エロゲー全般のSS投稿スレです。あなたの作品をお待ちしています。
エロエロ、ギャグ、シリアス、マターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ジャンルは問いません。
そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みのSS書きの人!
名無しさんなら安心して発表できますよ!!
【投稿ガイドライン】
1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
なお、一回の投稿の最大行数は32行、最大バイト数2048バイトです
3.SSの書き込みが終わったら、名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して、
自分がアップしたところをリダイレクトする。>>1-3みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
恐れがあるため、ageる場合はなるべく長文を回した後お願いします。
5.スレッド容量が470KBを超えた時点で、
ただちに書き込みを中止し、次スレに移行して下さい。
保管サイトはこちら
http://yellow.ribbon.to/~savess/
過去スレ >>2-4辺り
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【SS投稿スレッド@エロネギ板 #11】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1163076407/
過去スレ
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http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1144862756/
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【SS投稿スレッド@エロネギ板 #4】
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【SS投稿スレッド@エロネギ板】
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【SS投稿用スレッド@エロゲー板】
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>>1乙です。
4なら木村あやかとセックスできる
マー
>>1乙&ほしゅ
保守支援。
エピローグ後想定です。えちは例によってないです。ごめんなさい。
「通販さんと春の午後」
春の温室。冬と違っていくつかの窓は開かれたままだ。
心地よい風がたまに侵入してくる、そんな午後。
ちっく、ちっく、ちっく。
ストップウォッチが刻む時間。
「……ここか」
かちりと止め、同時にポットを取り上げる。
ティカップに注がれる琥珀色の流れ。
「――む」
まずまず。しかし。
「一味、足りない」
首をひねったところで、背後から呼ぶ声。
温室の扉が勢い良く開かれる。
「つ……いやいや花さん花さんっ!お茶していいよね入るよ入ったよっ!」
「やーちゃん声おっきすぎだよ……あー、いい香り!」
「うるさい」
そう言いつつも、声に拒否の響きはない。
大銀杏弥生と野原のばらだった。
「座れ。今淹れる」
もうすこし長めに。いや茶葉を多めに、か?それとも湯温か。
いずれにせよ微妙だ。
邑那は上達が早いと褒めてくれたが、まだ彼女には遠く及ばない。
ちょっとだけ凹む。
この二人はなんでも美味しいといってくれるので気は楽だが、
テイスティングの人間としては全く役立たない。
今のところは自分の舌と記憶が頼りだ。
大銀杏は激しく単位不足らしい。このままでは何年いることになるやら。
野原は本当なら去年卒業できたのだが、わざと単位を落としたらしい。
本人いわく「もー少しダラダラしたかったからねっ」らしいが
大銀杏のためなのかどうかは分からない。
いずれにせよ、それは彼女たちの物語だった。
「美味しいー!ねぇねぇほらこれクッキー食べよ食べよ!
かなっぺが送ってくれたんだよもう我慢できなくてさぁ途中で結構食べちゃったけどさほら」
「さすが新婚さんだよねー。ほら花さんも食べないとやーちゃんが全部食べちゃうよ」
「……頂こう」
クッキーは美味しかった。一番食べたのが誰かはいうまでもない。
いいだけ騒いだ二人が去った後、空に目をやる。
――自分には、無縁の空。
邑那も、彼女らも、最初から翼を持っている。
彼女らは飛べないと思っているだけだ。
きっかけさえあれば、何時でも空へ羽ばたける。
だがこの自分には、まがい物の翼しかない。
アテナの使いであった金属の梟のように。
……あの探検の終わりの日。最後のピクニックの日。
ちょっとだけ嬉しくて、そして楽しかった。
少しだけ、自分を縛る鎖が緩んだような気がした。
でも多分、今も何も変わってはいない。
ここにはアテナは居ない。ヘルメスの魔法も無い。
自分は、けして飛べない。
花もお茶も只の時間つぶしに過ぎない。
これまでも無数の商品や趣味に手を出し、その全てに飽きた。
これもその内きっと飽きるだろう。
あの迷宮の、軍需施設の真の意味。半島に無数に散らばる施設が示すもの。
支配者たる風祭すら忘れてしまったその意味は。
あの地図を良く見直せば、それが一つの図形を示していたことに気づいたろう。
だが、気づく可能性のあった連中は今回全て卒業した。
それは彼女らにとってむしろ幸せなことだろう。
構築された図形。それはあるものを繋ぎとめる封印。
何に対する?決まっている。
>>1乙あーんど支援
――それは課せられたものか、あるいは自ら課したものか。
千年の倦怠と憂鬱。祝福と同時に呪いでもある停滞した時間。
誰が知ろう。戦後の凰華女学院が、そもそも「自分」を閉じ込めるためにこそ作られたのだと。
それは存在してはならない逸脱者。なれど滅ぼすこともかなわぬ禁忌。
故にこの地に封じられた王にして囚、神にして贄。
此処は自分の最後の領土。揺りかごにして墓場。
此処で生まれ、なれど死ぬことを許されず。生きていながら、生きていないままで。
永く遠く。忘れて、忘れられて。
だから自分は――そっと呟く。
「誰か私を……殺してくれ」
「んー、なんか物騒だな。自殺志願はよくないぞ?」
「――っ!」
いつの間にか来客が一人。あまり、いや極めて歓迎したくない男。
「……お前か」
「教師をお前呼ばわりはないだろう。ちなみに自殺幇助は断るぞ」
「誰も何もお前に頼んでいない。迷子教師」
名前は以前聞いたような気もするが覚えていない。
去年もこんな男がいた。鬱陶しいくせに優しくて、だらしないくせに真摯で。
大したことも出来ないのに、その愚直さと存在だけで友人を救った男。
何処が似ているというわけではない。
強いて言えば鬱陶しい所が似ているとしか。
「迷子は一回だけじゃないか。そりゃ君に案内してもらったのは悪かったけどな」
「うるさい黙れ」
何故自分はこんな男を寮まで案内してしまったのだろう。
そのまま森に埋めるか海に沈めるべきではなかったか。
あの時はよっぽど暇だったに違いない。きっとそうだ気の迷いだ。
「悩みがあるのか?なんだったら僕に相談してみないか」
無造作にこんなことが言える男。一般論の王国の住人。
百人中九十九人は生温く溶けた脳の持ち主だろう。そうでなければ只の馬鹿だ。
「断る。茶を飲みに来たのでなければ帰れ」
追い返すのは簡単だが仮にも教師、そこまで冷たく当たるのも躊躇われる。
昔に比べたらこの一年で自分も丸くなったかもしれない。
独り言を聞かれたのも正直落ち着かないが動揺を悟られたくは無かった。
「――お茶、もらえるかい?」
「……練習台で良ければ」
「それで結構」
非常に荒っぽい淹れ方になったにもかかわらず不思議と出来は良かった。
なんとなく悔しい。
「ありがとうお花ちゃん。美味しいよ」
茶噴きそうになった。誰だその手鞠をついてそうな子供は?
