【BRU】バトル・ロワイアルU【聖杯戦争】

1 :名無しさん@初回限定 :2006/10/22(日) 21:00:28 ID:Jh4aHJM90

その日、僕らは運命に出会った―――



常に【sage】進行でお願いします

601 :名無しさん@初回限定 :2007/04/04(水) 07:28:12 ID:jX8Z2R4x0

放送乙
小日向音羽、小日向すもも、加藤乙女、黒セイバー、珠瀬壬姫
で予約 

602 :禍福は巡る(1/4) :2007/04/04(水) 12:04:57 ID:jpYjY/nF0

「…」
涼宮茜はただ無言で宙を睨む。
「嘘です、先生が死んでしまうなんて嘘なのです〜」
溢れる涙を隠そうともせず嘆きの声をあげる周防院奏、そして。
(ついにこれから始まる…私の戦いが)
高峰小雪は死者を悼むためにそっと閉じていた目を開き、決意を新たにする。
ましてもうすでに彼女の友人の1人である沙耶が死んでいる…全てを救うことは最初から叶わないにしても、
それでもやるだけのことはやらねばならない…そう決めたのだから。
「エル・アムイシア・ミザ…」

背後の気配に茜が気づいたのは決して偶然ではない。
一流のアスリートとして鍛え上げられた一種の勝負勘が彼女に背後の何かを伝え、だから反射的に振り向いた。
と、同時に小雪の呪文が完成する。
「ノ・クェロ・レム・ラダス・アガナトス」
「奏ちゃん!」
何が起こったのか反応どころか気が付いてさえもいない奏を押し倒す茜、その頭上を掠めるように魔力の渦が通り過ぎる。
「小雪さん…あんた、どうして」
信じられない、そんな表情で小雪に問う茜。
「仔細を語る気はありません…ただ皆さんを狩る、それだけです」
本当はもっと言うべき言葉もあるのだが、あえて突き放した態度を取る小雪、それに内心焦ってもいた。
(魔力が弱まっている…)
このまま長引けばこちらに不利、しかも自分はサーヴァントを従えている、そのための魔力も残しておかねばならない。
あと数発でけりを、できれば一発でつけなければ返り討ちだ。
また呪文の詠唱に入る小雪、しかし茜も今度は黙っていない、覚悟の眼差しでマグナムを小雪に向けて構える。
その手は震えてはいるが、迷いはない。このまま引き金を…だが。
「ダメなのです!」

603 :禍福は巡る(2/4) :2007/04/04(水) 12:05:50 ID:jpYjY/nF0

叫びと共に奏が躍り出る、しかも茜を止めようとして。
「今のは何かの間違いなのです、小雪さんが悪いことをするはずがないんです、だってだって小雪さんは魔法使いなんですから
だからきっと魔法で皆を助けてくれるはずなのです」
茜にすがりつき、そして小雪に乞うように叫ぶ奏…小雪が僅かに視線を逸らす、が。
「ごめんなさい…奏さん、魔法使いは何でもできるわけじゃなく、そして全てを救えるわけじゃないんです…だから」
茜が奏を押しのけてまた銃を構えるが、もう遅かった。
「ごめんなさい」
小雪から放たれた魔力の渦が、今度こそ2人を崖下へと吹き飛ばした。

森を抜け、必死で山道を走る渡良瀬準。
6時を僅かに過ぎてしまっている…間に合うか、小雪はおそらくこの山頂にいる、足跡を頼りに上へ上へと走る。
そして山頂に着いた時だった、そこには確かに高峰小雪がいた、いつもの微笑を浮かべて。
「沙耶ちゃんが…」
「ええ」
ややぎくしゃくとしつつも再会の挨拶を済ませた2人だが、やはり会話は弾みようがなかった。
「ですがよかった、こうして会うことが出来て」
それでも笑顔で準の手を取る小雪、その瞳には嘘偽りは決してない。
「あたしも…沙耶ちゃんは…その…残念だったけど」
上手く言葉に出来ないもどかしさを覚えつつも苦労して会話を続ける準。
「でも小雪ちゃんに出会えてよかった、あとは雄真たちを探そう」
「そうですね」

やはり味気ない言葉を返す小雪…準の登場は彼女にとって全くの予想外だった。
しかも…崖下に眼をやる小雪、このタイミングだと目撃されている可能性すらありうる。
だが…準はこう見えて一本気なところがある、あんなところを目撃しようものなら、
怒りに任せて自分にかかってくるはず。
それが無いということはひとまず安心か…それにもう自分は手を汚すつもりはない、
あとはあの赤い弓兵がしっかりと役目を果たしてくれるはずだ、だから自分は準を守ることに専念しよう。
そう心に定めた小雪はまた改めて準の手を強く握った。

604 :禍福は巡る(3/4) :2007/04/04(水) 12:06:35 ID:jpYjY/nF0

一方の準もまた考える。
確かに表面上、小雪には何の変化も見受けられない、だが準には確信めいた予感があった、
おそらく彼女は高峰小雪はすでに誰かを殺めている、と。
今こうして落ち着いていられるのも、おそらく何らかの手段によって自分の手を汚さずに事を済ませる術があるからなのだろう。
ポケットに忍ばせた奇妙な短剣を指でなぞる準、契約破りの剣だとあの神父は言っていた、
最初はこの剣で小雪を刺せと言っているのかとも思ったが、どうやら違う…最終的にはそうなるのかもしれないが、
それはきっと小雪の得た手段と関係しているはず、だから準は自重することにした、確たる証拠を掴むまでは決して動かない。
もし自分の疑念が小雪に伝われば彼女はためらいなく自分を殺すはずなのだから。

そして2人がいる山頂から、はるか下の地上では、
「奏ちゃん…」
茜はぼんやりと目の前の光景を眺めていた、あれほどの高さから落とされたにも関わらず彼女はほぼ無傷だった、
落ちる過程で突っ込んだ大木の葉や枝々がクッションになってくれた上に、下が柔らかい茂みになっていたのが幸いした。
だが…一方の奏は落下点にあった石によって頭を砕かれ、即死していた。
「運が…なかったね」
ほんの数メートルの差で生死が分かれてしまったことについてぽつりと呟く茜。
もはやそれ以上の言葉は出てこなかったし、涙も出なかった、何故なら悲しみよりも小雪への怒りの方が遙に大きいのだから
「必ず敵は取ってみせるから」
自分を奮い立たせる茜、だが相手は魔法使い…悔しいが自分1人ではどうしようもない、
ともかく仲間を探さねばならない、きっといるはずだ、彼女に対抗できる力を持っている人間が、
そして奏のように優しい心をもった人間もきっと。

