛んできた方向から何かが音を鳴った。
「うわあああああああああああああっ!!」
誠は振り返ることなくそのまま自分が向いている方へと駆け出した。
駆け出すと同時に背後からビシュッと何かが飛んでくる音がした。それと同時に、右肩に提げていたデイパックに何かが当たった感触がした。
だが今の誠にはデイパックに目を向けている余裕などない。
(振り向いてはいけない! 振り向いたら………死ぬ! 殺される!!)
ただがむしゃらに走る。森の中を。草木を掻き分けて。ただ前へ。時に右へ。時に左へ。とにかく走る。
足を止めることなど許されない。止めることは『死』を意味する!
「……あらら〜。逃がしてぇ〜しまいましたぁ〜……」
誠がその場から走り去って少し、ほんの数秒時が過ぎた後、草むらの中からボウガンを持った少女が姿を現した。
戎美凪(5番)。御剣家に仕えている月詠真那直属の侍従――つまりメイドの1人だ。
本来ならいつも通り神代巽(18番)、巴雪乃(47番)と『3バカ』などと呼ばれるトリオを形成して行動するところだが、生憎にも自分が他の2人よりも少し先にスタートしてしまったので彼女はこの場所で2人を待つことにしたのだ。
――では、ただ仲間が来るのを待っていただけの彼女が何故誠を攻撃したのだろうか?
話を一度、先ほどより前の時間に戻す。
――美凪はスタートするとまず最初に自分のデイパックの中を確認した。デイパックの中には武器――ボウガンが入っていた。
その後、周辺の安全を一通り確かめると、教会から少し離れた場所で身を潜め巽と雪乃を待つことにした。
――それからしばらくすると、誠が自身の方へと歩い来ることに気づいた。しかし、誠の方は美凪には気づいていなかった。
だから美凪はとりあえずボウガンを構えた。彼が殺し合いに乗っている可能性もあるからだ。
それと同時に、誠の両手には何も握られていないことに気がついた。
――その瞬間。彼女は考えた。
――自分には武器がある。では、巽や雪乃、そして月詠や自分たちが仕えている御剣冥夜や白銀武はどうだ?
この聖杯戦争という殺し合いを始めた言峰という男は言っていたではないか『何が誰に当たるかはランダムだ』と。
それはつまり、ハズレ――武器とは到底いえぬ物も支給される品々の中には存在するということではないのか?
そして、もし巽たちにそれが渡ってしまい、殺し合いに乗った者たちの手に当たりの武器が渡ってしまったら……
――そうしてしばらく自分なりに考えた結果。美凪はひとつの結論に達した。
「冥夜様たちに牙を向けるであろう人たちはぁ〜みんなわたしが始末してみせますぅ〜!」
そうして彼女はボウガンのトリガーをぐいっと勢いよく引いた。
そして先ほどに至る………
「はあっ……! はあっ……!」
誠はあれから走り続けていた。ただ今は、逃げて逃げて逃げまくることしか考えられなかった。
「ちくしょう……なんで……なんでこんなことになっちまったんだよ……」
誠の心の中には『死』に対する絶対的な恐怖があった。
そして、それと同時に、もう殺し合いに乗ってしまった者がいたということに驚きを隠せなかった。
怖い……! 怖い……! 誰かに殺されるのは嫌だ……! 誰かを殺すのも嫌だ……!
俺は……俺はいったい……どうすればいいんだ!?
kaihi
「あっ!?」
次の瞬間、彼は木の根に足をつまづき勢いよく転んでしまった。
「――っ!」
一瞬身体中に痛みがはしる。が、別にどこも怪我はしなかった。
誠はうつ伏せになった身体をゆっくりと起き上がらせると、そのまま近くの木に背をもたらせてゆっくりと腰を下ろした。
(どうやら、なんとか逃げ切れたようだな……だけど……)
「これから俺……本当にどうすりゃいいんだ……?」
誠はそう呟き、はあとため息をつくと、ただぼんやりと虚空を眺めた。
「――あの……どなたかそこにいらっしゃるのですか?」
「!?」
ふと近く――前方の草むらから女の子の声がした。
「だ……誰だ!? 出て来い!!」
誠は警戒しながら立ち上がり声の主に向かって叫んだ。
すると少ししてガサガサと草を掻き分ける音をたてながら1人の少女が姿を現した。
――現れたのは菅原君枝(37番)であった。
【時間:1日目・午後3時25分】
【場所:森林地帯】
伊藤誠
【装備:なし】
【所持品:支給品一式(ランダムアイテム不明)】
【状態:君枝に遭遇】
【思考・行動】
1・君枝に警戒
2・死にたくないし、誰かを殺したくもない
3・殺し合いに乗った者(戎美凪)がいることを認識(ただし美凪の姿、名前は当然知らない)
4・一緒に行動してくれる人を探す(できれば友人、知人と合流したい)
菅原君枝
【装備:なし】
【所持品:支給品一式(ランダムアイテム不明)】
【状態:誠と遭遇】
【思考・行動】
1・誠に話しかける
2・以降不明
【時間:1日目・午後2時5分】
【場所:森林地帯】
戎美凪
【装備:ボウガン】
【所持品:ボウガンの矢(数十本)、ほか支給品一式】
【状態:マーダー化】
【思考・行動】
1・神代巽(18番)、巴雪乃(47番)、月詠真那(45番)、御剣冥夜(57番)、白銀武(34番)以外の参加者を極力排除
2・神代巽、雪乃と合流したい
3・2の後、月詠、冥夜、武の3人のうちいづれかの者と合流したい(優先捜索順位は月詠≧冥夜>武の順)
>>121
回避ありがと
やったっ! さっすが誠!
おれたちができないヘタレっぷりを平然とやってのける!
そこに痺れるっ! あこがれるぅ!(AA略
さて。俺も昨日予約したやつを仕上げるか……
ツマンネ
『呪縛なし自縛霊自爆レタス添え』
「ふぇぇ、ここはいったい何処なんでしょうか? と言うかなんで私はこんなところにいるんでしょうか?」
すでに薄暗くなりつつある森の中をあてもなく歩く一人の少女がいた。
その少女、高島一子(39番)の注意は見慣れない景色の方に向いていて、ほかのことに割くリソースはまったくないようだ。
まともな道はおろか獣道すらない森の中、当然足元が整地されているわけもなく、完全に前方不注意状態だった一子はすぐにその対価を支払わされることになった。
「学院にこんなところはなかったはずですし、でもでも私は学院から離れられない幽霊三等兵の身、ということはやっぱりここは学院の中のはずで…
ああ、もう訳が分かりませ……、ひゃああぁぁぁ!?」
ずべしゃっ!
伸びていた蔦に足を引っ掛け、盛大にずっこける一子。
完全に不意打ちだった上、さらに転んだところがぬかるんでいたからたまらない。
「………」
倒れたままどうにかあげた顔は泥まみれの真っ黒けになっていた。
「うぅぅぅ〜…さっきからいったい何なんですか!? 壁を擦り抜けようとしたら思いっきり鼻をぶつけるわ、小川を越えようと思ったら見事に落ちて濡れ鼠になるわ、
枯葉で足が滑って茨に突っ込むわ、あぁ、神様はなぜ一子にこのような試練を課すのですか!?
ただでさえまともな肉体すらない幽霊三等兵な私から壁抜けと浮遊をとったら何も残らないじゃないですかぁ!
それは確かに私聖人君子とは程遠いですし、冬はクリスマスとお正月を両方祝っちゃう典型的日本人ですけどこれはあんまりですぅ〜っ!
ああっ、もう父ちゃん情けなくて涙出てきた」
溜りに溜まっていた不満を一気に吐き出すようにまくしたてる一子。
そのまましばらく腐っていた一子だか、このままではどうしようもないと、起き上がろうとして…自身と同じく泥まみれになったパンを見つけた。
「ああっ!? たたた大変です! 私の分として与えられた糧がぁ〜っ!!? せっかくここまで一口も手を付けずに持ってきたというのに…ん? 持って…きた?」
自分の言葉にようやく疑問を抱いたのはその時だった。
一子はすでにこの世からとっくの昔におさらばしてまともにモノに触れることすら出来ない身(瑞穂という例外はあるが…)
それがなぜ今までパン(と言うか支給品一式)を持ち歩けたのか?
そんな疑問とこれまでの数々の悲劇を結び付け、一つの結論を出すまでそう時間はかからなかった。
「ああそうか、今の一子は壁抜けも浮遊も出来ない、けど足は地面に付けれるし、モノもフツーに持てるごくごくフツーの女の子になっているのですねっ!
………………って、ええぇぇぇぇーーーーっ!!? それは大変です!? これじゃあ私は幽霊三等兵はおろか、完全能無しお役御免の退役兵になってしましますぅぅ〜っ!!!」
つくづくオーバーなリアクションをする娘であるが、三つ子の魂百まで、馬鹿は死んでも治らない、これが彼女のデフォルメなので大目に見て欲しい。
「はっ!? よくよく考えたらモノが持てるということはつまり今の私なら念願だったお姉さまに私のお茶をご披露するチャンスということじゃないですか!
こうしてはいられません!! 早速お姉さまの元にいってお茶を淹れて差し上げなければ! 待ってて下さいお姉さまぁぁぁぁぁーーーーっっ!!!」
一子はかばっと起き上がると森の中を一目散に駆け出した。もちろん瑞穂の居場所はおろか行く当てすら無かったが。
「はぁぁぁ、よくよく考えたらココにはポットも茶葉も無いんでしたね。これじゃあお茶を入れて差し上げられません、というよりお姉さまは何所にいるんでしょう?」
誰にとも無く呟いてみるが、誰かが答えてくれるわけもなく、一子はその場で頭を抱えた。
「分からないことが多すぎます、ここはひとまず情報を整理しましょう! まずは持ち物チェックです!」
そういうと一子はディパックをさかさまにして中身を自身の膝の上にぶちまけた。
「え〜と、水と食べ物と〜、筆記用具に磁石に…これは地図でしょうか? あっ、名簿もありますね。それと………?」
一つ一つ中身を確認していた一子はその中に丸い緑色のボールのようなものがあることに気がついた。
とりあえず拾い上げて手で軽く叩いてみる。意外としっかりしていて、中身は空洞ではなく詰まっているような感じがした。
「これは一体なんなんでしょう? ボーリングの球…にしては穴がないし、武器というからには爆弾!? …にしては間が抜けてるような感じがしますし、
もしかしてキャベツ…って、キャベツはこんなまん丸じゃ…」
「ちぃとちゃうけど姉ちゃんだいぶいい線いっとんで」
「うわぁっ!?」
突然威勢のいい関西弁に度肝を抜かれた一子は思わず球を投げ捨てた。が、球は地面につくことなくふわりと浮き上がり一子の目の高さでぴたりと静止した。
目と口しかない顔文字ような生命体(?)とばっちり目が合う。
「ワイの名前はスフィアタム、略してタマちゃん(1208)や! 姉ちゃんの名前はなんて言うんや?」
「え、えっと…一子、高島一子です」
「そおかぁ、高島の姉さんやな、よろしゅう頼むでぇ、あっ、ついでに姉さん何所にいるか知らへんか?」
なにやら次々とまくし立てるをタマちゃん(1208)他所に、既に思考回路がパンクしていた一子はキャベツでいい線、ということはレタスでしょうか?