「――何だと?」
「花さんって呼ばれてるって聞いたから。だからお花ちゃん」
「却下する」
「じゃあ花子さんで」
「死ね」
トイレやロッカーに居住する趣味はない。
「非道い子だなあお花ちゃん」
「鋏で×××を切られるかジェット一輪車に括られるか即刻選べ」
「すいません生まれてすいませんごめんなさい」
軽口を叩きつつ茶をずずー、と行儀悪くすする迷子教師。
飲んだらとっとと帰って欲しかったのだが一向に懲りていないらしい。
知らぬふりで話を戻してきた。
「――で、何を悩んでいたんだ?」
触れるな鬱陶しい。本当に鬱陶しいのだが。
結局ちゃんと答えてしまうのは何故だろう。解らない。
「……飛べない鳥について」
「鳥ねえ……飛べない鳥というと鶏とか駝鳥とか」
「駝鳥は走れるから除外していい」
ふうん?と教師はこっちを不思議そうに見る。
「速く走れるなら、逃げることはできる」
逃げるという言葉に、教師は一瞬こちらの目を見た後、頷いて答えた。
「逃げる、ね……鶏が飛べないのは育種の末体が重くなったからだろう。
余分な肉がなければ、鶏だって飛べるさ。逃げることだって多分」
彼女たちは飛べる。でも。
「では、鳥を模した人形だったら?」
偽者は、所詮飛べない。
生きていないものは――飛べない。
だが、教師は呟く。
「――どんな人形か僕は知らないが、飛行機だって人工の翼だろ?」
だけど飛んでいる。ならば。
「まがい物の鳥だって、飛べないことはないだろうさ」
――真っ直ぐな、真っ直ぐすぎて。当たり前すぎて。
その言葉は、痛い。
「――何が、わかる」
平静を装う自分の声はわずかに低く震えている。
そんな自分自身が痛い。
話すべきでないような事を、喋ってしまっている。
「……お前は、何も知らないだけだ」
何も、誰も。自分のことは知らない。知るべきではないから。
「確かに。僕に解っているのは一つだけだ」
「……」
「僕は、まだお花ちゃんのことを何も知らないってことだ」
「……正しい理解だ」
ああ。続く言葉が解ってしまう。この男は。
「だから、もっと君の事を知りたいと思う」
この教師は――馬鹿だ。何故、踏み込もうとする?
「好奇心猫を殺す。教師なら意味ぐらい知っているだろう」
「それでも、だ」
「……何故だ?無意味なのに」
「無意味じゃないさ。何故かと聞かれれば」
そうだな、と教師は照れくさそうに笑った。
「お花ちゃんが、聞かれる事を望んでいるように見えたから、かな」
――この男は。百人中の九十九人ではない。
無論、千人中の九百九十九人でもない。
千人に一人の、大馬鹿のほうらしい。
「――馬鹿だお前は」
ここで自分が馬鹿め思い込みにも程がある、と切り捨てれば。
恐らくそれで終わった話。
「んー。良くそう言われるかな」
だけど。
自分は会話に付き合ってしまう。
馬鹿が感染してしまったかのように……いや、違う。
この男だから、話してしまう。
「何も知らない癖に――」
だのに何でも知っているような物言いをする、この男は。
「何でもは知らない。知っていることだけさ、お花ちゃん」
「――お前は食わせ者だ」
付け加えれば多分ロクでなしで教師失格でエロ教師だ。
あとお花ちゃんって言うな。
「かもな」
男の顔をもう一度見る。一応真剣に見えなくも無い。
十人並の普通人。ただの新人教師。鬱陶しい男。
だけど。この男を見ていると。話していると。
――誰かが言っていた。
いつか貴方が、本当に誰かを好きになったら。
全てを捨てられるほど、好きになったら。
きっと貴方も、自由になれるわ――
……自由。ほどけていく、心。
そんなことが、他人はどうあれ、自分に有ると思った事は無かった。
そんな可能性は知らなかった。
いや――今までは、知ろうとすらしていなかったのかもしれない。
支援
「――迷子教師」
「なんだ?お花ちゃん」
「お前の名前は?」
「×××だけど何かなお花ちゃん」
殴る。
割と本気で。
「痛え!教師をグーで殴るか!」
「……二度とお花ちゃんと呼ぶな。
今度呼んだらチェーンソーで三枚に下ろす」
奴はこっちをじっと見て、にこりと笑った。
「じゃ、僕は君を何て呼べばいいんだ?」
嫌な奴だ大馬鹿だ。本当に気に入らない。
こんなものは、魔法なんかじゃない。
だけど。
すう、と息を吸い込む。
いつもの、これまでの繰り返し、かもしれない。
新たに知ることなど、やはり無いのかもしれない。
それでも、胸の奥のこの感情を信じてみるのも。
悪くは――ない。
「私の名前は――――」
ストップウォッチは止まったままだけど、彼女はもう止まってはいない。
ゆっくりと柔らかな風にのって時間は流れ出す。
それはうららかな春の日の午後。
新しい物語の、第一話。
>>8-10>>12−17
by紅茶奴隷でした。読んでくれた人ありがとうございます。
みさきちルートなのに友人を救ったって、
この友人は美綺のほうなん?