605 :禍福は巡る(4/4) :2007/04/04(水) 12:21:39 ID:iFKVjDum0

【時間:1日目・午後6時10分】
【場所:山頂】
高峰小雪
【装備:干将・莫耶】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康(魔力欠乏中)、ジョーカー、令呪残り3つ】
【思考】
 1渡良瀬準を守る(ジョーカーとしての任務はアーチャーに任せる)
 2神坂春姫、上条伸哉、小日向音羽、すもも、雄真、式守伊吹、高溝八輔、柊杏璃と合流したい
 【備考】
 ※タマちゃん(スフィアタム)は島にはいないと思っています
 ※アーチャーから真名は聞いていません
 ※アーチャーの殺害数も自身の殺害数としてカウントします

渡良瀬準
 【装備:ルールブレイカー+支給品(不明)】
 【所持品:支給品一式】
 【状態:健康】
 【思考】
 1小雪がジョーカーであるという証拠を探す
 2神坂春姫、上条伸哉、小日向音羽、すもも、雄真、式守伊吹、高溝八輔、柊杏璃と合流したい

【場所:森林地帯】  
涼宮茜
【装備:S&W M60(.357マグナム弾 5/5)】
【所持品:.357マグナム予備弾丸×20、支給品一式】
【状態:かすり傷は多いが健康】
【思考・行動】
 1奏の敵を取る
 2言峰(及び主催)を倒す

【周防院奏:死亡 残り52人】

606 :名無しさん@初回限定 :2007/04/04(水) 12:58:52 ID:U/vM4Wc1O

奏ちゃぁーん!!!
………orz<解ってたさ、こうなるって解ってたけど……

んでもって乙。

607 :名無しさん@初回限定 :2007/04/04(水) 14:48:46 ID:hKA0hJZU0

ガンバレ茜。親友はもう死んでるけど、どこぞのヘタレ大王とは一味違う様を期待してるぜ。
そして乙。

608 :名無しさん@初回限定 :2007/04/04(水) 17:20:33 ID:OrZOQHWRO

ギャルゲの孝之のことかーーー!?


ところで、準は小雪先輩は『ちゃん』じゃなくて『さん』じゃなかったか?

609 :名無しさん@初回限定 :2007/04/04(水) 20:12:07 ID:S8HeCtJd0

奏ちゃんが氏んでしもた…
なんて事だあああーーっ!!!

瑞穂は何をやっとるんだ!?
て事で予約w

610 :名無しさん@初回限定 :2007/04/05(木) 13:19:57 ID:oW9tDG5d0

伸哉と士郎で予約

611 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:29:16 ID:c589qrG00

「待って…」
先頭を行く高溝八輔が珠瀬壬姫を制するように片手を広げ、
それから探知機のモニターを見るように彼女に促す。
「誰かいる…様子を見てくるからここで待っていてくれ」
「わかりましたぁ」
「へ」
引き止めてくれることを期待していた八輔は壬姫の素っ気無い態度に思わず仰け反ってしまう。
「あの…さ…その」
「様子見てきてくれるんですよね」
「いや…その…」
(普通ならここで貴方一人にそんなことはさせられないとか何とか言ってくれるんじゃないのか!
というか少しくらい心配してくれてもいいじゃないか!)
八輔のシナリオとしては引き止める壬姫を振り切って先へと進み、そして無事正解生還、
これでますます彼女は俺に夢中、という筈だった、だが…。
「どうしたんですか?行かないんですか」
「あ…はい、それじゃ…行きます」
(だめだ、天然には勝てないよ)
がっくりと肩を落として歩き出す八輔だった…それでも肝心な一言だけは忘れない。
「いいかい、戻るまでここを動かないでくれよ」
それが17時55分のことだった。

そして18時10分、案の定珠瀬壬姫は夕闇の中一人浜辺をとぼとぼと歩いていた。
級友の死を聞いていてもたってもいられなくなり、感情の赴くままに泣き叫び、そして走った、で。
「ううう…迷っちゃった…」
ああ…八輔が、彼が妙な色気を出さなければきっとこれからの惨劇は起こらずに、
済んでいたかもしれなかったのに。

612 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:30:18 ID:c589qrG00

「よかった…」
加藤乙女は放送を聞き終わり安堵の溜息をつく。
伊藤誠はまだ死んではいない、だが次の放送まで彼が生きている保障はどこにもないわけで、
とにかく急がねばならない、何としても早く彼を探し出すか、あるいは…
乙女は自分の足元に転がる小泉夏美の死体に目をやってから、
そして自分の傍らに控える黒騎士へと視線を移す。

「覚悟を決めたようですね、オトメ」
黄金の瞳を禍々しく輝かせ、ことさら慇懃な態度を取るアルトリア。
「うん、結局勝ち残るしか道はなさそうだしね…それにもう、戻れないしね」
その言葉に頷くアルトリア、これでいい…主が覚悟を定めねば騎士は動けない、とはいえ、
(背中を押したのは私自身なのですが…これでは騎士ではなく奸臣そのものですね)
喉を鳴らして含み笑うアルトリアをちらりと見る乙女、
その禍々しさには未だ馴染めないものを感じずにはいられない、だがもうそれについても考えない。
割り切ろう。彼女は自分にとっての「武器」に過ぎないのだと。
「これからどうしよう」
乙女は武器に意見を求める。

「やはり戦うしかありません、先手必勝ですよ…しかし私としては
あえて休息を取ることを進言したい…体力に自信があるとはいえどオトメはまだ戦になれてはいない
心の高揚が収まればその疲れはたちまち体を蝕む、だからここは今後のために小休止です」
「え、でもそれじゃ」
「心配は無論理解できます、ですが聞くところによると殆どの者が戦を知らぬ者たちとのこと
ゆえに夜の動きはおそらく少なくなる筈、だからこそ今、休息を取るべきなのです」
アルトリアは乙女に地図を示す、このまま海岸沿いに出れば街につく。
「別に野営でもこちらは構いませんが」
「うーん、野宿は嫌ね…なら行きましょ」

613 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:31:17 ID:c589qrG00


「早くしなさい、日が暮れるわ」
小日向音羽は小日向すももの手を引いて街への帰りを急いでいた。
最初は新都で息を潜めて待っているつもりだったのだが、
「お母さん、やっぱり私たちだけ待ってることなんてできないよ」
ホテルの一室でその言葉を聞いたとき、音羽は正直迷った。
無論、娘を危険にさらすような真似はできない、だがこの状況においてなお人を案じる、
娘の優しさを無為にしたくないのもまた事実だった。
「だめですか、お母さん…」