などと的外れなことを考えていた。
【時間:1日目・午後4時45分】
【場所:森の中】
高島一子
【所持品:支給品一式(あたりに散乱)】
【状態:高島一子、普通の女の子にもどりま〜す! タマちゃん発見。思考停止中】
【思考】
1・キャベツ?レタス?
2・お姉さまにお茶を淹れて差し上げる
タマちゃん(1208)【スフィアタム】
【所持品:なし】
【状態:(-・∀・-) 他のタマちゃんはいないようです】
【思考】
1・姉さん何所にいるんやろ?
2・高島の姉さんは何か知らへん?
備考【案】
高島一子について
・>>4のルール【能力制限】項目にあるように生身の人間とほぼ同じ状態になっています。
・壁抜け、空中浮遊ほか幽霊らしいことは何も出来ません。
・幽霊状態の一子はモノを持つことも瑞穂以外の誰かに触れることも出来ませんが、現状ではどちらも出来るようになっています。
・当然、餓えも渇きもありますし、飲食もできます。
スフィアタム(タマちゃん)について
・人格つきの自爆魔力アイテムです。
・原作同様、自爆したタマちゃんは復活しません。
・自爆のタイミング及び相手は使用者が決定できます。
・本来は建物すら吹っ飛ばす程の爆発力を発揮できますが、今は制限がかかっていてそこまでの威力はありません。
・いわゆる対人用設定になっているので、目標の至近にいると巻き添えを喰うかもしれません。
・一子の手元にはありませんが、他のタマちゃんやタマちゃんの“もと”も何処かにあるかもしれません。
投下乙。そしてGJ
やはり来たなタマちゃんw
ちゃんと番号もあるしwww
一子とはいろんな意味で面白いコンビになりそうだw
あと、
・森の中には小川が流れている
というフィールド設定も追加だな
サブタイトル見た瞬間ギャラクシー・エンジェルのアニメ思い出したw
とにかくGJ!
ボーイミーツ・ア・マン(致死量)
さて。
聖杯戦争34番参加者、白銀武(しろがね たける)は当然ながら、この殺し合いにおいて生き残る事を希望していたのであったが、
どうにも状況は切迫の極みであり、それは壁に掛けられた彼の目論みの成功率がぎゅんぎゅんと下がっている事を示してもいた。
そんな彼は、今現在の小目標として信頼出来る旧友たちとの再会を目指していた。
幼馴染であり、輝ける黄金の大渦(ドリル・ミルキィ・パンチ)を持つ鑑純夏(かがみ みずか)と御剣冥夜(みつるぎ めいや)を筆頭に、
実に得難い人材ばかりがよくも自分の周りに集まったものであるなぁ、と、
健康かつ、少々自堕落なイチ高校生としては、自称天才である所の某理科教員の説を論拠にして、彼女らとの出会いを信じたくあった。
そうすれば、不思議と生き残れるような酷く漠然としてはいるものの、比較的マシな未来を描くことが出来た。
勿論、それは『ばるじゃぁのん』なる電磁媒体遊戯に興じる彼。
実に何不自由なく日々を過ごす現代人らしい感性の影響下ではあるが、彼なりの論拠に基づいてもいる。
一つ。あのモジャおじさんの言葉を信じるのならば、これは間違いなく人死にが出るデス・ゲームである事。
二つ。残念な事に、彼は極普通の一般人。聖杯だの何だのと言った異星系の言語にはとんと縁が無い。
三つ。得難い人材である所の彼の旧友と再会すれば、脱出、とまでは行かなくとも比較的生存の確率を増やせるに違いあるまい。
と、言うのも御剣冥夜は剣の達人であり、また、その知性と決断力は彼自身の及ぶ所ではないし、
委員長と彩峰は高い運動能力と、ラクロスを経て培われた信頼と体力。
鎧衣には、このような状況下では何より頼りに鳴る遭難時の生存自活、鑑からは明朗さと高い白兵能力を期待できる。
これだけあれば、例え宇宙怪獣が相手だって勝てるに違いあるまい。
白銀は、彼らの事を全く疑っては居なかった。
さて、ここで疑問に思われる方も居られるだろう。
そう。まりもちゃん、あるいは狂犬『神宮寺まりも』、及び白銀が呼ぶ所の三馬鹿、香月教諭、涼宮茜についてである。
後者三組については、幸か不幸か、白金は聖堂にてその姿を視認する事ができなかったのであるが、
問題は『神宮寺まりも』であった。
──あれ、絶対、まりもちゃんの皮を被った用心棒だよな、とは白銀武の述懐である。
要するに、彼女は少なくとも白銀の知る『まりもちゃん』などでは断じて無かった。
身に纏うのは、どす黒い憎悪。一直線にモジャおじさんを見つめて離さない瞳。
神宮寺まりもとは、白金武の知る限り、善良かつお人よしな女性であり──少なくとも、
刃のように鋭い目をあのような場でする女性で無い事だけは確かだった。
見た目も白銀の知る『まりもちゃん』と全く同じである所のその女性は少なからず混乱を誘ったが、
賢明な事に、白金は彼女の事を深くは考えなかった。
「いい物入ってろよ……」
ジジジー、とゆっくりとジッパーを下ろす。無論ズボンではなく、支給されたディバックである。
白銀からすれば、大慌てで否定すべき事であるが、彼はその瞬間高揚を覚えていた。
元より、対戦ゲームに熱中する少年が、この異常な状況下だ。
例え、思わず現状とゲームとを無意識に重ね合わせていたとしても、攻めるべきでは無いだろう。
何せ、ここが街中であれば黄色い救急車や国家権力の犬めらに大声で助けを求めたくなるような、
妄想じみた事を平気でやってのける連中だ。武器と言うからには、
ズビーーーー!!だとかドッキューーーーン!!だとかいう物が入っていると期待するなというほうが無理である。
第一、余りにも重過ぎるのだ。よしんば不思議兵器で無かったとしても、重火器に違いあるまい。
そう信じて、白銀武がジッパーを下ろすと……
『中には マッチョがみつしりと詰ってゐた』
そんな幻聴を聞いた気がして、ジッパーを閉める。
見なかった事にして深呼吸を数度。そして再び開ける。
『バックの中には パンティーを握り締めたマッチョがみつしりと詰ってゐた』
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
白金は己を制する事が出来ず、その口からハジケた悲鳴をほとばしらせていた。
無理も無かろう。鞄の中に詰っていたのは、色黒のマッチョ。
しかも、微妙にシミの付いた見知らぬ少女のショーツを握り締めて、その彼は緩みきった寝顔を見せていたのだから。
女性ならばまだ良かった。どう見ても男で変態です。本当にありがとう御座いました。
驚くな、と言うのが無理な話である。
「う……ぅうん」
と、呻きにも似た声を漏らしたのは色黒マッチョであった。
瞬間、真剣に貞操の危機を感じ、脱兎の如く逃げ出そうとした白銀に、言葉が投げかけられる。
その意外なほど、正気じみた言葉に白銀は思わず振り返る。
けれども、マッチョは太ましいその腕に、ショーツを握りしめたままであった。
「問おう。君が私のマスターか?」
「問おう。お前は新手の変態かぁっ!!?」
白銀武
【所持品:支給品一式(周辺にまとめて置いてある)】
【状態:アーチャー?を召喚。令呪・残り3つ】
【思考】1・奥さん、変態です!!
2・知り合い、同志を探す
3・言峰を倒す
アーチャー
【所持品:なし】
【状態:召喚される】
【思考】
1・君が私のマスターか?
2・○○に耽っていた所を呼び出される。英雄だって男の子!!
うはww
俺も武で書いていたところで先客が……w
ええと、気にせずに俺の書いた奴もあとで投下していいか?
いいんじゃね?
活気は大事だし。
わかった
じゃあ夕方以降、今日中には投下するよ
さっそく被りが出たようですね。私も過疎具合ゆえ被りを気にせず投下に賛成です。
本筋になるかならないかの議論はそのうちやらなくてはならないとは思いますが、今は後回しでよいかと
で、ついでなんですけど現在執筆、若しくは構想している人は…
誠&君枝ペアの人と一子の人、茜他執筆中の人(IDが違うので多分違う人の筈)の他にどのくらい居ますか?
ちなみに私は今のところ読み專です
予約していた涼宮茜、周防院奏、高峰小雪の話を投下します
たぶん連投規制にひっかかると思うので、よろしければ回避よろしくお願いします
38番/涼宮茜は自身に支給された武器、S&W M60を片手に慎重に森を進んでいた。
彼女がまず最初に考え、そして決めたこと。それはもちろん親友である榊千鶴やそのクラスメイトたちとの合流だ。
千鶴たちと無事に合流できれば、きっとこの『戦争』などという名の殺人ゲームを打開する何かが掴めそうな気がするからだ。
「――それに、どんなに強い子でも1人じゃ不安だもんね」
――あの時、言峰綺礼という胡散臭い神父みたいな男は自分と同年代の1人の少女をなんの躊躇いもなく自分たちの前で殺してみせた。
生きていた人間が血と肉片と臓物を撒き散らし一瞬でただのモノに変わった瞬間……あの光景を思い出すだけでぞっとする。
心の奥底から恐怖という感情がまるでこんこんと湧き出てくる水のようにゆっくり、じわじわと生まれ、そして満ちてくる。
おそらく、それは他の参加者たちも同じだろう。今頃は恐怖に押しつぶされ、その結果、殺し合いに乗ってしまった参加者も少なからずいるのではないだろうか?