あの√はどちらかというと司の方が救われたような気がするんだが
エピ後なのでいろいろ混ざってるとご推察下さい。
邑那√で探検があってもいいじゃまいかぐらいの。
>>19
いつも乙です。
>>10,>>12あたりがなかなか意味深ですねw
こうなると、元の正門のLasciate ogne speranza, voi ch'intrateや
ガーゴイルも……を封印したものということでしょうか。
どうでもいいけど、やーちゃんは絶対邑那END後も
学院に留年してると思ってた漏れがいますw
では、SS御礼がてら明日は通販さんに投票しておきますね♪
しんすれ そうそう けいきが いい!
紅茶奴隷さんGJです。かにしののサブキャラの美味しさは異常ですね。
そして貴方のせいで、ますますファンディスクの夢が広がりまくりな件についてwww
リーダさん支援……かな?かな?メイドさんズSSです。やや黒め。
エピ後ですが某先生はやっぱりタイーホされたことになってます。
「工藤さんの憂鬱」
風祭メイド部隊の朝は早い。
まだ学生たちが夢の彼方にいる時間から彼女らは活発に動き出しているが
さりとて彼女らも人間。朝からすっきりしゃっきりというわけにもいかない。
未明に電話を受けたとあるメイドさんもそんな一人であったわけだが。
内容を聞き終わって受話器を置いたあと、大きく溜息をついて一度だけ伸びをする。
「……困ったものですね」
その声は、もういつもの明晰さを取り戻していた。
授業開始の鐘が響く頃。
無事理事長たちを送り出した後、一息ついたリーダは窓から学園を見る。
少しずつだけど、変わりつつある光景。
良いほうに変わっていると日々思えるのは幸せなこと、とリーダは思う。
ノックの音。この几帳面な響きは聞きなれたものだ。
「メイド長。工藤ですが」
「あいております。どうぞ」
工藤係長。実務としてはほぼ理事長専属のリーダに代わって、
メイド部隊の指揮を執る中間管理職。
とはいえまだ二十代半ば。
見た目こそ地味だがかなりの美人であることをリーダは知っている。
普段あまり感情を見せることのない彼女だが、ここしばらくはやや憂鬱そうに見えた。
それが今日はいつにも増して微妙な表情をしている。
「……お耳に入れるべきか迷ったのですが」
「何か、ありましたか?」
「警察から連絡がありまして……坂水が逃亡したとのことです」
「……そうですか。懲りない方ですね」
「まったくです」
「……校内のことだけ考えましょう。警戒態勢をイエローに上げて下さい」
「抵抗した場合はいかが致しましょう」
「……現場にお任せ致します。但し、学生にだけはけして目撃されぬように」
教師や用務員はともかく、学生に無用のショックを与えたくはない。
「承知しております」
見えないところであれば相応の対処でも認めます、という意味でもある。
「海……」
ぼそりとリーダが言う。
どことなく、うっとりしているようにも見える。
……えーと。
「……ドラム缶を用意したほうがよろしいでしょうか?」
「え?あら?わたし、何か口に出ました?」
真っ赤になってうろたえるリーダ。
「……いえ、私の空耳でしょう」
「はあ、良かった……ではお願い致しますね、工藤さん」
「……ふう」
工藤係長はリーダをとても尊敬しているが。
「正直、たまに怖くなるときもあります」
と独り言をつぶやく。
「しかし……困りましたね」
ナイフや縄ごときならともかく、もし武装して乗り込んできたら一般メイドでは不安がある。
「荒事は――あの二人にお願いしますか。
暁が学園に残っていれば、もう少し安心できるのですが……」
とある二人を探しに向かう。この時間は温室か寮にいるはずだ。
ひとりの学生の卒業とともに、暁光一郎は学園を去った。
昔一緒に仕事したことがある身としては少々寂しくもあるが、
時とともに、人も変わる。それは受け入れなければならない。
だけど、この憂鬱は――そう簡単には消えてくれないのだろう。
何処から来る憂鬱なのかは、あまり考えたくなかったけれど。
そんなことを漠然と思いつつ歩いていると、分校寮から出てきた二人に出くわした。
「東さん、別所さん。少々よろしいですか?」
「「係長?」」
分校生にメイドA、Bと呼ばれている二人。
ゲストの世話と監視役も兼ねる彼女等は今回の対処に相応しい人材である。
東さんはフェンシングの、
別所さんは柔道のそれぞれ達人であった。
付け加えると東さんは陶芸などものづくりや裁縫が得意で
別所さんは掃除洗濯や料理が得意分野である。
「坂水氏が脱走したようです。学院に舞い戻ってくる可能性があります」
へえ、と二人。あまり驚いてはいない。
「石もて追われなお未練があるってか」
「あの方はSとMどちらでもいけるようですね」
ちなみに二人ともプライベートではけっこうきつい性格である。
学生相手の時とは口調からして違う。
「狙っていた生徒にまだ執着している可能性もありますが、彼女等はすでに学外。
保護者に警戒を促すのは警察の役目でしょう」
いかに坂水でも、八乙女エンタープライズの私設警備隊(軍隊並の練度と聞く)
相手に仕掛けるほど馬鹿ではあるまい。
土地勘もあり、隠れる場所も多い学園周辺に戻ってくることは充分考えられた。
「そういうことですので、もし校内で発見したら速やかに再拘束するように」