すももの肩が小刻みに震えている、彼女とて怖いのだ…だがそれでも精一杯の優しさと勇気を持って、
立ち上がろうとしている、音羽は笑顔で俯き加減の娘の肩を抱えるとすももの震えは止まる。
「いい、すももちゃん…あなたが助けたいのは雄真くんや春姫ちゃんたちだけ?それとも…」
「違うよお母さん、私が助けたいのは…」
「もういいわ、今ので分かったから」
音羽の言葉に抗議しようとしたすももを笑顔で制する音羽、
もし娘が自分の知り合いだけを優先するようなことを言えば決して許さないつもりだった。
だが…結果は違った、それもうれしい方向に。
(喜んでください、私たちの娘はこんなに優しく、強く育ちましたよ)
音羽は遠い空の下にいるであろう自分の夫に心の中で語りかけ、
娘に悟られることなくそっと涙を流すのだった。

そして今2人は夕闇の仲を走っていた。
やはり放送を聴いてからのすももの落胆ぶりはかなりのものだ、まして死んだのは彼女の親友だ。
だがそれでも音羽はあえてすももを叱咤する。
「立ち止まる暇はないわ、泣くなら後で泣きなさい!」
強く強く娘の手を引き走る母、海岸が見える…このまま浜辺沿いに歩けば街に入れる。
「もう少しよさぁ、がんばって」
「まだ安心するのは早い」
「え!」

614 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:33:12 ID:c589qrG00

音羽が振り向く間もなく横なぎの何かが体を打ち、音羽はすももごと浜辺へとふっ飛ばされる。
口の中の砂を吐き出し視線を上げた先にいる者を見て音羽の全身が総毛立つ。
色褪せた髪、狂気に彩られた瞳、そして闇のごとき黒き鎧を纏った少女、
自分の娘と同じかもしかすると年下かもしれないにも関わらず、まるで死神に近い印象に思える。
「殺すのね…」
「ええ」
アルトリアの言葉を聞いた瞬間、音羽は即座に彼女の足元に跪いていた。
「私は死んでも構いません!でも娘は…すももだけはどうか何卒!」
「お母さん駄目!そんなこと言ったら!」
「いいのよすももちゃん!お願いします何でもいたします!だからどうか」

「何でもする…ですか、なるほどなるほど」
音羽の言葉を反芻し、楽し気に笑うアルトリア、
「何時の時に置いても肉親の情は変わらない、というわけですね…いいでしょう、ならば」
彼女の目にとぼとぼと浜辺を歩く少女が入る、ピンクの髪は夕闇の中でもよく目立った。
「見えますかあの娘が…」
頷く音羽。
「殺してきてください、さすれば娘共々解放しましょう」

「はにゃ?」
海風に気を取られている間だった、壬姫の目の前にいつの間か誰かが…小日向音羽が立っていた。
沈みかけの太陽に照らされたその姿はまるで幽鬼のように憔悴していた。
「ごめんね…ごめんね…ごめんね…」
音羽はまるで呪文のように謝罪の言葉を口ずさみながら壬姫へと襲い掛かった、その手には日本刀、
俗に古青江と分類される逸品が握られていた。
だがまかりなりにも武術の心得がある壬姫はそれを辛くも避ける。
「あああああっ、お願い逃げないでぇ!」
哀願の叫びを上げて刀を振り回す音羽、今の自分の行為が正しかろうが間違っていようがもはや関係ない。
子を守るのが親の定めだ、たとえ殺人という禁忌に手を染めたとしても。
「そんなこといってもあたったら殺されちゃいますぅ〜」
口調こそのんびりとしているが壬姫の動きはかなり素早く、それが音羽の焦りを余計に誘う。
涙で曇った視界の中、必死で出鱈目に刀を振るうその姿はコントのようにも思えた。

615 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:34:07 ID:c589qrG00

それをまるで興味なさ気に見るアルトリア、
むしろ興味は音羽よりも自分の主である乙女の方に向いている。
「許さない…絶対に許しません!この悪魔!」
唐突にすももが叫ぶ、ちなみにその首筋にはアルトリアの魔剣が突きつけられている。
「ブリテンの守護者にして絶対かつ永遠の王たるこの私を悪魔呼ばわりとは…許しがたき所業ですね」
アルトリアのつま先がゆっくりとすももの腹に食い込んで行く。
「私に言わせれば弱さこそが悪ですよ…そして弱者を蹂躙することは強者の特権にして愉悦なのです
ね、オトメ」
主に同意を求める騎士、が主はガクガクと体を震わせただ事の成り行きを見守るだけだった。
(こんなの…こんなのって…)
この黒き鎧の少女はまさに悪魔以外の何者でもない、そして一時とは言えどそれに賛同した自分も…。

「うぷ」
不意にこみ上げる吐き気に口を押さえる乙女、少しだけ眉を潜めるアルトリア、その時だった。
わずかに剣の切っ先が緩んだのを見、そのまま駆け出すすもも、
無論それに対処できないアルトリアではない、薄ら笑いすら浮かべてすももの背中に手を伸ばしたとき、
顔に何かがかかった、それがすももの投げた砂と知った瞬間、
アルトリアの表情はまさに悪鬼のごとき形相へと変貌する。
「舐めるなぁ!小娘があぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「だめぇ!!」
叫びと共に乙女の左手の令呪が光を放ち、アルトリアの動きが止まる。
その間にすももは荷物をひったくると母親たちを止めるべく浜辺を駆けていった。

ちなみにまるでコントのような戦いも終焉に近づいていた。
逃げ回っていた壬姫だったが、ついにぬかるんだ浜辺に足を取られ転んでしまったのだ。
「これで…これで…」
はぁはぁと呼吸を荒くしながら汗だくで刀を振り上げる音羽、もう足元に注意を向ける余裕はない。
だから気がつかなかった、自分が壬姫のリュックを踏んでいたことも、そしてそのリュックの中から、
影のような何かが溢れ出していたことも…。

616 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:35:51 ID:c589qrG00

(あれは…そういえば)
ぼんやりとその光景を眺める壬姫。
「これヤバそうっス!知り合いの魔法使いに見てもらったほうがいいっスよ」
と八輔に言われて封を解かなかった支給品、黒い泥のようなものが入った杯…。
(そっかぁ…あれか…って!)
いち早く正気に戻った壬姫が音羽を捨て置いて一目散に逃げ出す。
追いかけようとした音羽だが、何かに背中を突き飛ばされて海中へと投げ出される。