ああ、1人でいるということがこんなにも恐ろしくて不安なことだとは知らなかった。
「――って。なぁにビクビクしているのよ私は!? こういう時こそしっかりしないとね!」
そう言って茜は自分の顔を一度両手で軽くパンと叩くと「よし」と自身の気合いを入れ直し再び前へと歩み始めようとした。
ガサッ…
「ん?」
すると、少し離れた茂みからほんの僅かだが草を掻き分ける音が聞こえた。
――いや。こういう場合「聞こえた気がした」のほうが正しいのかもしれない。
(――もしかして……誰かが近くにいるの?)
茜はごくりと一度唾を飲み込み、持っていたM60を茂みの方にゆっくりと向けた。
もし茂みの中にいるのが人だった場合、殺し合いに乗っていないものかもしれないが、油断も出来ない。殺し合いに乗った参加者の可能性だってある。
「……そこに誰かいるの?」
試しに一度茂みの方に声をかけてみる。
もし隠れているのが殺し合いに乗っていない人間の場合、まずは落ち着いて話しかけるのが一番の方法だと判断したからだ。
「…………」
茂みからは答えはなかった。
それも無理はないだろう。こちらは銃を持っている。おまけにその銃口を相手がいるであろう場所に向けているのだから。
もし本当に人が隠れていた場合、そうむやみやたらに「いますよ〜」などと正直に答えるはずがない。むこうも自分が殺し合いに乗った参加者と思っているかもしれないからだ。
とりあえず茜は話を続けてみる。
「もし誰かいるなら聞いて。私は、こんな殺し合いなんて絶対に間違っていると思うの。だから私は仲間を集めてあの言峰って奴をやっつけてこの島から脱出したいと思ってる。
だから、もしあなたも同じ考えを抱いているならそこから出てきて姿を見せて。もちろん姿を見せるのが無理なら見せなくてもいいわ。そのかわり、返事だけでも聞かせて」
「…………」
それでも茂みからは何の反応もなかった。
――と思いきや、それから数秒後変化は訪れた。
ガサガサ…
「!」
再び茂みから草を掻き分ける音が聞こえてきた。そしてその音はどんどんこちらに近づいて来ている。
間違いない。やはり人だ。それにこちらに近づいて来ているということは、むこうも殺し合いに乗っていない者である可能性が高い。
だが油断は禁物だ。茜は一応銃は茂みの――音のする方に向けたままにしておいた。
ガサガサガサ……
ガサ……
――やがて、茂みの中から1人の小柄な少女が姿を現した。
少女は頭にステンレス製のやや大きめの鍋を被り、両手にはそのフタとおたまを持っていた。
「……これで準備は完了ですね」
43番/高峰小雪は森の中で自分の支給品を確認し、一通り準備を整えるとすっとその場から立ち上がった。
彼女の両手にはそれぞれ白と黒の計2振りの剣が握られていた。
――黒い陽剣・干将と白い陰剣・莫耶。
春秋時代に、呉王の命によって名工・干将が作り上げた夫婦剣である。
なぜそんな古い時代の代物がこんなところに存在するのか、という疑問もあるが、今はそんなこと言っていられない。
自身のマジックワンドである『タマちゃん』ことスフィアタムがない(おそらく主催が事前に取り上げたのだろう。用意周到なことで)以上、今はこれで戦っていくしかないのだ。
「殺し合いに乗ったほかの参加者たちよりも早く雄真さんや神坂さんたちと合流しなければなりません……急がなくては……」
そう呟くと小雪はたっと森の中を駆け出した。(が、駆けるといっても物音をたてぬように慎重にだ。普段ならば『早歩き』と表現したほうが判りやすい)
「おや……?」
少し移動したところでふと耳をすませると人の声が聞こえた。それも1人ではない。何か話をしているようだ。
(いったい何の話をしているのでしょうか……?)
小雪は草木の陰に身を潜めると、もう少し声がよく聞こえるように先ほど以上に慎重に近づいてみることにした。
「いきなり銃を向けたりして悪かったわ。私は涼宮茜っていうんだけど、あなたのお名前は?」
「す…周防院奏なのですよ……」
茜は早速目の前の少女――36番/周防院奏と話を始めた。
茜はすでに先ほどまで奏がいる方へと向けていた銃を下ろしているが、それでも奏は茜を警戒しているのか、ビクビクしながら自己紹介をした。
「奏ちゃん……ね。じゃあ奏ちゃん。単刀直入に聞くけど私と一緒に行動しない? 1人よりも2人でいるほうが安心だと私は思うんだけど……」
「た、確かに奏もそう思うのですよ……でも……」
「信用できない……まあそうよね。状況が状況だし。それに私は銃を持ってる。警戒されても当然ね」
茜は一度苦笑いをすると再び口を開いた。
「でもね奏ちゃん。考えてみなよ。もし私が殺し合いに乗っていたら、私は奏ちゃんが茂みから姿を見せた瞬間、即銃を撃っていると思うけど……?」
「あ……」
言われて見れば、といった感じで奏は一瞬はっとした顔をする。
「い、言われてみれば……確かにそうなのですよ」
「でしょ? それでも私が信用できないっていうなら私は諦めて別の人を探すわ。
その逆で、もし一緒に行動してくれるなら私は奏ちゃんに出来る限り強力する。もちろん、時には奏ちゃんの方に私の協力をしてもらったりするけど……」
「強力……?」
「そ。たとえば奏ちゃんがこの島で探したい人を私が一緒に探してあげたりとか……ね」
「探したい人ですか………」
奏は考えてみる。
確かに1人でいるよりは2人でいるほうが安全なことに間違いはない。
しかし、状況が状況。今は殺し合い、それも1人しか生き残れないという地獄のデスゲームの真っ只中だ。万一の場合裏切られるという可能性もある。
それに本当は茜はただ自分を利用しようとしているのではという考えも浮かんでしまう。
――別に奏は茜を疑っているわけではない。むしろ信用したいくらいだ。
だが、現状が現状なだけにこのような考えが頭によぎってしまうのも事実なのである。
「あ…あの。聞いてもいいでしょうか?」
「ん? なに?」
「茜さんはあの言峰って人を倒すと言ってました……でもそれって凄く危険なことだと思うのですよ?」
「うん。それは覚悟しているわ」
奏の問いに茜は頷いて答える。
「それなのに、どうしてそんなことしようと思ったのですか?」
「そうねえ………」
しばらくの間う〜んと考えた後、茜は再び口を開いた。
「……やっぱり、自分が正しいと思ったからかしら?
――私ね。この世界で本当に『悪い』奴はどんな奴なのかってことはだいたい判る気がするの。
この世界には悪いことする悪党は身近なところも含んでごろごろいるわ。ただ私たちが知らないだけでね。
だけど、そういう悪い奴らは何か深〜い理由があって悪いことをするから…う〜ん。こういうのも何か変だけど…まだ『いい』奴なのよ。
本当に『悪い』奴っていうのはね、『自分自身の為に弱い人を利用して、そういう人たちをただ踏みつけるだけの奴』のことをいうと思うの。
特にあの言峰って男は間違いなくそういう奴よ。悪者の匂いがプンプンする。この世界の全ての『悪』を凝縮したみたいにね。ただ自分が楽しいから私たちにこんなことをさせる。あいつは理由も何もない……間違いなく存在そのもの……生まれついての『悪』なのよ!
この島では、法律も規則も国家権力もなにも存在しない……だから私…いや。私たちがあの男を裁くの!」
「…………」
奏は目の前で言峰――そして、この殺し合いに対する怒りをあらわにする茜を見て、かっこいいと思う反面、そんな茜の姿がどこか自分の姉である宮小路瑞穂と似ていると思った。
それは瑞穂と茜が学院中の憧れの的であるエルダー・シスターと学園のアイドル(奏はそのことをもちろん知っているわけないが)という似たような境遇であるからこそなせるカリスマというものなのかはさだかではないが……
(――そうなのですよ。きっと瑞穂お姉さまもさっきの奏の質問には茜さんと同じようなことを答えたに違いないのですよ)
「――茜さん。奏は決めました。奏は茜さんと一緒に行くことにするのですよ」
「OK。そうと決まれば善は急げよ。まずは人が集まりそうなところへ行ってみましょ。もっと仲間を集めるためにね」
「はい! ……あ。そうだったのですよ。茜さん。これが奏に与えられた道具とその説明書なのですよ」
そう言って奏は自分が被っていた鍋とそのフタ、そしておたまを茜にじっくりと見せながら提げていたデイパックから説明書を取り出し、彼女に手渡した。
「ありがと。えっと、なになに……」
【忘れ得ぬ鍋セット】
ステンレス製の鍋とおたまのセット。
これで料理を作るもよし。水を溜めるもよし。
鍋本体をヘルメットの変わりに、フタを防具の変わりに、おたまを武器の変わりにするのもよし。使い方はあなた次第!
しかし1番のオススメ使用法は『空の鍋をおたまでかき混ぜながら逝っちまってる目をして相手に不気味な笑顔で微笑みかける』ことッ!
こうすればどんな相手もたちまちビビッて戦意喪失間違いなしだッ!
「…………」
説明書に目を通した茜はどう感想を述べればいいか判らなかった。
しかし1つ言えることがあるとするならば「この殺し合いの主催者はいったいどんな頭した連中なんだ!?」ということである。(まあ、それ以前に罪もない人々に殺し合いをさせる主催者の頭なんてたかがしれているが……)
「え…え〜と……奏ちゃん。正直これは支給品としては当たりなのかハズレなのか正直私には判断し辛いわ……」
「そうなのですか……確かに。奏もこれは一子さんの手に渡っていたほうがピッタリだと思ったのですよ〜」
「はあ……と、とにかく。まずはこの森を出ましょ。私が先を歩くから、奏ちゃんはその後について来て」
「はいなのですよ」
説明書を奏に返すと茜は自分のデイパックから地図と磁石を取り出し、それらを左手に、そして銃を右手に持つと再び森の中を歩き始めた。
――が。その足もすぐに止まってしまった。
「あの……そこにいる方々。ちょっとよろしいでしょうか?」
「ん?」
「はい?」
ふいに後ろから長い髪をした茜と同年代の少女――高峰小雪に声をかけられたからだ。
【時間:1日目・午後3時40分】
【場所:森の中】
涼宮茜
【装備:S&W M60(.357マグナム弾 5/5)】
【所持品:.357マグナム予備弾丸×20、支給品一式】
【状態:奏と行動開始。小雪と遭遇】
【思考・行動】
1・え〜と…あなた誰?