「しっかしわざわざ戻ってくるかねえ。それとも再犯や復讐が目的とか?」
「復讐なら我々に、でしょうか?最終的に拘束したのは私たちですし」
「あくまで最悪を想定しての対策です。メイド部隊全員に警戒の徹底を周知しますが、
いずれにせよ見つけ次第、貴方たちには現場に急行してもらいます。
必要な得物は常に携行しておくようになさい」
「了解でっす」
「殺っちゃってもいいんですね?」
「駄目です。別所さんそのキラキラした目はおやめなさい。東さんも、刺すのは手足にとどめておくように」
「へいへい」
「残念です。石畳に頭から落せると思ったのに……」
二人と別れた後、工藤さんは一人ごちる。
「さて。私も得物を手入れしておきましょうか。暴発は洒落になりませんしね」
SIG SG552を磨く空き時間も、憂鬱をまぎらすには悪くない。
「プラスチック弾かゴム弾か……念のため、エクスプローダーとダムダム弾も用意しておきましょうか」
捨て場所に困るような事態は避けたいが、まあ、狙いが狂うのも無いことではないし。
念のため、ドラム缶とセメントも用意しておこう、と彼女は思った。
>>24-27
なむなむ。
by紅茶奴隷でしたっ。
追記。
支援はひとまずこれで終わりにしますです。ネタ切れw
でも最終日までにリーダさんが1000票到達したら
えっちいSSを晒してみようと思います(初挑戦)……
SSスレ「結城ちとせの部屋」「受け継がれるもの」「通販さんと春の午後」「工藤さんの憂鬱」
工作スレ「ちよりん日記」「かなっぺ日記」「李燕玲の休日」
以上全部読んで頂いた方には感謝感激飴あられ。by紅茶奴隷でしたっ。
>>28
紅茶奴隷さん、乙です。
工作スレの方の日記も貴方だったんですねw
気づいてませんでしたよ^^;
というわけで、全部読みましたが、>>27は
この続きが欲しいところですねw
犯人は、犯行現場に戻ってくるというし(ぇ
それでは、SS御礼がてら、明日の一票は
リーダさんに投票することにします。
もう一票は、いつものように紅茶の人ですがw
>>29いつも感想ありがとうございます。励みになります。
続きは正直ネタが浮かばないですが、まあ坂水先生カワイソスということで。
以下多少元ネタなど。
メイドABのモデルはラノベ「おりがみ」のクラリカとマリエットだったりします。
本家はモーゼルとか火炎放射器とか持ち出すのでもっと危険です。
工藤さんのモデルは誰かな……西尾維新の萩原子荻が大人になったような感じでしょうか。
通販さんは同じく西尾の円朽葉と玖渚友を混ぜたような感じでキャラを肉付けしてみました。
打ち捨てられた超越者、というイメージです。まあそのまんまゆのはの裏ですね。
あと、結城は健速氏のテキストから膨らませた感じなので特定のモデルはいませんが、
テーマとしてはみやびリーダ、邑那イェンの裏側といった感じで考えました。
二対一でそのまま進んでいくのではなく、
二対一が最終的に一対一になることで成長する、といったイメージです。
テーマに沿うと最終的にルドルフ氏は去っていくわけですが、
そこまで書くのもSSとしては野暮かな、ということであそこで〆ました。
長文スマソ。
なんか私ばかり使ってるみたいで申し訳ないですが投下。
リーダさん1000票突破記念SS[Moon Flower]です。
みやびルートアフターを想定しています。
以下、本編を読まれる前にご確認下さい。
※※注意※※
このSSは97%のエロスと3%の萌えで出来ています。
読んだ後でイメージと違う!と思った方ごめんなさい。
どうか石を投げないで投げないで。
※※FAQ※※
Q1.本校司なのにエロいんですけど?
A1.仕様です。主に作劇上の都合です。
Q2.リーダさんもエロいんですけど……
A2.仕様です。主に作者の趣味です。
Q3.みやびーとの3Pが無いんですけど……
A3.PULLTOPさんのFDにご期待下さい。
そんなわけでどうぞ。
[Moon Flower]
4月に入って最初の日曜深夜。
大方の学生や社会人が新たな春を迎えるこの時期は、
この凰華女学院といえど例外なく忙しい。
僕もその例に漏れず、この時間まで事務仕事だ。
ここはみやびの部屋ではなく昔の僕の部屋。
静かに仕事をしたいときはこちらを使うようにしている。
もっとも、今日に関してはここに居る理由がもう一つ。
零時を回り、日付が月曜に変わった頃。
僕の部屋を彼女がノックする。
「マイロード。よろしいですか?」
「はいはい。どうぞ?」
リーダさんが、そっと僕の部屋に入ってくる。
「――お嬢様は、おやすみになりました」
「もう寝付いた?ご苦労様、リーダさん」
「式典の準備で、だいぶ疲れていたようですわ」
「そうか。今日は僕もここで休むから、そっとしておいてやってくれ」
「わかりました。では――わたしもそろそろ下がらせて」
「ちょっと待って」
ここに居る理由。まあそれは要するに。
「はい?」
きょとんとするリーダさん。
「……いつか言ってくれた言葉のことなんだけど」
「……とは?」
「一生、僕に仕えてくれるって。あれは言葉通りの意味?」
彼女と一回、ちゃんと話しておく必要があったから。
「もちろんですわ」
「でも、そうしたらリーダさんは、仮に僕がみやびと結婚したとしたら、どうするんだ?