水面に顔を出した彼女が見たものは、自分の代わりに影に飲み込まれる娘の姿と、
「クククク、アーッハッハッハッ、コトミネも味な真似を…さぁ祝いなさい、貴方の娘は私と同じく」
狂ったように笑う騎士の姿、そしてその声が止まぬ間に影の中からすももが…、
いや、かつて小日向すももであった少女が姿を現した。
その栗色の髪は色褪せた褐色に、緑の瞳は濁った鳶色に…そして肌は死者のごとく白く、
首筋から頬にかけ、まるでかの黒騎士のように赤い痣が走り…
「闇に己の心を捧げ、新たに生まれ変わったのです」

「うそ…うそよ…すももちゃん…」
身も心も変わり果てた己の娘に呼びかける音羽、ふりむいたすももの表情を見て息を呑む音羽。
嗚呼…何もかも変わり果てたはずなのに、笑顔だけは以前とまるで変わらず、
いや以前よりもはるかに愛らしく輝いているではないか。
だが、その笑顔こそまさに堕落の証なのだ。

笑顔を浮かべたまま銃を構えるすもも、万が一に備え強力な武器を娘に渡したことが災いした。
「あのねお母さん…私、兄さんが好きなの知ってるよね…でもみんな死んじゃうんだよね、
私わかったんです、もう兄さん以外私いらないから、だからお母さん…死んでください」
「やめて!やめて!すももちゃん…お願いだから…」
だが無常にも母の体を娘の放った銃弾が貫く、
「おねが…せめて…こんなのって…あんまり…」
「うるさいですお母さん、何でもしてくれるって言ったじゃないですか、だったら
私と兄さんのために早く死んでくださいよ」
何度も何度も音羽の体に、実の母の体に弾丸を撃ち込むすもも、それは音羽が動かなくなるまで続いた。

617 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:44:43 ID:c589qrG00

親殺しはいかなる時代、いかなる世界においても最低かつ最悪の禁忌である、
それをこうしてこの少女はためらうことなく笑顔で行ったのだった。

「ね、わたし兄さんのためにお母さん殺したんだからきっと兄さん喜んでくれますよね」
アルトリアへと色褪せた瞳を向けて笑うすもも、共に闇に魂を捧げた者同士、通じるものがあるのかもしれない。
「勿論ですよ、それが人の道ではありませんか、失った分だけ報いられるのは当然です」
聞くに絶えないような陰惨な会話はまだ続く。
「で、その衛宮士郎って人と伊藤誠って人は殺したらいけないんですね」
「ええ、そのかわりこちらも小日向雄真という男には手をだしませんよ」
勿論これは仮初の約束に過ぎない、ただ堕落した頭では互いがそう考えていることまでは理解できない。
ともかくすももはアルトリアらに頭を下げるとそのまま新都へと向かう、
その足取りはあくまでも軽かった。

(オトワとやら、貴女の気持ちはよく理解できますよ…ですがこれもあなたが弱いからいけない)
神妙な表情で音羽の死体を眺めるアルトリア、彼女自身も実の息子に裏切られ無残な最期を遂げているからだろうか?
だが感傷はそれほど長くは続かない、次の瞬間にはもう乙女へと向きなおっていた。
「さて、オトメ…せっかくですがやはり野宿をしていただく他はありませんね、これから夜にかけて
あの街は血の地獄と化すでしょうから…」
「お願い…お願いだから」
「何でしょう?」
大仰に耳を傾けるアルトリア。
「もう人を殺すの…やめようよ…」
「これは異な事を、ですがマスターの仰られることならば致し方ありませんね、さぁ令呪を」
左手を差し出そうとした乙女だったが…そこにはもう令呪はなかった。
「どうしたのですか?早く令呪をもって命じて下さい、さぁ!」
にやにやと乙女の顔を眺めてことさらに煽るアルトリア…ここにきてようやく乙女は悟った、
自分は嵌められたのだ、この狡猾な悪魔に。

618 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:49:14 ID:c589qrG00

「お願い!殺さないで!」
泣きながらアルトリアにすがりつく乙女、その脳裏には生きたまま干乾び塵と化した沙耶、頭を砕かれた夏美、
そして実の娘に鉛弾を撃ち込まれた音羽の姿が浮かぶ…そう、加藤乙女は死にたくなかったのだ。
生きるために悪魔の奴隷となる道を選ばざるを得なくとも。
「何を言ってるのですかオトメ、私が貴方を殺すなどと…例え令呪がなくとも今の主は貴方だ」
「ホントに…ホントだよね」
だらだらと汗を流しながらアルトリアに何度も確認を取る乙女、もう彼女には信じることしか許されない。
「勿論ですよ…騎士に二言はありませんから」
そして、もう何も刻まれていない乙女の左手を見て目を細めるアルトリア。
(ああ、もうすぐもうすぐです私のシロウ…貴方のアルトリアがそちらへたどり着くまでどうかどうかご無事で)

【時間:1日目・午後5時55分】
【場所:新都付近?】
高溝八輔
【装備:探知機】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康】
【思考・行動】
 1壬姫に一目惚れ。必ず俺がお護りいたします!…って待っててって言ったのに
 2新都に行ってすももや知り合いを探す

【時間:1日目・午後6時30分】
【場所:新都付近の浜辺】

珠瀬壬姫
【装備:なし】
【所持品:なし(ランダムアイテムはアンリマユの残滓)】
【状態:健康】
【思考・行動】
 1とにかく逃げる
 2武たちと合流したい

619 :黒き福音 :2007/04/07(土) 22:50:35 ID:c589qrG00

加藤乙女
【装備:黒セイバー(アルトリア)】
【所持品:支給品一式】
【状態:磨耗(アルトリアに完全依存)。令呪なし】
【思考】
 1:死にたくない

黒セイバー(アルトリア)
【装備:エクスカリバー】
【所持品:カップラーメン1ダース】
【状態:通常】
【思考】
 1:表面上乙女に従う
 2:間桐桜に復讐 、シロウに会いたい

小日向すもも
【装備:古青江(日本刀)、H&K MP7】  
【所持品:支給品一式、】
【状態:黒化】
【思考】
 1:新都へ行く、雄真以外全員を殺す

【小日向音羽:死亡 残り51人】

620 :名無しさん@初回限定 :2007/04/09(月) 19:59:06 ID:oa2kzlu80

そろそろ次スレいるかな?
ところで感想スレと本スレと分ける?まだ一緒でいい?