2・自身と奏の知り合い、もしくは仲間を探しに人が集まりそうなところに行く
3・自身と奏の身を守る
4・言峰(及び主催)を倒す
回避ですよお姉さまぁ〜
周防院奏
【装備:ステンレス製の鍋、鍋のフタ、おたま】
【所持品:支給品一式】
【状態:茜と行動開始。小雪と遭遇】
【思考・行動】
1・誰なのですか?
2・自身と茜の知り合い、もしくは仲間を探しに人が集まりそうなところに行く
3・茜をサポートする
4・茜さんはどこかお姉さまと雰囲気が似ているのですよ
5・空のお鍋とおたまの組み合わせは一子さんのほうが似合うと思うのですよ
高峰小雪
【装備:干将・莫耶】
【所持品:支給品一式】
【状態:茜と奏に声をかける】
【思考・行動】
1・茜と奏に声をかける(理由は後続の書き手さんにお任せします)
2・神坂春姫、上条沙耶、伸哉、小日向音羽、すもも、雄真、式守伊吹、高溝八輔、柊杏璃、渡良瀬準と無事に合流したい
3・以降不明(後続の書き手さんにお任せします)
【備考】
※タマちゃん(スフィアタム)は島にはいないと思っています
【武器解説】
・S&W M60
同社のM36のステンレスモデル。茜に支給されたのはその現行型である3インチモデル。
M36同様『チーフスペシャル』もしくは『チーフス』の名で呼ばれる。
3インチモデルは.357マグナム弾のほかに.38スペシャル弾の使用も可能。
・干将・莫耶
黒いほうが陽剣干将。白いほうが陰剣莫耶。
Fate原作中でアーチャーと士郎が最も多く投影した剣。原作での宝具レベルはC−。
互いに引き合う能力を持ち、それを利用してブーメランみたいに飛ばした後相手を挟み撃ちにしたりしていた。(アニメ14話のアーチャー対バーサーカー戦)
剣としての性能も高いが、巫術、式典用の魔術兵装としての側面を持つ。揃えて装備すると対魔術力と対物理力が向上する。
蛇足だが、アーチャーがこれを最大用法するとオーバーエッジという出刃包丁じみた物騒な形態になる。(上と同じくアニメ14話。アニメで初出した設定で、そのためにわざわざ奈須がこやまにデザインしてもらったらしい)
>>150
回避ありがとうございました
加藤乙女と宮小路瑞穂で予約
投下乙、そしてGJ!
小雪先輩の真意やいかにって感じの引きがチョベリグ(死語)です
そうか、ゴトゥーザ様ネタはそっちもあったんだっけ・・・すっかり忘れてた
香月夕子、西園寺世界、澤永泰介で予約
お〜、だんだんおもしろくなってきてる。
みなさんがんばれ。
そろそろ1人死人が出るかな?
「ねぇ、これからどうすんの?戦場の経験は豊富だって自慢してたけど」
加藤乙女は隣を歩いている”支給品”に向かって話しかける。
「そうですね…オトメはまだ人を殺めたことはないとのことですので、まずは手始めに1人適当な誰かを見繕って初陣と行きましょうか」
”支給品”の物騒な言葉にも乙女は動じない…もう何でもありだ、とその顔に書いてある、がそれでも少し顔からは血の気が引いている。
それを見てその”支給品”、煤けた金髪と金の瞳を持ち黒い鎧を纏った少女の姿をした”支給品”が鼻を鳴らして笑う、
その音が乙女には耳障りに思えてならなかった。
「大丈夫です、私も初めて人を斬った時は失禁し吐いてしまったものです、ですがすぐに慣れる…指南は任せてください」
話は少し前に遡る。
「逃げないでいただきたい、マスター」
ディバッグから現れた”支給品”に首根っこを掴まれがくがくと身体を振るわせる乙女。
自分では結構肝が据わっていると思っていたのだが、やはりこんな非現実的な状況を前にしては逃げださずには居られない。
それでも、もともと自信家なだけあって多少は震えも落ち着いてきた、
それに背後の気配からは少なくとも敵意は感じられない…ゆっくりと振り向く。
(まだ子供?)
少しだけ拍子抜けしたが、その子供の外見を上から下まで見て慌てて第一印象を訂正する。
確かに見た目は自分と同じか下手すると年下にも見える女の子だが、
黒い鎧を纏ったその身から放たれる威圧感、そして何よりもギラギラと不吉に輝く黄金の瞳、
死者のごとき白い肌、よく見ると黒い鎧にもなにやら侵食されたような赤い亀裂のようなラインが走っている。
「少しは落ち着いたようですね、では改めて問います、貴女が」
「ねぇ…その前に下ろしてくれないかな」
未だに首筋を掴まれたままの乙女の言葉に”支給品”は苦笑するのだった。
一通りの自己紹介と説明が終わり、2人並んで腰掛け空を眺める。
「アンタ何でも言うことを聞いてくれるの?」
乙女の問いにアルトリアと名乗る黒騎士は淡々とした口調で応じる。
「そのためのサーヴァントです、ただし力の及ぶ範囲であればの話ですが」
「じゃあ」
力の及ぶ範囲、という言葉が妙に気に障った。
「人を殺して欲しいって言ったら?」
「お安い御用ですよ」
即答するアルトリア、困らせようとしていた乙女は言葉に窮する。
「いるのですか?貴女にとって殺すべき相手が」
いる…と即答したいところだったがやはり言葉が出ない…たしかに桂言葉は自分にとって、
殺してやりたいくらいにムカつく存在だが…だがそれでもそれを口に出してしまうと自分の中の何かが、
崩れてしまう。そんな気がしてならなかった。
「迷っているのですね」
乙女の顔を覗き込むアルトリア、黄金の瞳がまた輝く…禍々しいにも関わらず逸らすことが出来ない。
「話聞いてくれる?」
自分を落ち着かせるかのように乙女は自分の中に溜め込んでいた桂言葉への憎悪と伊藤誠への思慕の念を、
アルトリアへと語って聞かせるのだった。
「ならば話は簡単ではありませんかオトメ」
話を聞き終わったアルトリアの金色の瞳がギラリと輝く。
「そのコトノハなる売女を殺せばいいのです、貴女の心のままに」
「でも…」
膝の上に置いた手を握り締める乙女。
「誠がそれでアタシのことを好きになってくれる保障なんてないし…だから余計ムカつくんだよね」
乙女の手を包み込むようにそっと握り、微笑むアルトリア。
「ならばマコトも殺せばいい、己の物とならぬのならばいっそ貴方の胸の中で永遠の生を与えればそれでよいではありませんか」
「アンタ!」
アルトリアの手を振り解く乙女、だがそれでも視線は彼女の顔から離すことができない。
「私と同じように…」
「じゃあアンタ…」
乙女の問いに皮肉げな笑みを浮かべるアルトリア
「ええ…僅か数日の逢瀬に過ぎませんでしたが、私にも愛しい者ががいました…ですが…」
それまでの蕩けるような微笑みがみるみる間に怒りの形相へと変わる。
「あの女が…あの売女が私から全てを奪った!私をこのような身体に変えてしまった上に…己の境遇と肉体をダシにして
私からシロウを奪ったのです」
(シロウ?どこかで聞いたような?)
少し視線を逸らす乙女にも構わず、アルトリアの鬼気迫る独白はまだ続く。
「なのに彼は騙されているとも知らず、己をすり減らしてあの女を何度も救おうとし…だから私は」
彼女の脳裏に浮かぶはかの大空洞…対峙するはかつての主にして、誰よりも愛しい男…
だがその瞳はもう彼女のことは見てはいない…だから。
『余力を残してどうするというのです』
「そして彼は私の腕の中で果てたのです…」
身の毛もよだつような独白はこうして終わった。
「じゃあ…じゃあつまりアンタは…」
惚れた男を自分の手で殺した…そう続けようとしたが歯がカタカタと震えて言葉にならない。
だが、逃げ出したい恐怖と同時に、乙女は目の前の黒騎士に対して奇妙な親近感を抱いていた。
(似ている…)
そう、確かに彼女と自分は似ているように思えてならなかった、それに
(どうせ殺し合いなんだよね…だったらさ)
自分はまたとない強力な武器を手に入れたのではないだろうか?
「分かったわアルトリア、組みましょう…アンタがアタシに力を貸してくれる限り、アタシもアンタに力を貸す…ええと
こういうの等価交換っていうんだっけ?」
乙女の言葉に我が意を得たかのように頷くアルトリア
「これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。ここに契約は完了した…貴女の勝利を約束しましょう」
そして話は元の時間軸に戻る。
「じゃあアンタを戦わせようとする場合はコレを使えばいいわけね」
拳の紋章をアルトリアに見せる乙女。
「そうです、この令呪を用いて命令して頂かなければ我々サーヴァントは戦えません」
不思議そうに令呪を見つめる乙女、だがそれを見やるアルトリアの目は冷たい。
そう…彼女は嘘を付いていた、何も令呪の縛りなくとも戦うことは充分に可能なのだ。
つまり彼女は己を縛る戒めから一刻も早く解き放たれたい、ただそれだけだ
主を騙している罪悪感などもはや無い、そのような余計な物はあの泥の中でとうの昔に捨てた。
ましてここにはシロウが誰よりも愛しき人がいるのだから…。
(待っていてくださいシロウ…え、もっと早く?申し訳ありません色々準備があるのですよ…ククク)
加藤乙女とアルトリアがかりそめながら主従の誓いを結んだころ
「じゃあセイバーさん、あの神父は」
「ええ…言峰綺礼、恐るべき男です」
瑞穂の言葉に答えを返しながらも上の空のセイバー…。
(シロウ、また貴方と会える)
その心はもう果たすべきサイカイへと飛んでしまっていた。
だが、不安がないわけではない。
確かにシロウの存在をマスターたる瑞穂の口から聞いたときは思わず泣いてしまうほど嬉しくて仕方がなかった。
たとえここが絶望の地であっても、また再び巡り合える機会を与えてくれたのだから。
だが、瑞穂と少しずつ言葉を交わしていく間に、セイバーの心の中にとある疑問が芽生えた。
「あの…ミズホ、今はいつ?なのでしょうか」
いつ?と問われて困惑した瑞穂だが、自分のいた時間だと気が付いて正直に応じる。
「XX年XX月XX日だけど」
その瞬間、落胆で視界がぐらつくのをセイバーは感じていた。
瑞穂の告げた時間は自分たちが出会った第五次聖杯戦争よりも数ヶ月前、
つまりまだ衛宮士郎は聖杯戦争に参加しておらず、したがって自分のこともまだ知らない。
「どうしたのですか?」
また涙ぐむセイバーの顔を拭いてやろうとして思わず硬直してしまう瑞穂。
しかし彼とて男、絶世の美少女の泣き顔は刺激的に過ぎる。
「申し訳ありません…騎士たる者涙を見せてはならぬと…」
だがそれでもセイバーの目から涙は止まらない…となると必要以上に関わるべきではないと思いつつも、
手を差し伸べてしまうのが宮小路瑞穂たる所以だ。
「ワケがあるのでしたら…是非お聞かせくださいませんか」
「…」
セイバーの言葉に絶句する瑞穂、どう答えていいのか分からない。
ただその辛さ、苦しさは充分理解できる…自分ならどうなのだろうか?