君は君で幸福にならなきゃいけない。誰かと結婚したいと、思う事はないのかい?」
リーダさんは微笑みながらも、むしろ心外そうに答える。
「いまさらそんなことをお聞きになりますの?わたしは今すでに幸せですのに。
今も未来も、貴方以外の主人を持つ気はありません」
口調はちょっとむくれているようにさえ聞こえる。
「それはとっても嬉しいんだけど……その……なんだ」
一回言葉を切る。えーと。
「ぶっちゃけリーダさん、男性とお付き合いしたことないでしょう?」
ぐらり。リーダさんがよろめくのは初めて見た。
直球すぎる表現にショックを受けつつも頬を赤らめるリーダさん。
「……それは、そうですが」
「つまりその。男性経験とか……無いでしょ」
どんどん赤くなっていくリーダさん。頬に手を当てる姿が可愛い。
「……それも……ご想像のとおり……ですけど」
「だから……もし誰かと結婚しなかったらさ。その……一生」
なるほど得心しました、と真っ赤なまま頷いた後、
はあ、と溜息をついてリーダさんは答える。
眼をつぶっているのは照れ隠しだろうか。
「マイロード。わたしを慮っていただくのはありがたいのですが……わたしはその」
一旦迷ったあと、今度は臆せず僕をきっ、と見て、はっきりと答えた。
「マイロード以外の方に、生涯肌を許す気はございません……っ」
言ってから、さらに真っ赤になったけど。
やばい。可愛すぎる。
でも。でももしそうなら。僕に出来ることは。
「……じゃあ、僕がリーダさんを望んだら?」
ピクリ、と体が震える。
「……でも、それは」
「みやびはリーダさんなら許す、とは言ったけど」
「……」
「その言葉をそのままに受け取る気はないよ。……でも」
「僕は、君の気持ちをきちんと受け止めたいし」
何より。みやびのときと同じように。
「僕は――リーダさんを愛したい」
出来る事は、自分の気持ちから逃げないこと――なのではないだろうか。
「その……」
もじもじ、と両手の指を絡ませながら、リーダさんは真っ赤になって俯く。
ぽつり、ぽつりと彼女はうつむいたまま、言葉をつむぐ。
「マイロードが、そうお望みなら……わたしは……いつでも……」
「みやびが嫌がっても?」
「その……夜のご奉仕も、メイドの任務に無いではないと……思いますし……」
「ご奉仕と言う形であれば……あの子も……納得……でき……」
一応自分の中でもみやびに対する言い訳が欲しい、ということらしい。
まあ、その分みやびも愛してあげればいいことだ。
……都合良過ぎる考えだろうか?
でも、二人とも受け止めるには、そうしなきゃいけないのなら。
だから。僕はリーダさんの言い訳に乗ろう。
彼女を愛するために。
「いいよ。じゃあ、僕の愛するメイドさんに、ご主人さまに奉仕する任務を与える。
それで、いいかな?」
「……はい。喜んで、ご奉仕させていただきます……」
恥ずかしそうに、リーダさんは頷いた。
さて。
「とりあえずマイロードはやめよう。今この部屋には僕とリーダさんだけだから」
「はあ」
リーダさんは不満そうだけども、マイロードだとやっぱり萌えないし。
「ただつかさと呼んでくれ」
「それはいけません」
断固として拒否された。そこはメイドとして譲れないらしい。
「マイロードを呼び捨てにはできません」
「うーん、そうか……じゃあ、つかさ様、でどうかな?」
とりあえず妥協点。まあ呼ばれ慣れてるし。リーダさんも頷く。
「マイロード……いえ、つかさ様がお望みなら、それで」
さて。ここからは今日の本題。というかむしろ罠だよリーダさん。
「ご奉仕の具体的な話をする前に確認したいことがあるんだけど」
「は、はいっ?なんでしょうか?」
「あの日から何回も僕とみやびは同衾しているけど。その都度気になることがあってさ。
たまに扉の外に気配を感じるんだ。誰だと思う?」
「…………」
「リーダさん。露骨に視線をそらさないで下さい……」
「……いいええその……だっ誰でしょうね……帝国軍人の生霊では?」
正直に言いなさい。バレバレなんだから。
「僕と、みやびがしているところを、覗いていたんだろう?