621 :名無しさん@初回限定 :2007/04/10(火) 00:08:40 ID:oa2kzlu80

黒セイバー怖い、あとすももが…暫くはぴねす勢が話を引っ張っていきそう。
それはともかく、次立てるならテンプレとかも考えたほうがいいかも

ちと下がりすぎなのであげ

622 :名無しさん@初回限定 :2007/04/10(火) 00:10:11 ID:BNz+oxlj0

何でID一緒なんだ?

623 :名無しさん@初回限定 :2007/04/10(火) 13:17:31 ID:7kSlDn0qO

つまんね

624 :吊り橋の果てに :2007/04/10(火) 23:38:30 ID:KwfTXfvL0

「荷物…持ちますね」
僅かながら頬を染め誠のバッグを持つ君江。
「いいよ、そこまでしてくれなくても」
「いいんです、私こういうの無理ですから」
誠は手にしたナタで藪を掻き分けて道を作っている最中だった。
幸い放送で読み上げられた中に、自分たちの知り合いはいても直接の友人たちはいなかったことが、
彼らの気分を幾分楽なものにもしていた。

「ところで」
誠はナタを振るう手を止めて君江に向き直る。
「これを貸してくれたってことは、俺のこと少しは信じてくれたって考えていいのかな」
ストレートな物言いにまた頬を染める君江、とにかくこの伊藤誠という男、
まるで男に免疫のない少女にとっては危険極まりない存在だった、しかも無意識だからタチが悪い。
「そ…それはっ、ただ私が持っていても…無駄だって思うから…それに」
君江は自分の右手を軽く撫でる、まだ誠の手の温もりが残っている気がした。

「ま、いいか、ともかくありがと、これでもう少し進めばまた道に出られると思うから、でも」
誠は星が瞬きだした夜空を見上げる、もう目を凝らさなければ足元も見えない。
「きりのいい所で休憩したほうがいいかも、夜道は危ないし」
「えっ!!」
休憩という言葉に過剰に反応してしまう君江。
「どうしたの?」
肩を震わせた君江の顔を覗き込む誠。
「な…なんでも…ありません…」
「そんなこといわれると余計気になるじゃないか、なぁ」
「べ、別に変なことなんか考えたりとか…あっ!」
自分で墓穴を掘ったことに気が付く君江。
「変な…ことって…何?」
声を震わせる誠、変なことという言葉がどんなことをさしているのか分からない誠ではない。
無論そんなつもりは…自分の言葉に君江が想像したような意味はない、
だが期待してないわけでもない。

625 :吊り橋の果てに :2007/04/10(火) 23:39:19 ID:KwfTXfvL0

「額…広いね…かわいい」
君江の顔を見て、不意にそんな言葉を口にしてしまう誠。
「やめて…ください…」
小声で呟く君江、だがメガネ越しの大きな瞳は期待に揺れている、まだ心の中の吊り橋も揺れている。
「メガネ…取っていい?」
君江が頷こうとした時だった。

ひゅん!
またしても風を切る音が耳元で響いた、見るとそこには例のボウガンの矢が刺さってた、そして彼らの背後には…。
「またお前かよ、しつこい」
あきれ顔で金髪メイドを睨みつける誠、もう逃げようとはしない、ここまで来るとむしろ恐怖よりも怒りの方が強く、
しかも折角のチャンスを無駄にされたのだ。
「狙った獲物は逃がさないのですぅ〜〜〜覚悟するですぅ」
狙った獲物は逃がさないとか何とか言ってはいるが、もう彼女のメイド服は見る影もなくボロボロだった。
つまり彼女も道に迷っていたのだ、しかしそれでも3回も同じ相手とエンカウントするとは運がいいのやら悪いのやら。

「とにかくぅ、お命頂戴ですぅ〜」
いちいち語尾を延ばす美凪の口調は激しく誠を苛立たせた、
だが、ボウガンを構える美凪と自分たちとの距離は10メートルもない…逃げようにも踵を返した瞬間に串刺しだろう。
つまり…もう誠たちには打つ手はない、それを理解しているからこそ美凪は余裕なのだ。
(やだよ俺…こんなところで死ぬのか?)
死の恐怖がまた蘇ってくる。
(俺は…俺は…死にたくない死にたくない…死にたくない)
美凪がゆっくりとボウガンを構える、まるでスローモーションのように見える。
君江が震えながら誠の手を握る…その手は汗ばんでいて少し気持ち悪いと誠は思った、そして。
美凪が勝利を確信しながらトリガーを引いた。

626 :吊り橋の果てに :2007/04/10(火) 23:40:38 ID:KwfTXfvL0

「どう…して…」
呻くような声が漏れた…君江の口から…その胸には深々と矢が刺さっていた。
そう…この男は伊藤誠は事もあろうに菅原君江を気の迷いとはいえど一瞬でも自分に好意を寄せた少女を盾にしたのだった。
「だって仕方ないじゃないか!俺死にたくないんだし!」
自分を正当化することに関しては、この男は長けている、確かにこれ以上真っ当な理由もない。
誰だって死にたくないのだ。

そして誠のこの行動は攻撃した側の美凪までをも混乱に陥れていた。
まさかこんなにあっさりと味方を犠牲にするなんて、ハイになった頭が一気に醒めていく。
と、同時に冷や汗がどっと出る…手が滑ってボウガンが地面に落ちる、慌てて拾おうとしたのと同時だった、
何かが飛んで来たのを感じ目線を上げようとして、そこで戎美凪の意識は途絶えた、永遠に。
「悪く…思うなよ…お前が悪いんだからな」
息を荒くしながら捨てゼリフを吐く誠、目線の先には誠の投げたナタで頭を割られた美凪がいた。
「ちくしょう…なんでだよ…なんでなんだよ…俺人殺しになっちゃったよ…みんなぁ」
頭を抱える誠だったが、急に立ち上がると周囲をきょろきょろと見回す。
「誰もいないよな…」
幸いもう周囲に人の気配はなかった…だが、万が一がありえる。

この男は思慮が足りないくせにやたらと保身には長けていた。
まずは恐る恐る美凪の絶命を確認し、それから虫の息の君江の方へと向かう誠、
もう声すら出せそうにない君江はただぼんやりと誠を見ていた、そこにあるのは恨みか後悔か。
「ごめん」
誠は見られないように藪の中へと君江を引きずり込むと、そのまま君江の方を見ないようにして手にしたボウガンのトリガーを引いた、
さらに寒いかもと思いながらも血の付いた上着を少し離れた地面に埋めて、
証拠を隠滅すると、今自分の行ったことは不幸なめぐり合わせの産物で、もう何一つもう思い出さないと心に決めて、
何事もなかったかのようにまた道を急ぐのだった。