もし自分が彼女と同じ立場で、紫苑やまりやや奏が自分の事を知らない世界に紛れ込んでしまったら…。
(耐えられない…多分)
そこで自分の顔を心配げに眺めているセイバーに気が付く瑞穂、もう涙は止まっている。
「ごめんなさい…でも辛くてもやっぱり」
会わないよりは会ったほうがいい、そう告げようとした瑞穂を笑顔で制するセイバー、話すことが出来て楽になったようだ。
「辛いかもしれません…もしかしたらこの世界のシロウは私以外を選んでいるかもしれないですがそれでも構わない、
私はいかなる場所、いかなる時においてもシロウが愛し守りたいと思うものを愛し守る、それで満足です」
そう微笑むセイバーの姿のまぶしさをただ見つめるだけの瑞穂、
「じゃあ、とにかくそのシロウって人とリンって人を探しましょう、それにわたしも会ってみたいから」
社交辞令ではなく本気で瑞穂は思っていた、こんなステキな人をここまで惚れさせる人なのだ。
どんなに立派な人なのだろうか?
しかしセイバーはこれもまた笑顔でやんわりと断りを入れる。
「貴方にもいるのでしょう?大切な人がこの地に、それに今の私は貴方のミヤノコウジミズホの騎士です、
それを蔑ろにしてしまえば私のシロウはきっと怒る」
「でも…」
言いかけて瑞穂は止めた、これ以上はこの気高き騎士を侮辱することになる。
「わかりました、ならまずは私の友人たちを探すのを手伝ってくださいませんか?」
我が意を得たとばかりに頷くセイバーだった。
「しかしマスターとザーヴァントはどこかに共通点があるものですが」
2人で並んで歩きながら瑞穂の姿を見て興味深げに呟くセイバー、不思議そうに見返す瑞穂。
「いえ、私も生前は性別を偽って生きてきたものですから」
いきなりの看破に肩をビクッと跳ね上げる瑞穂。
(ば…バレてる)
「あの…その」
うろたえまくりの瑞穂に向かって微笑むセイバー。
「大丈夫ですその苦労は骨身に染みています、ですから誰にも言いませんよ」
「は…はは」
渇いた笑いで返す瑞穂、趣味って思われてたらやだなと思いながら。
【時間:1日目・午後5時45分】
【場所:浜辺】
加藤乙女
【所持品:支給品一式】
【状態:通常。令呪・残り3つ】
【思考】
1:桂言葉への殺意
黒セイバー
【所持品:なし】
【状態:通常】
【思考】
1:表面上乙女に従う(令呪を早く消費させたい)
2:間桐桜に復讐 、シロウに会いたい
【時間:1日目・午後5時45分】
【場所:耕作地帯】
宮小路瑞穂
【所持品:支給品一式】
【状態:通常。令呪・残り3つ】
【思考】
1・知り合いを探す、セイバーを士郎に会わせてあげたい
2・言峰を倒す
セイバー
【所持品:なし】
【状態:通常】
【思考】
1・瑞穂に従う、シロウに会いたい
ちょwww
黒セイバーwwwww
トリーズナー武
白銀武(39番)は森の中をがむしゃらに突っ走っていた。
「待ってろ純夏、今行くからな!」
武は純夏がスタートする際に「教会から出たら、そこから真ーっすぐ進んで、少し離れた所に隠れて待っていろ」と彼女に言っておいた。
見知らぬ地のため明確な合流地点は決められなかったが、そのほうがすぐに合流できるだろうし、なによりも安全だ。
こういう場合、あちこち動き回っているほうがかえって危険なのである。
――周りに注意の目を向けずただ前ばかり見て走っている彼の身も充分危険だが……
「そうだ。走りながらになっちまうが、俺が貰った物を確認しておかなきゃな」
武はそう言うと右手でデイパックのファスナーを少しだけ開け、そこに右手を突っ込んでごそごそと中を漁った。
しばらく漁っていると、なにやら片手でも余裕で掴めるサイズの堅い塊に手が触れた。
「ん? なんだこれ?」
武は直ぐ様それを掴んでデイパックから取り出した。
「…………おいおい。これってもしかして手榴弾ってやつか?」
デイパックから出た右手に掴まれていたもの……それは安全ピンが付いたスプレー缶のような代物――スタングレネードだった。
音と閃光により対象から戦闘力を一気に奪いとる非殺傷兵器――なのだが、本物など見たことがない武にとっては『ピンが付いたもの』=全て『ドカンと爆発する手榴弾』である。(別に間違ってはいないが)
「こ…こりゃあ取り扱いには充分気を付けなきゃいけねえな……」
それに殺傷力は皆無であることなど知らず武は恐る恐るそれをデイパックに戻した。
ちなみに武が支給品の説明書を取り出してその真相に気付くのは少し先の話である。
「そろそろタケルちゃんも来る頃かなあ?」
鑑純夏(09番)は座っていた木の根元から一度立ち上がると周りの様子を確認してみた。
このあたりは草木が少し密集しているため隠れるにはもってこいのエリアだが、その反面、隠れている方も周辺の様子を目視しづらいというデメリットがあった。
「う〜ん。やっぱりよく見えないよ〜」
純夏は生い茂る草木のあちこちの隙間から顔を出したり、遠くへ目を向けてみたが武や他の参加者の姿は全然確認できなかった。
「ま…まさか……タケルちゃん私に気付かずにとっくに通り過ぎて行っちゃったとか……!? うわーん! だとしたらひどいよう!!」
周囲に純夏のそんな声が響き渡る。
だがそんな純夏の声は誰の耳にも聞こえることはなかった――――はずだった。
――純夏の背後から、がさりと草木が掻き分けれる音が聞こえたような気がした。
「!? タケルちゃん!?」
やっと武が来てくれたと思い、純夏は即座に振り向いて音がした方へと近づいて行った。
しかし、次の瞬間姿を現したのは武ではなかった。
「えっ?」
黒い鉄の塊を右手に持った純夏よりひとつ、ふたつほど年下に見える少女が泣きながら凄い形相で純夏を睨み付けていた。
純夏はすぐに彼女が持っているものが銃であることに気が付いた。
「うわああああ! お願い、死んで! 死んでしまえぇ!!」
少女は純夏の姿を確認するとそう叫びながら銃口を純夏に向けた。
「ひっ!?」
純夏は直ぐ様その場から逃げだそうとした。
しかし次の瞬間、足元に生えていた草に足を取られて転んでしまった。
「あっ!?」
転んでもすぐに四つん這いになり、そのまま少しでも遠くへ逃げようとする。
純夏のそんな様子を見た少女はどこか安心感を感じていた。
「あは…あははははは……怯えてる。そんなに怖い? ぶるぶる捨てられた子犬みたいに震えながら逃げ出したくなるほど怖いんだ」
「嫌っ! 嫌ぁっ!! 来ないでえ!!」
けたけたと不気味に笑いながら少女は一歩、また一歩と純夏に近づいていく。
純夏も慌てて四つん這いで逃げていくが、徒歩と四つん這い歩きだ。どちらが速いかなど一目瞭然である。
「あははははは……! 七海が目の前でばらばらになっちゃって、世界たちはみんな伊藤にべったりで、澤永なんて話にならない……!
みんなきっと私が邪魔で鬱陶しくてしょうがないの。そういう目で私を見るの。
だからきっとみんな私を最初に殺しに来るに決まってる! だから殺すの!
殺される前に皆、みぃんなわたしが殺して、殺して、ころしてやるの!
そう。みんな殺す殺すころすころすコロスコロス……殺すのおおおおおお!!」
(お…おかしいよぉ……)
純夏はだんだん近づいてくる少女にさらに怯えながらその場を一歩一歩四つん這いで逃げていく。立ち上がりたくても身体に力が入らないのだ。
(殺される! 殺される! 私はここでコロサレル!
そんなの嫌だ……嫌だよ!
死ぬのは怖いよ。このままタケルちゃんたちに出会えずに1人寂しく死んじゃうなんてイヤだよ!
タケルちゃん。怖いよ。助けてよ。タケルちゃん……タケルちゃん……タケルちゃん……)
「タケルちゃーーーーーーん!!」
「純夏ああああああああああああああああ!!」
純夏の耳に誰かの叫び声が聞こえた。
その声が聞こえるのと同時に、純夏の視界に1人の少年が飛び込んできた。
――そう。それは紛れもなく純夏が待ち望んでいた白銀武その人であった。
――もし、本当に神様という者がこの世に存在するのならば、それはこのような瞬間(とき)を生み出すために存在するのであろうか?