覗きながら興奮して、いやらしい処を濡らしていたんだろう?」
すでにノリノリになってきている僕。
「!……ひどい。そんな言い方……ひどいですわ」
耳を赤くして僕をなじるリーダさん。
うん、確かにひどい男かも。
だって、扉をちょっとだけ開けておいたのは僕だし。(爆)
「でも、本当だろ?ご主人様に嘘は良くないな」
……まっかっかになって、リーダさんは答える。
「はい……わたしは……つかさ様と……あの子の……しているところを……見ていました」
ふむふむ。続けて続けて。
「見ているうちに……その……変な気分になってしまって……部屋に戻って」
「それからどうしたのか説明してごらん?部屋に戻って、それから?」
「が……我慢できなくなってしまって……それで……ゆびを……」
「指を、どこに?続きを言って」
「その……わたしの……いやらしいところに……」
続きを。さあその続きを。
「で……できません……」
「命令だよ」
「でも……」
「言いなさい。ほら『リーダは司とみやびのセックスを見て、オナニーしてしまいました』ってね」
「わ……わたしは」
「言うんだ」
「は、はいぃ……わ……わたしはっ……リーダはっ!」
涙を浮かべて叫ぶ。うん、可愛い。
「オナニーしましたっ!司様とみやびのセックスを見て、オナニーしていましたっ!」
言い終わって気が抜けたのか、へたへたと座り込んでしまった。
……みやび、起きないよな?ちょっとどきどきする僕。
今日はきちんと閉めてあるけどさ。
「……つかさ様……ひどいです」
ぐすっ、と涙ぐむリーダさんには罪悪感。でも、もうちょっと追い討ちしてみる。
「そうか。リーダさんは、いやらしいメイドさんだったんだね」
「ごめんなさい……いやらしくて……ごめんなさい」
「謝ることはないよ。よく言えたね。リーダさんは……ほんとに可愛いよ」
「可愛くて……もっと虐めたくなっちゃうくらいだけど」
その言葉に、彼女は涙で濡れた目で僕を見上げる。
ぞくっとするほど、綺麗だった。
抑えた熱が滲む声で、僕に囁く。
「……虐めてください。いやらしいわたしに、罰を与えて下さい……つかさ様」
そう来たら、僕だってもう止まれない。
「そうだね……いやらしいメイドさんには、罰が必要だね」
「はい……つかさ様のいやらしいメイドに……罰をお与え下さい」
さて、どうしようかな。まず……そうだな。
「上、はだけて」
「……はい」
エプロンを解いてから背中の紐と留め金をはずして、
ワンピースの肩から腰までをはだけさせる。
真っ白で簡素なブラとその内側の同じくらい白い谷間が露になった。
コルセットで押さえられているのでスカートがずり落ちることはないけど、
上半身だけ下着姿というのは正直、非常にエロい。
素晴らしい。うんうん。
……僕、人として間違ってる?正しいよな?
まあそれはともかく。
「じゃ……その姿で、まずはご奉仕してもらおうかな。
……口で、ジッパー下げて」
跪いてもらった前に立つと、腰を顔の前に突きつける。
「……はい」
ゆっくりと歯でつまんで、ジ……ジジジ、と
ズボンのジッパーを引きおろしていく。
「はあ……つかさ様……つかさ様の臭い……」
昼シャワーを浴びたきりだから……少々体臭はきついかもしれないけど
興奮したリーダさんには気にならないみたいだ。
「手を使わずに、口と舌だけで引き出して……咥えて」
「はい……」
トランクスの穴を、リーダさんの舌が割る。
蒸れた内側のそれを、ピンク色の舌が捉える。
「ああ……つかさ様の……」
霞のかかった目で呟くと顔を押し付け、
さらに唇を僕の股間に近づけていく。
ちゅぷ、とまず先端に触れた。それからにゅるん、と滑るように、
唇が柔らかい幹をなめっていく。
ふぅ、ふぅという呼吸が苦しそうに僕の肌を撫でる。
それだけでも気持ち良いのに。
くいっ。舌がねっとりと裏側にからめられ、僕の叢からそれが持ち上げられる。
続いて唇でちゅく、と横向きに挟まれると、そのまま引っ張られる。
うっ……やばい。すでにすっごく気持ちいい。
リーダさんの唇に導かれて、僕の分身はちゅるん、と外気に飛び出す。
「うんっ……ふぁ」
ぷるぷると揺れるそれはすでにだいぶ硬くなっていた。
月光の下、リーダさんの唾でてらてらと光っている。
「ああ……これが……つかさ様の……」
リーダさんはさらに潤んだ眼でうっとりと呟く。
「……舐めて」
「はい……」
裏側を袋から亀頭まで、なぞり上げるように舐める。
ぺろ……ぺろっ。
先端を舌の先でねぶり、ほじくる。
ぺろぺろっ。てろっ、ちゅる、ぴちゃぴちゃ、てろっ。
どんどん僕は膨張していく。思わず声が出そうになる。
「うん……ああ……どんどん……大きくなっていきます……」
「「はあ……はあ……」」
お互いの息が、どんどん荒くなっていく。
「今度は――しゃぶってね」
「はい……」
にゅぷ。唇を割って肉棒が侵入していく。
ぬるり。ぬるじゅるじゅぱっ。
ゆっくりと腰を前後に動かすと、彼女もそれに合わせて
口腔をすぼめ、舌を絡めてくれる。
「んっ……!」
声が出てしまう。とっても気持ちいい。
正直溶けそうだった。
「リーダさん……興奮してる?」
「ふあい」
僕を口にしたまま頷く。
かいがいしく奉仕してくれるその姿を見ているだけで、背中に電流が走る。
紛らすために、さわさわと優しく彼女の頭を撫でる。
髪の毛はさらさらしていて柔らかかった。
「もっと……激しくして」
「……ふあい……ちゅぷ」
ちゅじゅっ。きゅるん。ちゅちゅちゅるっ。ちゅぽん。ぬるっ、きゅぽん。
雁の部分をやわやわと唇で刺激しつつ、喉の奥から先端まで往復させる。
その都度、幹にねっとりと舌を巻きつけつつ締め上げる。
「ああっ!リーダさん、リーダっ!」
ぎゅいん、と急速に、さらに肉棒が硬度を増していく。
腰が僕の意志を超えて動いてしまう。
柔らかな唇に押し付け、湿った喉の奥に先端を叩き込んでいく。
じゅぶっ!じゅぶじゅぶじゅぶっ!