そして今、彼の目の前には山小屋があった、そしてその目線の先にはぼんやりと星を見る少女。
(あの子の胸、言葉より…大きいかも)
誠はおそらくブラのカップでいえば桂言葉より上であろう、その少女の胸に釘付けになっていた。

627 :吊り橋の果てに :2007/04/10(火) 23:48:20 ID:KwfTXfvL0

【時間:1日目・午後20時30分】
【場所:山小屋付近】

伊藤誠
【装備:ボウガン(ナタも処分済です)】
【所持品:支給品一式(ランダムアイテム不明)】
【状態:健康・罪悪感あり】
【思考・行動】
  1・おっぱい!おっぱい! 
  2・友人・知人を探す

間桐桜
 【場所:山小屋(教会西側の山の山頂付近)】
 【装備:なし】
 【所持品:花火セット、支給品一式】
 【状態:健康。ステルスマーダー化】
 【思考】
  1・大河と夜が明けるまでは山小屋で身を潜める
  2・ゲームに乗っている者と接触した場合は戦う。乗っていない者と接触した場合、利用できる者は利用し、利用できない者、用済みの者は隙を見て始末する
  3・朝になったら近くの村(西側)に行き士郎たちを探す(桜本人は自ら士郎たちに会うつもりはない)
  4・冥夜たちに会えたら月詠のことを伝える(そして利用できるならある程度利用する)
  5・月詠から合図があったら15分ごとに花火を打ち上げる
 
【菅原君江:死亡 残り50人】
【戎美凪:死亡 残り49人】

628 :名無しさん@初回限定 :2007/04/12(木) 23:20:45 ID:0bCpvRrJ0

伸哉と士郎で予約した者です、もう暫く時間ください
ところで次スレはどうしようか

629 :名無しさん@初回限定 :2007/04/16(月) 23:08:47 ID:GWR7M6/aO

保守

630 :名無しさん@初回限定 :2007/04/21(土) 11:13:49 ID:kVeC1tg+0

予約中の皆さん、現在の状況はどうなってますか?

631 :628 :2007/04/21(土) 22:35:04 ID:U5Nu1/Kg0

体調不良っす、でも必ず書くので…

632 :名無しさん@初回限定 :2007/04/29(日) 23:35:34 ID:oYs7GxG/0

とりあえずあげ

633 :名無しさん@初回限定 :2007/04/30(月) 12:11:53 ID:7A3lsdozO

流石はキモオタを生み出す肛門だぜ

634 :R-0109 ◆eVB8arcato :2007/05/02(水) 23:53:19 ID:VGSBQZ8k0

どうも、初めまして。
「バトルロワイアルパロディ企画スレ交流雑談所」の方で空鍋を掻き回しながらラジオをしているR-0109と申します。
現在「パロロワ企画ラジオツアー」というのをやっていまして、そこで来る5/5の21:00からここでラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

ラジオ、実況スレッドのアドレスは当日もってきます。

交流所はこちらです。
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1177408737/

635 :名無しさん@初回限定 :2007/05/04(金) 13:48:21 ID:QQA80gbW0

ラジオの人キタ――(・∀・)――!!
俺はぜんぜんOKですよ!!
まだ序盤の過疎ロワですが是非お願いします!!

636 :名無しさん@初回限定 :2007/05/05(土) 12:01:27 ID:b2KOwAt20

真名:ニーチェ
クラス :フィロソファー
宝具:滅神正典(ゴッドイズデッド)
あらゆる神性を”殺”す。

637 :R-0109 ◆eVB8arcato :2007/05/05(土) 21:08:34 ID:WTIQot8x0

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1178366867/
http://121.112.181.25:8000/

上が実況スレのアドレスで、下がラジオアドレスです。
ラジオの聞き方についてはttp://spill.jp/play.htmlこちらを参考にしてください。

638 :628 :2007/05/12(土) 21:16:24 ID:j79+hjn10

生存証明…書く時間がとれないっす

639 :名無しさん@初回限定 :2007/05/13(日) 01:40:26 ID:BYKyEIXG0

>>628

やあ俺。
しかし、さすがに一ヶ月も間が空いてるとなると、展開が許すなら、
完成は一旦保留にしてまず放送やった方が良いような気がするんだがどうだろうか。

640 :名無しさん@初回限定 :2007/05/13(日) 22:58:34 ID:uCZtXI950

>>639
もう放送は終わってるよ・・・

641 :名無しさん@初回限定 :2007/05/14(月) 09:34:04 ID:cVgR/xAE0

スマナイ。勘違いしてた。吊って来る。orz

642 :名無しさん@初回限定 :2007/05/20(日) 21:31:22 ID:VCpBBtUG0

保守

643 :Spitfire(1/3) :2007/05/21(月) 13:44:40 ID:7j1bnL5b0

「うわああああああああっ、なぜだぁああああああ!」
夕闇の中に慟哭が木霊する。
そう、上条信哉は彼は最愛の妹を失ったのだ。
そして涙に暮れる信哉を忸怩たる思いでただ見つめることしか出来ない衛宮士郎、
(どうして…)
全てを救う正義の味方を目指す少年にとっても目の前の現実はあまりに過酷すぎた。
(何人も死んだ…なんでなんだ、何故そんなに簡単に人を殺せるんだ!)
木陰で佇む槍兵の表情は一切伺えない、それでも時折苛立ちを隠せぬようにカツカツと槍を鳴らすような音が聞こえてはくる。
「沙耶っ沙耶っ…ああああ」
信哉の慟哭は収まる気配を見せない。
古武士の風格すら漂わせるこの少年がここまで崩れるのだ、いかにこの少年が妹を思い愛していたのかが伺われる。
「なぁ…」
見かねた士郎が信哉の肩に手をやろうとしたのだが、槍兵の厳しい視線を感じるとそのまま手を引っ込める。
(今は泣かせてやれってことか…でも)
嗚咽の声が響く中、戸惑いを隠せない士郎、とわずかに信哉の雰囲気が和らいだような気がした。
「な…」
「泣くのはもういいんじゃねぇのか」
士郎が声をかけようとした矢先にランサーの声が先に重なる。
このへんのタイミングは多くの戦士たちの死を看取ってきた歴戦の戦士ならではのものだった。