「!?」
突然の武の出現に少女は一瞬驚愕した。
しかし、直ぐ様銃口の先を純夏から武に向け直し、そして引き金を引いた。
それと同時に、武が少女に向けて持っていたスタングレネードのピンを抜き取り、投げ付けた。
――辺りは一瞬にして激しい閃光と音に包まれた。
「――か! ――みか! すみか!! しっかりしろ!! 純夏!!」
――誰かの声がする。
耳にするととても安心する声。
ああ――そうだ。この声は………
「タケル……ちゃん……?」
「純夏!」
ゆっくりと目を覚ました純夏を武が慌てて抱き抱える。
「大丈夫か!? 俺が誰だか判るか!? どこも怪我はしていないか!?」
「…………ふふっ。なに慌ててるのさータケルちゃんは? 私はぜんぜん大丈夫だよ〜」
そう言って純夏は武の手を借りてゆっくりと立ち上がった。
「ね?」
立ち上がった純夏はくるりと武の方を向いてにこりと微笑んだ。
「あ…ああ……」
それを見た武も安心してほっと肩を撫で下ろした。
「……ねえタケルちゃん……」
「ん? なんだ?」
「バカーーーーーーっ!!」
「ぐほおおおっ!?」
いきなり純夏の必殺技、どりるみるきぃぱんちが武に炸裂した。
わけも判らず殴られた武は松井秀喜や王貞治もびっくりするほど綺麗なアーチを描き、そのまま数メートル後方まで吹っ飛んだ。
「い…いきなりなにす……」
「なにするだーっ!」ではなく「なにするんだ!」と言おうとした武だったが、純夏の顔を見た瞬間、彼は口を閉ざした。
――純夏は泣いていた。
「純…夏……?」
「うっ……ううっ……来るのが……遅すぎるよおっ……」
「…………」
「うくっ……ひくっ……す…すごく……こわかったんだぞおっ……!」
そう言うと純夏はがばっと武に抱きつき、そしてまた泣いた。
「…………ごめんな……」
武はそう呟くと純夏の頭をやさしく撫でた。何度も撫でた。
回避
「タケルちゃん……あの女の子は……」
「大丈夫だ。殺しちゃいねーよ。おまえといっしょで気絶しただけだ」
森の中を歩きながら武と純夏は先程純夏を襲った少女――黒田光(22番)のことを思い出していた。
「あいつは……たぶん怖かったんだと思う……」
「うん……」
「目の前で友達を殺されて……その恐怖に耐えられなかったんだろうな…………」
「うん……」
武は無言で自分の制服のズボンの腰のところにねじ込んでいた銃を手に取った。
ワルサー P38――先程まで光が持っていたものだ。
光が目を覚ました後、また誰かを襲わないようにと武があの後に予備のマガジンと説明書ごと取り上げたのだ。
――あの時、光は確かに銃の引き金を引いた――しかし、弾は出なかった。
安全装置が外されていなかったからだ。
光が錯乱していたこと、そして彼女に銃の知識がなかったからこそ起きた結果だ。それは、武にとってまさに『幸運』と呼べた。
もし、あの時安全装置が外されていたら……武はすでにこの世にはいなかったかもしれない。
――武は考える。
純夏のことを。冥夜のことを。
慧、千鶴、壬姫、尊人のことを。
そして先程純夏を襲った光や島にいるほかの参加者たち、あと……あの言峰のことを。
――この島に連れてこられた人々にはなんの罪もないはずだ。
それなのにあの言峰という男は突然そんな自分たちをどのような方法を使ったのかは判らぬが拉致し、いきなり「殺し合え」と宣言した。
――そして、そんな言峰に反発した光の友達は見せしめのために言峰に殺された……
なんの躊躇いもなく。なんの躊躇もなく……
kaihi
(――絶対に許さねえ……!)
武の中で主催者――言峰に対する怒りがさらに溢れてきた。
(言峰綺礼……てめえはこの俺がいつか必ず直々にぶちのめす!
そして……俺を殺さなかったことを後悔させてやるぜ……!)
それは紛れもなく武の主催に対する反逆――宣戦布告だった。
武はちらりと純夏の横顔を見た。
たとえ今自分たちがいる場所が地獄であろうとも、そこにいるのは普段と変わらない……いつもの鑑純夏だった。
武のかけがえのない大切な日常の象徴――それが今でも武の傍にいる。
武はそれが嬉しかった。
そして、その存在こそ自身が守らなくてはならないものだとも……
「純夏……」
「ん? なあに、タケルちゃん?」
「――おまえは絶対に俺が守ってやる。だから……絶対にみんなで生きて帰ろうな……!」
武はそう言うと純夏にやさしく微笑んだ。
そして純夏も――
「――うん!」
武に負けないくらいやさしく微笑み返した。
(――絶対に……守り抜いてみせるぜ……!)
そう決意しながら武は森の木々の隙間から見えるもう直日が沈みそうな空を眺めた。
【時間:1日目・午後4時】
【場所:森林地帯】
白銀武
【装備:ワルサー P38(9mmパラベラム弾8/8)】
【所持品:ワルサーの予備マガジン(9mmパラベラム弾8発入り)×3、スタングレネード(×4)、ほか支給品一式、携帯電話(改造品)】
【状態:健康】
【思考・行動】
1)純夏以外の友人、知人を探す
2)純夏を守り抜く
3)みんなで無事にもとの生活に帰る
4)言峰を直々にぶちのめす
鑑純夏
【装備:なし】
【所持品:萌えTシャツ、ほか支給品一式、携帯電話】
【状態:健康】
【思考・行動】
1)タケルちゃんとみんなを探す
2)置いてきた光が心配(複雑だが)
kaihi
【時間:1日目・午後3時15分】
【場所:森林地帯】
黒田光
【装備:なし】
【所持品:ランダムアイテムとその説明書以外の支給品】
【状態:気絶中】
【思考・行動】
1)気絶中(目を覚ました後の精神状態・行動は後続の書き手さんにおまかせします)
【備考】
※他のゲームに乗った参加者に見つからないように安全な場所に寝かせています
【武器詳細】
・ワルサー P38
第二次大戦期にドイツで開発された安価且つ信頼性の高い名銃。
日本ではルパンV世が愛用する銃として有名。
乙。そしてGJ
こっちのシリアスな感じの武もいいな
>>170 >>172 >>175
回避thx.
ロワ書くにあたってネタ集めとして久々にマブラヴ〜オルタをぶっ続けでプレイしたから
タケルちゃんがやけに熱血に……w
変態と武の続き書いていいかい?
スレ活性化のためにどんどん書いちゃってください
スタート後これまで登場したキャラとその行動などをまとめてみた
01/彩峰慧 耕作地帯から村(南側)へ。(午後12時35分)
03/伊藤誠 森林地帯。君枝と遭遇。早くもヘタレ化。(午後3時25分)
05/戎美凪 森林地帯。マーダー化。(午後2時5分)
06/衛宮士郎 海岸沿い。伸哉と行動する。(午後3時くらい?)
09/鑑純夏 森林地帯。武と合流(午後4時)/武を待つ(午後1時)
11/桂心 森林地帯。言葉と行動。(午後1時35分)
12/桂言葉 森林地帯。心と行動。性格はスクイズというよりサマイズっぽい。(午後1時35分)
13/加藤乙女 浜辺。黒セイバーと契約。言葉に殺意(半マーダー化)。(午後5時45分)
15/神坂春姫 刹那と行動。まずは誠を探す。(午後2時)
17/上条伸哉 海岸沿い。士郎と行動する。ランサーを召喚。(午後3時くらい?)
20/清浦刹那 春姫と行動。まずは誠を探す。(午後2時)
22/黒田光 森林地帯。気絶中。(午後3時15分)/未行動
25/小日向音羽 新都付近。おそらくすももと新都へ。(午後3時45分)
26/小日向すもも 新都付近。おそらく音羽と新都へ。(午後3時45分)
27/小日向雄真 森林地帯。マーダー化(午後4時)
34/白銀武 森林地帯。純夏と合流(午後4時)/アーチャーと出会う。奥さん、変態です!(時間不明)
36/周防院奏 森林地帯。茜と行動開始。小雪と遭遇。(午後3時40分)
37/菅原君枝 森林地帯。誠と遭遇。(午後3時25分)
38/涼宮茜 森林地帯。奏と行動開始。小雪と遭遇。(午後3時40分)
39/高島一子 森林地帯。タマちゃんと出会う(午後4時45分)
43/高峰小雪 森林地帯。茜と奏に話しかける。(午後3時40分)
58/宮小路瑞穂 耕作地帯。セイバーと契約。まずは友人たちを探す。(午後5時45分)
現在これまでの行動が一応判明しているのは以上の22名。
調べてみて面白いと思ったことは、後者の武だと、まりも、三馬鹿、香月教諭、涼宮茜がエキストラ編(もしくはオルタ)の者たちである可能性があること。(茜は君のぞ版の可能性もあり)
乙
少なくともあと39人(予約で3人登場するみたいなので36人?)は未登場がいるのか
ズガン(初登場で死亡)はあまりさせたくないからちょっと大変だな。まあ頑張って書くけどね(苦笑
というわけで小渕みなみ、三枝由紀香、柊杏璃で予約
で、結局どっちの武を採用するわけ?
ハカロワ3方式でどっちの続きか明記した上で続きを書いていってまともに続いた方を本筋にすればいいんじゃない?
個人的にはシリアスverの方が好きだけど…
いぬかみっ!モードの続きも見てみたいし…
>>いぬかみっ!モードの続きも見てみたいし…
ここからシリアスVerにつなげてみようか?
確か、武と純夏の出発時間には結構差があるし。
正義!!(ジャスティス!!)アーチャー仮面 (いぬかみっ!!ルート)
あーるー時は正義の味方。あーるー時は悪魔の手先。良いも悪いも状況次第。
ぴゅーっと何処へ行く。掃除屋アーチャー。
少し、説明を挟みたいと思う。
聖杯戦争、とは本来であれば七騎のサーヴァント──殆ど『魔法』の域である所の使い魔のような物──同士が、
彼らを呼び出したマスターと呼ばれる、主に魔術師からなる人間と共に戦う戦争である。
ここで言う魔法とは、人間には実現不可能な技術であり、それゆえにソレらを使う者達は畏敬の念を込めて魔法使いと呼ばれている。
それは兎も角。
本来そうであるから、と言って今回の異常な聖杯戦争でもサーヴァントが本来通りであるとは限らなかったのであった……!