「うふッ、うぐっ!」
むせそうになるリーダさんの頭を押さえつけ、僕は腰をぶつける。
唇と陰嚢がぶつかるぐらい、奥の奥まで。
喉の奥に先端をこすりつけるように動かす。
「うんっ、うふっ、んんっ!じゅっ!」
唇や顎の端から唾を垂らしながらも、彼女はけなげに奉仕を続ける。
「出すから……もう……すぐ……出るから、吐き出したら、駄目だよ」
「うううんっ!うふっ!」
僕の腰に合わせて、彼女の唇と舌も回転が上がる。
ぐにぐにっ。じゅぱ、じゅぱじゅぱっ!じゅぶっ!
「ああっ!出る、出るよっ!飲んで!飲んでっ!精液飲んでっ!」
(んはぁっ!くださひっ!出してっ!)
僕を口にしたままリーダさんが懇願した、その時が限界だった。
どぴゅ、どぴゅどぷどぷぐぷっ!
おびただしい量の白濁が口腔内に打ち出される。溢れそうなそれを、
リーダさんはむせそうになりながらも全部受け止めた。
「んぐ、えむ、うぐっ……ぷはぁ」
ごきゅ。ゆっくりと喉が動き、僕の精を飲み干していく。
ややあって、ごきゅん、と全てを嚥下すると、リーダさんはうっとりと僕を見上げた。
「……飲んでしまいました。……はぁ」
ちゅぷん、と口から肉棒がこぼれた。
「……殿方の精液というのは……苦いのですね」
僕はどろどろになった亀頭を再びリーダさんの唇に押し付ける。
「綺麗にして……」
「んっ、はい……」
潤んだ目のまま彼女は再び口づけると。
今度は舌をめぐらし白濁した汚れの全てを舐め取っていく。
「先っちょ……吸って」
「はい……うんっ……」
亀頭をやんわりと含み、輸精管に残った少量の精液をじゅるじゅると吸い取る。
ちゅる……と全て吸いつくした後、口を離すと
つー……と唇と亀頭の間に唾と白濁が糸を引いた。
「リーダさん、おしゃぶり上手だね。練習してたの?」
また真っ赤になっていやいやをするが、口にして否定はしない。
「正直に言ってね」
「……その……図書室に……夫婦の営みについて……ありましたし」
そんな本があるんだ……でもSMポルノもあるらしいし、不思議でもないのか?
「あの子に……性教育をしたのは……わたしですし……ですから知識、だけは」
「知識だけ?実践は?」
「あの……その」
「練習したんだ?」
「……その……3月以降は……それなりに」
ちょ……やる気満々じゃないですか。
「何を使って練習したの?」
「……言えません、そんなこと」
頬を染めて、ぷいッと横を向いてしまう。
ああ。なんて可愛いんだろう。
「さて……それじゃ次は後ろを向いて」
「え……?」
当惑するリーダさんをベッドに手をつかせる。
「これ……いやです……こんな格好」
後ろから改めてみる裸の肩と背中は想像以上に華奢で。
窓からの月光に照らされて……とても、美しい。
落としたら簡単に壊れてしまいそうな白磁のように。
つー、と真っ白な背中に指を這わせ、
「ひゃうっ!」
驚く隙にブラを外してしまった。
「くすぐったいです……つかさ様……」
あえて無視しつつ、ぷるんと現れた乳房をやわやわともみしだく。
ミルクのように滑らかな肌触り。こんなに体は細いのに、
ふたつの果実は大きさも形も手触りもすべて申し分ない。
「自分で何されてるか見えないと、余計ぞくぞくするだろう?」
乳首をこりこりといじると、それだけでゆらゆらと体をくねらせて悶える。
「ぅあっ……こんな姿勢……犬みたい……嫌です。あんっ……」
「興奮する?」
スカートもばさりと捲り上げてしまうと、かたちのいいお尻が現れる。
右手で胸をもみながら、左手の指でお尻を撫でる。
下着をずらして、そのまま中心の綻びにそっと触れた。
「ひゃんっ!」
びくり、と飛び上がりそうになるリーダさん。
「敏感だね……これから、リーダさんは僕にこの敏感なとこを犯されちゃうんだよ」
ちゅく、ちゅく、ちゅく。指でそっと割り開いていく。指と下着と割れ目がこすれあう。
「ひどい……つかさ様、優しくしてください……こんなのいやぁ……」
指を少しずつ出し入れして、入り口をほぐす。すでにびしょびしょだ。
秘所は綺麗なピンク色だった。濡れかたこそ凄いけど、綻びはほとんどない。
まばらに生えた色の薄い柔毛が濡れて白い肌にぴっちり貼り付いている。
「リーダさんのいやらしいところがよく見えるよ」
「ああっ、見られてる……恥ずかしい……わたしの……変ではないですか?」
「綺麗だよ。リーダさんの体は全部綺麗だ」
僕は――それから下着を脱がせると、
既に濡れそぼる秘部に亀頭の先端を擦り付ける。
いつのまにかシーツにしたたり落ちるほどの洪水になっていた。
「凄いな……実はしゃぶってるときから、濡らしてたんだろ?」
「ああんっ……嫌……いやです……つかさ様っ……」
「いやらしいメイドさんには、お仕置きが必要だね」
「ああ……お仕置きしてください……つかさ様ぁ」
「どうして欲しいの?」
肉棒を上下にこすりつける。秘裂をこねくり回し、真珠に亀頭の先端が触れる。
太腿やお尻に亀頭がこすられてよじられる感じも悪くないけど。
「いやっ……じらさないで下さい……いやぁ……」
お尻をもぞもぞさせて、涙声のリーダさんがおねだりする。
「おかしいな。本来はリーダさんが、僕にご奉仕してくれるはずだろう?」
目の前の光景が可愛すぎて、ぞくぞく。……僕、変になってるかな?