「で…どうしたいんだ、てめぇは」
落ち着きを取り戻したように見える信哉に問いかけるランサー。
「とりあえず泣くのには満足したみてぇだがよ」
押し黙ったままの信哉が重い口を開く。
「知れたこと…妹の仇を討つ…それだけだ」
「そんな…」
口を挟もうとする士郎を手で制するランサー、そのまま士郎には構わず話を続ける。
「わかってるとは思うが、そりゃ茨の道だぞ」
「知れたこと、だがもう俺にはそれしかありえない」
復讐は復讐しか生み出さない、それがあの神父の狙い、断ち切れぬ負の連鎖を以って事を成さしめる。
だが分かっていても心がそれを許すことが出来ない。

644 :Spitfire(2/3) :2007/05/21(月) 13:45:27 ID:7j1bnL5b0

「ランサー殿…」
信哉が確認を取るかのようにランサーへと視線を向ける。
「今の俺はテメェのサーヴァントだ、それが答えだ」
「そうか…」
それだけを口にして信哉はようやく士郎の方へと向き直る。
「おい待てよ…お前まさか本気で」
「衛宮殿、どうか止めないでくれ」
苦渋に満ちたその声に躊躇する士郎だが、道を誤ろうとしている者をただ見送ることなどこの少年には出来るはずも無い。
しかし信哉の方が早い。
「ランサーよ、令呪において命を伝える」
信哉の左手が輝く。
「衛宮殿から宝石を奪え」
「な!」

驚く暇もなく、ランサーに組み伏せられる士郎、耳元で囁くランサー。
「なぁ頼む…大人しく宝石を渡してくれねぇか…さもないと」
聞き分けのない弟をあやすような口調に突如殺気が混じる。
「ボウズ、オメェをまた殺さなきゃならなくなる」
その声を聞いた途端、士郎はまるで心臓を刺し貫かれたような感覚に襲われた…これは脅しではなく本気で、
そしてこれはこの男なりの誠意なのだと、
だから士郎は、逆らうことなく宝石を信哉へと差し出す、値踏みするように手にした真紅の宝石を握る信哉。
思ったとおりだ…おそらく何らかの儀式の触媒として使うつもりだっただろう、凄まじき量のマナを感じる。
魔力を半ば封じ込められた状態でも、この宝石にプールされたマナを抽出すれば、
魔術の威力そのものに制限が掛けられていることを計算に入れたとしても、その補正を補うことが出来るはず。

「すまない…衛宮殿」
(俺は修羅に堕ちる…すまぬ…だからどうか衛宮殿は汚れないままでいて欲しい、ここからは俺のせめてもの置き土産だ)
「ランサーよ、令呪において命を伝える」
信哉の左手がまた輝く。
「これからは俺ではなく、衛宮殿に忠義を尽くしてくれ」
この言葉に驚かぬ者はいなかった、士郎だけではなく、ランサー本人ですらも。

645 :Spitfire(3/3) :2007/05/21(月) 13:49:23 ID:7j1bnL5b0

「お前…」
「真名をついには聞けず終いでしたが、名のある英霊とお見受けしております、ゆえにその刃を私怨で汚させることは
俺には出来ません…俺はこれから怨刀に生きて怨刀に斃れることになるでしょう、だから槍兵殿」
そこで信哉は笑う、誇らしげにだがひどく寂しく。
「真の主の下で忠義を尽くして欲しい、衛宮殿の理想を叶える手助けになって欲しい、それが俺の願いです」
もはや言葉を発する者はいなかった、ここまでの覚悟を決めた男を誰が止められるというのだ、
その果てが修羅道と知っていてなお。
「さぁ…衛宮殿」
信哉が手を差し伸べる、それが何を意味するのかは士郎にも分かる、もう士郎も何も言わなかった。
ただ無言で信哉の手を掴む、と僅かな痛みと共に左手に痣が刻まれ、そして急激な脱力感…。
「オイ大丈夫か?ボウズは半人前なんだからよ」
「いや…大丈夫だランサー」
己の魔力を持っていかれる独特の感触に戸惑いながらも、なんとか姿勢を整える士郎、
信哉の気持ちに応じるためにも、これしきで挫けるわけにはいかない。

「またな…衛宮殿」
契約の譲渡を確認するともう信哉は振り向かなかった、その背中に一言だけ何かを叫ぼうとした士郎だったが。
「それは言うな…言えばアイツはまた迷う、その果ては犬死だ…それと覚悟しておけ」
ランサーの目が光る。
「次に会うときはアイツはもはや敵だ…」

衛宮士郎
【装備:なし】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康、令呪・残り1つ】
【思考】
 1)友人らを探す
 2)正義の味方として行動する

646 :Spitfire(3/3) :2007/05/21(月) 13:51:54 ID:tKV2zLvK0

上条伸哉
【装備:遠坂十年分の魔力入り宝石】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康】
【思考】
 1)沙耶の仇を取る(冷静なようですが半ば自暴自棄です)
【備考】
 ※士郎の体内にあるアヴァロンの存在に気がつきました

ランサー
【装備:アロハシャツ、釣竿】
【所持品:ゲイボルク】
【状態:健康】
【思考】
 1)士郎と行動
【備考】
 ※服は任意で戦闘服、アロハに変更可能

647 :名無しさん@初回限定 :2007/05/21(月) 21:36:29 ID:qCCx25fA0

乙、ところでもう一組の予約はどうなってるんだろうね
これももうかなりの時間が経過してるから、
特にレスがなければ破棄ということになるんだろうか?

648 :名無しさん@初回限定 :2007/05/23(水) 23:47:54 ID:JTcQ++bE0

マスターが変われば消費した令呪はリセットじゃねーの?ここのロワは継続ルールなのか?
それだと、無駄にサーヴァントが参加者扱いになってややこしいとおもうが?

649 :名無しさん@初回限定 :2007/05/24(木) 05:46:05 ID:8SX5BGTw0

書き手がほとんどいないのかな?
せっかく過疎なんで少々つながりがおかしくなっても書く事ができる人が書いて盛り上げて言ったほうがよい状態だなあ

650 :名無しさん@初回限定 :2007/05/24(木) 12:21:41 ID:RrHE3IfMO

そういやずっと気になってたんだが、魔法と魔術の明確な線引はどの辺りかね?
はぴねすは基本魔法使いで、フェイトは魔術師なんだが。

651 :名無しさん@初回限定 :2007/05/24(木) 20:21:55 ID:Thlt+1tH0

>>648
すいません、その可能性を考慮してなかった&思い違いでした。
状態欄修正します。

衛宮士郎
【装備:なし】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康、令呪・残り3つ】
【思考】
 1)友人らを探す
 2)正義の味方として行動する


>>650
Fate世界の魔術師=はぴねすの魔法使いという認識だと思う。
言葉が違うだけで。

652 :名無しさん@初回限定 :2007/05/30(水) 20:46:40 ID:4up/2ZoPO

思ったけど、時間ってあまり必要なくないか?