アーチャーを呼び出した藪から離れ、木立の中で木を背に一人と一体は座っていた。
自己申告によれば、視力が良い、と言う所であるアーチャーの提案によって、である。
どちらかと言えば、真昼である事から彼には藪の中の方が安全にも思えたが、白髪頭によれば、
いざと言う時に備えて逃げ道は確保しておいた方がいいらしい。
「……」
ところで、武は、アーチャーと不可思議な名前を名乗った怪人の、主に頭部を凝視していた。
「なんだ。惚れたか?」
「惚れるかっ!!それよりもその二等辺三角形を今すぐ脱げ……っ!!」
と、言うのもアチャ男の頭には、先程彼が握り締めていたショーツがすっぽりとはまり込んで居たので。
おまけに、ここまでの道中と言うものアーチャーは何やらブツブツと訳の解らぬ事を呟いてはどこからとも無く下着を取り出してもいた。
本来であれば、こんな間違いようの無い変質者からは1secでも早く逃げ出したい白銀ではあったが、
そうも言っていられない理由があった。
言うまでも無いが、デス・ゲームの最中である事と、アチャ男なる変質者が述懐した所を意訳すると
「ごしゅじんさまぁ〜」となったからである。見るからに屈強な青年ではあるが、きっとバックの中に閉じ込められている内に、
精神に異常を来たしたのやもしれぬ。そう考えれば憐憫の情が武とて沸かぬでは無かったがやっぱキモイのでやめておきます。
さてさて。
変態のレッテルを張った輩に尻を向けるのは大変に危険ではあるから仕方がなしに武はアーチャーに向きなおり、
改めて君は何であるか、どうして鞄の中にディバックの中などに(女性の下着を握り締めて)入って居たのであるかと尋ねかけた。
そうすると、黒い服だけを身に纏った白髪男は何やら眉を歪めて難しい顔をしたのであるが、
すぐに、彼が見る所どう見ても一般人である所の白銀武へと口を開いたのであった。
「それよりも先ず、君は一般人のようだが……どうして聖杯戦争に参加しているんだ?」
「いや……そんな事言われても訳わからねぇよ!目を覚ましたら教会みたいな所に居て……いきなり殺しあえだなんて……
って言うか、質問に質問で答えたらテストで0点って知らないのかよ……」
進むにつれしぼんでいく武の言葉に(恐らく、日常を懐かしがっているのだろう)、何やら下着兵は考え込むような様子を見せた。
彼が考えている事柄は幾つかあったが、先ずは現状確認をしなければなるまい。
目の前にいる、どうにも頼りなくも見える少年ほどではあるまいが、彼もまた常ならざる登場によって混乱していたのである。
躊躇い無く下着を被っているのだし。下着しか出てこない。
(彼が気づかなかった事ではあるが、何か詠唱も『あいあむ・まいぼーん・おぶ・■■■』に変質していた)
──我輩はサーヴァントである。名前は思い出せない。
ふと気づくと鞄の中でぎうぎう詰つておつた所を、見知らぬ少年に拾われたのであつた。
なんでさ。
まあそこまでは良いとしよう。何故、このぱんてぃを肌身離さずもつておらねば霊体より実体化する事も叶わないのかも置いておく。
しかし、それらを差し引いたとしても、現状は余りに異常だ、と遅まきながら白髪は理解した。
前述したが、聖杯戦争とは本来魔術師が行うべき闘争。だが、目の前に居るのはどう見ても一般人。
少年に二等辺三角形の令呪があり、パスが通っているとは言え、さっぱり魔力自体は送られて来ない事からもそれは解る。
このままで居る限り己が命は幾ばくも無かろう、と瞬間的に予想するが彼にして見れば大した事では無い。
サーヴァントが聖杯戦争にて死ぬは定め。今更恐るるには足らぬ。
おぼろげながら生前の記憶はある。人としての知識もある。今回が、第五回聖杯戦争だ、とか
それに順ずる常識、知識は恐らく聖杯からのものであろう。
だが、それはあっと言う間に闇の中に飲まれてしまって定まらない。
──どうにも嫌な予感ばかりがしていた。
まるで、本来であれば正常である筈の『サーヴァント』こそが異常であるかの如く。
要するに、己は様々において制限されているらしく、今回の聖杯戦争は類を見ぬ程異常であるらしい。
そこまで考えて忘れていた事を思い出し、アーチャーは再び口を開いた。
「マスター、私は君のサーヴァントだと言ったが」
やはり奴隷とな!?ある意味告白とも取れる言葉に尻を押さえて武は戦慄するが白髪はニヒルな笑みを浮かべると言葉を続けて、
「いやいや、我が事ながらとんだ迂闊だ……状況が状況とは言え、ろくに説明も無しに連れ出してしまうとは」
そう言うと、まず君に危害を加えるつもりはない、と前置きを付けて、
「説明を忘れていたのは済まなかった、が、私も状況が掴めなくてね」
つまりそれは、語り合えと言うことだろうか、と武は考える。
じっ、と目の前の男を見る。額に輝くのは白い下着。その現実を直視せよ。
「でも、とりあえず頭のブツは脱いでくれ。いや、頼むから脱げ」
ごめん無理。しかし、次の瞬間のアチャ男は
「今はそんな事を話している場合では無いだろう。と言うか、脱ぐと私も困る。理由は聞くな。聞かないでくれ」
彼は彼自身にエクスタシィ。
はてさて。
一体これはどうした事であるのか。ため息の一つでもつきたい気分であった。
他人の性癖は何であろうと尊い!と自己に言い聞かせて白髪と会話を交わした武は聞くに付け語るにつけ、
余りにどんよりとした状況への疲れと、目の前の男への戦慄を強めていったのであるが、
それはそれとして有用な(しかし多くはアーチャーにとっては常識であった)情報もまた多くあった。
聖杯戦争と呼ばれる物について。サーヴァントと呼ばれる物について。そして、彼自身の(冗談としか思えぬ)様々について。
終始白髪の物言いに圧倒されていた彼ではあったが、比較的素直に受け取る事が出来たのは現代っ子故であった。
待てど暮らせど一向に姿を現さなかった友人達の安否も気になる所であるが。
──まぁ、サーヴァントの状態が確認できると聞き、目を閉じた時、まぶたの裏に浮かんだイメージが下着だったのには、
思わず、教えられたばかりの令呪で『ではアーチャー、自害せよ』と衝動的に言いたくなったものだが。
EXではきっと変態仮面が出るに違いあるまい。危険である。
一方で、アーチャーにとっても白銀武がもたらした情報は実に恐るべき物であった。
62名もの人間の殺し合い。アーチャーは、その多くがただの少年少女なのだと言う武の言葉を額面通りには受け取らなかったが、
いかにこれが異常事態であるか、と言う考えには確信を抱くにいたっていた。
そも戦争である。その報酬は聖杯──つまりは、万能の大釜と言う破格極まりないもの。
万金を積もうが手に入れたがる輩の数は限りないであろうし、そうであるからには持てる戦力の全力を尽くすは当然である。
一瞬思い浮かべたのは代理戦争と言う言葉。力を望む者共が、己の手を汚さぬ為に考えだした手段であった。
しかし、ただの空想であろうそれは切捨て、武の口から此度の聖杯戦争の形式を聞き終わると、
彼は現実的に何をすべきか、と言う思考へと移って地面の上にふんぞりかえった。
「マスター」
「武でいい。それとアンタの事はアーチャーと呼ぶからな」
「それは解ったがね。武、君は以後私の指示に従ってもらいたい」
「はぁ!?アーチャー、あんた、俺の支給品なんだろ」
素っ頓狂な声で反論する武にアーチャーはくい、と被り物(パンティ)を正すと少年を小ばかにするような皮肉っぽい表情を浮かべ答えた。
「いや何、君が余りに頼りなく思えたのでね。お互い、せっかく参加したのだから生き残らなければ損という物だろう。
心配はいらん。私に任せて、君は精々後ろでガタガタ震えていてくれれば良い。
むしろ私もこんなパンツしか投影できない状態で巻き込まれたくないから、なるべく参加者とは戦わずに済む方法を模索したいんです」
アーチャーは実に現実的な男であった。
「今、本音が混じらなかったか?それに、俺は純夏や冥夜達と──」
「なんでさ。この状況で合流を望むなど下策もいい所だぞ、武。それは美徳かも知れないが、どうやって合流すると言うのだ」
鼻息を吹くと、武はディパックから携帯電話を取り出した。御剣財閥謹製の特別製である。
正直に言えば彼は、アーチャーの態度が気に食わず、自らの誇るべき友人達を示す事でその鼻っ柱をへし折ってやりたくなったのだ。
フルカラーの液晶を眺めつつ、慣れた手つきでピポパ。
携帯電話は使えないのではないか、と言う言葉に、まあ見てなってと切り返す。
「もしもし、冥夜。繋がってるか」
数回のコールの後で繋がった受話器の向こう側へと、武は気安い調子で言葉を投げた。
「」
「おかしいな……冥夜?」
が、返事は返らない。何かにこすりつける音だとか、そんな僅かなノイズが聞こえるばかり。
「冥夜……冥夜?おい!」
「」
返事が──返事が無い!?武の顔が、瞬間的に真っ青になったのをアーチャーは見た。
誰かに見つかったらどうするつもりだ、と言う静止の言葉にも構わず何度も冥夜、と叫ぶ。
もしかしてもしかしなくても書きながら投稿してる?
もしそうなら投下する前にメモ帳かワードで全部書いてからコピペすることを奨める。
直書き投下だと誤字脱字とか話の流れの推敲とかが疎かになるし、過疎ってるとはいえ他の人の投下と被ったりするから、正直直書きは止めてもらいたい。
「へぇ──あの子」
そんな、うすのろな電波が届けた声を聞いた。
「誰だ手前ぇ!!冥夜に何しやがった!!答えろ!!!答えやがれ!!」
「そんな事はどうでもいいよ。ああ、それから……」
携帯電話に対して、立ち上がって激昂する武を見て、白髪は事態を察するが声はそれよりも早く言葉を投げかけていた。
「私の名前は三枝由紀香(みつえだ ゆきか)。それじゃね」
その名前を最後に、ぷっつりと電話の声は途切れた。同時に、がくり、と武の腕が垂れ下がる。
顔は呆然としていたし、足はしだいにがくりがくりと震え始めている。
冥夜が……?あの冥夜が!?
電話口から現れた声は、白銀武の心を一発の銃弾をも使う事無く打ち砕かんとしていた。
彼の脳裏には、声の主が本当は冥夜と合流した別の参加者であり、今のそれはその誰かの悪ふざけに違いあるまいと言う妄想が
もくもくと立ち上っており、慌ててかけなおすものの、返ってくるのは着信拒否、と言う冷たい言葉ばかり。
とりつかれたように携帯電話を弄くる武に、ややあってアーチャーが口を開いた。
「君の友人か?」
答えは無く、ボタンを操作する電子音がその代わりだった。
くそっ、そう吐き捨てると携帯電話をズボンのポケットに突っ込むなり、ディバックを引っつかんで走り出そうとする。
「落ち着け。君の友人が死んだ、とは限らないぞ」
「じゃあ何で違う奴が出るんだよ!冥夜は……冥夜は、こんな所で死ぬ奴じゃ無い筈なんだぞ!!」
「だからこそ、だろう。君は自分が生き残る事を考えるべきだ」
「何でだよ……冥夜が、冥夜が危ないってのに」
ふん、と息を吐くとアーチャーはさも失望したかのような声で言った。
「犬死するつもりか?そんな男の友だと言うなら、冥夜とか言う奴もたかが知れている」
「──ッ!」
「だから、と言って私に八つ当たりをするのは止める事だ、白銀武。
今、君に出来る事は冥夜と言う者の生存を信じる事で、すべき事は生き残る事だ」
「けど……」
アーチャーにしてみればそれは失笑ものの言葉であったが、早々に武に死んで貰う訳にもいかないと言う思惑があった。
召喚の手続きが甘かったのか彼は色々と混線した状態ではあったが、サーヴァントとしてはマスターの勝利は望む所であるし、
彼自身にしても、何故か聖杯には酷く惹かれていたのだった。
「アーチャー、俺」
アーチャーは次に何を言うべきか慎重に吟味していたが、不意に武が口を開く。
「やっぱ、皆を探しに行きたい」
それは真摯な言葉であったが、白髪頭の想定通りでもあった。
「……なぁ、駄目か?」
考える。ここで、否定する事は容易い。生き残る事を目的とするなら、好機をじっと待つべきであろう。
一度動き出す事を覚えてしまえば、容易くその選択肢を目の前の少年は繰り返す気がした。
が、それは主従の間に不和を巻く原因ともなろうし、後々を見据えるなら武器も欲しい。
戦闘の経験は兎も角、サーヴァントとしての己が今や、間違いなく並以下である事は彼自身が一番良く解っていた。
果たして。どちらがより賢い選択であろうか。下着兵は目を瞑り熟考を始める。
やがてアーチャーが目を開き、被り物の端を風に揺らしつつ、言った。
その顔は鉄のようであったが、髪の毛は丁二つに割れている。
「了解した。精々気をつけろ、マスター」
【時間:1日目・午後17時00分】
【場所:木立の中】
白銀 武
【所持品:支給品一式(周辺にまとめて置いてある)】
【状態:アーチャー?を召喚。後ろの方に危機を覚える。令呪・残り3つ】
【思考】
1・知り合い、同士を探す
2・冥夜を探す
3・言峰を倒す
アーチャー
【所持品:なし】
【状態:召喚される。召喚事故があったらしく弓兵から下着兵に。赤い外套、及びマスターからの魔力供給無し】
【思考】
1・サーヴァントの役目に則って、マスターを生き延びさせる
2・武器を探す
3・出来るだけ交戦は避けたい
>>もしそうなら投下する前にメモ帳かワードで全部書いてからコピペすることを奨める。
いや、一応そうしてる。
ただ連投規制に引っかかっちゃってね。
>>195
そうか、変に疑って正直スマンカッタ
いや妙な間が何度となく開いたから早とちりしちまった。
とりあえず言峰に歯向かってぬっ殺されてくる。ノシ
どうもみなさん、こんにちは。知らない人ははじめまして。わたくし、澤永泰介(31番)という多分どこにでもいそうな普通の学生でございます。
原作では親友の伊藤誠のあまりのヘタレっぷりのほうが目立ってしまっているせいで、どうも影が薄いキャラという扱いを受けておりますです。ハイ。
――さて。そういう話は今は置いておいて。話を進めましょう。
今わたくし――いや俺は、聖杯戦争などという殺し合いゲームに巻き込まれてしまっている最中でございます。
さらに、今俺の目の前には銃を持った白衣姿のおねーさんがその銃の銃口を俺に向けているではありませんか!!
無論、現在俺はホールドアップしているわけなのですが……さて、なぜこんな状況に置かれているのでありましょうか?
「あ…あの〜そろそろその物騒なものを下ろしてくれませんかねえ〜……?」
「ああそれは無理よ。まだ貴方が本当にこの殺し合いに乗っていないと確信できたわけじゃないからね」
泰介に銃――コルト・ガバメントを突きつけている女性、香月夕子(24番)はさらりとそう言い放った。
「だ…だから俺は本当に乗ってないんですよ! これから知り合いを探しに行こうとしていたところで……
それに俺に支給されたモノをよぉ〜く見てくださいよ! ハズレのハズレ、大阪名物ハリセンだぞ!? これでどうやって人を殺すっていうんスか!?」
そう言いながら泰介は大慌てで自分のデイパックからそれ――ハリセンを取り出した。
おまけとばかりにそれで近くの木を2、3回スパーンと叩いてみせる。
「――確かに、それじゃあ人は殺せないわねェ……」
「でしょ!? だから俺をさっさと解放して……」
「だから言ったでしょ。それは無理。無理なものは無理。確かに今は乗っていないかもしれないけど、いずれ何かしらの理由で殺し合いに乗る可能性だってあるもの。だから黙って貴方を行かせることはできないわ」
「んな無茶苦茶な……」
「――ところで貴方……澤永といったわねェ?」
「今度は何デスカ?」
「――貴方はこの世界の『可能性』というものを考えたことがある?」
「は?」
「突然この女は何を言い出すのだ?」と泰介は思った。
そんな彼の疑問はつい知らず、夕子は語り始める。
「この世界は……全て確率から成り立っている……つまり、その構成の謎を解き明かせば人間は特別な世界に飛び立つことが可能になる……」
「はぁ……?」
「この世に存在する可能性は無限大……そのひとつ、ひとつが別の世界としてこの世のどこかに存在するッ!
私たちが普段暮らしていたあの世界も、今ここで起きている聖杯戦争というゲームも、そしてそれにあたしたちが参加させられているのもそのうちのたったひとつに過ぎない!
あらゆる可能性が存在するぶんだけ『並行世界』――たとえば、あたちの世界では存在するはずがないものが普通に存在する世界とかがあってもおかしくはない!
その証拠としてあの言峰綺礼という男はこんな言葉を言っていた! そう、『魔術』!! あたしたちが存在していた世界などには存在していない……あるはずがない神秘!
それをあの男はまるで『普通に存在している』かのようにさらりと言ってのけた! つまりっ! この島はありとあらゆる可能性がひとつに交錯している場所――『クロス・ゲート』だといっても過言ではないッ!」
――次々と泰介にはわけのわからないことを論じていく夕子。
「某ミステリー調査班のメンバーもきっとこんな感じで毎回リーダーのメガネの電波理論を聞かせれていたんだろうなあ……」とそんな夕子の話を嫌々聞かされている泰介は心の奥底でそう思った。
おそらく今の彼女には聖杯戦争も殺し合いも関係ないのかもしれない。
そう。自身が今まで立証しようとしていた並行世界の存在――その存在の謎を解き明かせるかもしれない千載一遇の好機が訪れたのだから。
しかし、今夕子が言っていたことにはひとつ間違いがある。
それは、実は『魔術』というものは彼女や泰介――そしてこの殺し合いに参加している全ての参加者が住んでいるこの世界にはもともと存在しているモノだということだ。
魔術、およびソレを酷使する者たち、魔術師は普段はそのことを表向きにせず、正体と存在を隠しているだけに過ぎないのである。
――そのことがアダとなり今回彼女をここまで暴走させていることになったのだが…………
――それと関係ない話だが、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグという1人の魔法使いがこの世界には存在する。
万華鏡のごとく、同時に運営される並行世界を『個』として移動できる『第二魔法』の使い手である。頻繁に俗世と関わる変人で、はるか未来の常識を体現していると言われている男だ。
もし、夕子がこの男と出会えたら、彼女は間違いなく喜びで発狂寸前までイッてしまってもおかしくないだろう。
「――とまあ、兎にも角にもあたしはこの機を使ってそれを完全に立証しようと考えているわけ。そういうことなのよわかった!?」
夕子が話を終えたのは話を始めてから数十分、いや下手をしたら1時間以上の時が過ぎた後だった。
よくこの間に他の参加者――特に殺し合いに乗った者が現れなかったものである。
「……すいません。俺にはさっぱりわかんね〜っす…………」
いつの間にかぐったりと近くの木にもたれかかっていた泰介はいろいろな意味で痛くなった頭を押さえながら答えた。
「ふむ……どうして白銀といい貴方といい、みんなあたしの言っていることを理解してくれないのかしら……?」
そんな泰介を見て、夕子は自分の言ったことにどこか間違いでもあっただろうか、と思った。
「――なんか女の人の馬鹿でかい声が聞こえると思って来てみたら…………澤永、あんたなにやってんの?」
「ん?」
「あ? ――おお、西園寺じゃないか!!」
近くで人の声がしたので夕子と泰介がほぼ同時に目をそちらの方へ向けると、そこには呆れた顔をした泰介のクラスメイトである西園寺世界(28番)がつっ立っていた。
【時間:1日目・午後3時30分】
【場所:森林地帯】
澤永泰介
【装備:ハリセン】
【所持品:支給品一式、携帯電話(旧式)】
【状態:健康】
【思考・行動】
1)西園寺じゃないか!(とりあえず俺を助けてくれないか?)
2)夕子のもとから(いろんな意味で)早く逃げたい。誰か助けてくれ……
3)誠たちと合流したい
【備考】
※泰介の携帯はかなり古い機種でカメラも付いていない(原作1話参照)
香月夕子
【装備:コルト・ガバメント(.45ACP弾 7/7)】
【所持品:予備マガジン(.45ACP弾7発入り)×3、支給品一式】
【状態:健康】
【思考・行動】
1)澤永の知り合い?
2)並行世界の存在を立証する。(殺し合いには乗る気も乗らない気もないが、邪魔するものは容赦なく力ずくでねじ伏せるつもり)
3)とりあえず、まりもや武たちと合流できるならば合流したい
西園寺世界
【装備:なし】
【所持品:支給品一式(ランダムアイテム不明)、携帯電話】
【状態:健康】
【思考・行動】
1)澤永と……なんか変な人がいる
2)誠と刹那を探す