653 :名無しさん@初回限定 :2007/06/03(日) 14:41:41 ID:CYYwiP/aO

読むだけならな

654 :名無しさん@初回限定 :2007/06/11(月) 22:07:42 ID:GVG5tvaH0

hosyu

655 :名無しさん@初回限定 :2007/06/12(火) 22:10:21 ID:6+wWi1VH0


だから最初にやめとけって言ったんだ

656 :名無しさん@初回限定 :2007/06/14(木) 21:57:53 ID:z8xPeeJk0

やる気はあるんだよ、でも時間が

657 :名無しさん@初回限定 :2007/06/14(木) 22:50:45 ID:m1CdeTg40

時間が無いと言うか他と兼務でこっちは後回しな人が多い気がする

658 :名無しさん@初回限定 :2007/06/24(日) 12:38:56 ID:3zkJ3OPy0

保守

659 :名無しさん@初回限定 :2007/06/24(日) 15:14:17 ID:piDI5mjH0

どうすんだよこのスレ

660 :名無しさん@初回限定 :2007/07/01(日) 09:51:44 ID:zPkbxzjaO

書き手はほとんどギャルゲとか他ロワに流れてしまったからなあ……
(かくいう俺もギャルゲに鞍替えした書き手の一人なワケだが……)

いっそ、リスタートして最初からやり直すか?
参加者も40〜45人くらいにして、投票で作品と参加者(できればギャルゲや葱1とは作品とキャラがあまり被らないようにしたい)決めて……
やる以上は完結させたいから早期完結も狙えるように新ルール設けたりしてさ……



とりあえず、他の人たちの意見も聞きたいから一旦ageさせてもらう。

661 :名無しさん@初回限定 :2007/07/01(日) 16:27:53 ID:vZXdP+hA0

俺もリスタートには賛成。

葱1は1人ずつの参戦だから被ってもそんなに影響ないと思う。
ギャルゲと被らせないようにするのは賛成。ついでに葉鍵も禁止すれば他のロワとの被りが少なくて良い感じ。

あとこれは私見だけどこのロワってスタートダッシュに思いっきり失敗した印象がある。一番盛り上がる投票すっ飛ばしたしね。
とりあえずここが落ちたら
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/9437/
にスレ立てて相談することを推奨する。

662 :名無しさん@初回限定 :2007/07/01(日) 18:48:40 ID:zPkbxzjaO

パロロワテスト用したらば掲示板に以下のスレを設けましたので、
リスタートの件につきましては以降は下のスレでお願い致します。

葱ロワ2リスタート企画・議論・準備スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9437/1183283030/l50

663 :名無しさん@初回限定 :2007/07/01(日) 18:54:00 ID:Q0hx7gav0

>>661
俺的には葉鍵3でも結局日の目を見れなかった岸田さん以外の鎖キャラのためにも葉鍵全面禁止は止めてほしいところだ。
鍵はプラネ、智アフ以外はギャルゲに参戦したからお腹いっぱいな感じだけど……

リスタートするなら俺としては、とらハ3やアトラク=ナクアとか全年齢化していない作品にも投票したい。
マブラヴもエクストラとオルタでキャラが違う奴が多いからリスタート後も是非……


ところで>>660、このスレもう埋めてもいいか?

664 :名無しさん@初回限定 :2007/07/01(日) 18:54:15 ID:vZXdP+hA0

乙。
過疎具合からいって毎日見に来るようなスレでも無いだろうし、人が来るまでのんびり待ちますか。

665 :名無しさん@初回限定 :2007/07/01(日) 18:57:39 ID:vZXdP+hA0

>>663
確かに全面禁止は早計だったか。葉鍵ロワに出てる・出てた作品の禁止ってことで。
個人的にはニトロの出したいな。まあこれ以上はあっちで話すか。

666 :名無しさん@初回限定 :2007/07/28(土) 00:25:30 ID:Xcho64Mw0

666

667 :名無しさん@初回限定 :2007/09/11(火) 20:48:56 ID:B5mfsi3H0

続きを書くのってアリ?

668 :名無しさん@初回限定 :2007/10/21(日) 11:23:19 ID:Sv63Ga1n0

test

669 :名無しさん@初回限定 :2007/10/29(月) 06:45:09 ID:IWhy3iZY0

test

670 :名無しさん@初回限定 :2007/11/20(火) 22:15:31 ID:TAxYRUfF0

test

671 :名無しさん@初回限定 :2007/11/24(土) 19:17:09 ID:hW6nBFit0

ポイント制では、出会える確率が高い。登録費無料。
http://354389.ofuregaki.com/

672 :名無しさん@初回限定 :2008/02/21(木) 04:30:02 ID:IUXO0zJI0

【share】 シャレタマ 洒落 【winny】Part47
http://tmp7.2ch.net/test/read.cgi/download/1201606129/932

>932 :[名無し]さん(bin+cue).rar :2008/02/19(火) 22:15:05 ID:DE2tfDtP0
>[写真集][IV] 佐野 ○臣(20080218-175014)のアルバム.zip 1,328,921,035 43662699813076906c684c1d4007974065596cda
>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E9%87%8E%E6%B3%B0%E8%87%A3
>祭りか?

http://tmp7.2ch.net/test/read.cgi/download/1201606129/933-938

http://news23.jeez.jp/img/imgnews15743.jpg
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader584128.jpg

673 :名無しさん@初回限定 :2008/07/28(月) 20:50:42 ID:JsTdym5z0

おっと総理様の間違えで島全体の自爆キーが押されてしまいました。

【勝敗無効 全員死亡 政府関係工作員含む】

【終了】

674 :名無しさん@初回限定 :2008/12/16(火) 19:11:10 ID:+WdMQBjc0

ageてみたらどうなる?

675 :名無しさん@初回限定 :2008/12/16(火) 21:51:40 ID:Yiiy04/K0


だから最初にやめとけって言ったんだ

676 :名無しさん@初回限定 :2009/05/07(木) 16:36:34 ID:I+egSgRzO

そうですね

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