でも、なんかリーダさんもそれで興奮してるし。
「ああ……わたし……ご奉仕します……させてください」
「……僕は、いやらしい犬みたいな格好をしたリーダさんの処女を奪ってあげたい」
「は……はい……」
「リーダさんはどうやって、僕に奉仕してくれるのかな?」
可愛いお尻がまたぷりん、と揺れた。
きっと横顔を振り向けて、でもさらにお尻では無意識のおねだりをするリーダさん。
無言の眼には本当に涙が浮かんでいる。
引き結ばれた口があなたは本当に酷い人ですね、と言っていました。
ごめんなさい。僕は酷い男です。でもやめません。
「言って見て」
だって。リーダさんも、それを望んでいるから。
「酷いひとです……ぃっ……いやらしい犬みたいなわたしの……処女を……奪って下さぃ」
本当に――可愛い。
だからまた、ちょっといじめたくなる。
「いくよ。力……抜いて」
腰を当てて亀頭をゆっくりと秘所にねじこんでいく。。
ちゅい……と裂け目を割って亀頭が侵入する。
濡れていてもまだまだきつい中を進めるうち、何かに阻まれた。
「ああ……」
一呼吸して、リーダさんの緊張が一瞬緩んだのを見計らって。
いきなりずどんと奥に突き込む。
「ひぎっ!」
ぶちり、と何かが切れる音がした。
亀頭はあっさり膜を突き破り、深奥に到達する。
「いっ……いあはああっ!」
リーダさんの背が大きく反り返り、白蛇のようにびくびくとうねる。
この瞬間にリーダさんは、もう処女ではなくなった。
僕が、奪った。
「……痛い?」
「はあ……だ、だい……じょ……ぁぅ……」
そう。だから僕も、もうさん付けはやめよう。
リーダは――僕のものになったのだから。
ずるり、と肉棒をゆっくりと戻す。
「ひっ……」
幹はわずかに赤く染まっているが……出血はさほどではないようだ。
「ゆっくり……するよ」
「……だい……じょうぶ……ですから。もっとお仕置き……してください」
けなげな言葉に、ちょっと罪悪感。
今度はいたわるように、ゆっくりと出し入れする。
でも直ぐに、注送はスムーズになった。
ちゅぷ、ちゅぷと潤滑液がどんどん湧いてくる。
秘裂も膣もびしょ濡れだ。まだきついけど、やわやわと解れて締め付けてくる。
初めてでも、体が華奢でも反応はもうすっかり大人の女性。
突く。突く。突くたびにぴちゃぴちゃと接合部が泡立つ。
ぱんっ、ぱんっ、とお尻と僕の腰がぶつかり合う。
「あうっ!ああっ、ひぃっ!あふぁっ!」
真っ白な背がうねる。飛び散るのは汗か互いの体液か。
たっぷりした太腿のガーターが僕の下半身とこすれあう。
腰を捻って突きこむたびに、かわいらしい悲鳴をあげる。
「いやっ!こんなっ、いやああああはっ!ああっ!」
そこで僕はいきなり動きを止めた。
リーダが手をついたまま振り返って僕を見る。
その状態でも、膣は微妙に蠢いて僕を刺激する。
「あ……」
「いやっていったよね?」
愛しい彼女に、またちょっと意地悪。
「あう……あの……」
「やめて欲しい?」
真っ赤になって、リーダはふるふる、と首を振る。
「なら、言ってご覧。『やめないで、もっと犯してください、つかさ様』って」
躊躇った末に、リーダは復唱する。……このパターン、癖になりそうで怖いな。
「やめないで……下さい。つかさ様……もっと……もっとリーダを犯してください……」
「……じゃあ、体勢を変えようか」
「あぅ……?」
ベッドの上に背中をそっと押す。
とさ、と彼女の細い体が横たえられる。
「仰向けになって……自分で脚を広げるんだ」
「ああ……恥ずかしい……」
両の太腿を広げさせ、自分の手で秘所に触れさせる。
「ぐちょぐちょだ……いやらしいね、リーダ」
「やあ……ひどい……ひどいです……」
「自分で広げてみてよ」
「いやぁ……恥ずかしいです」
「ご主人様の命令が聞けないのかい?」
「ああ……ふぁ……」
先に穿たれたままの綻びは既に奥が覗けるくらい開かれているが
それをさらに白い指で唇を広げさせる。
くぱぁ、と開かれる、濡れそぼつ花園。ぽつりと覗く突起が可愛い。
そうしている間にも中からは真珠が一滴、また一滴。
世界で一番綺麗な花が、蜜を溢れさせている。
顔を近づけ、ちろりと突起を舐めてやると
「ひっ!ひぁっ……駄目、駄目ですぅっ!」
身悶えるのが可愛くてもっと舐る。ちろっ、ちろちろっ。
秘裂の襞を唇で挟んでみたり、舌を奥までねじ込んでみたり。
「やぁっ――あぅっ、いやっ……ひぃっ!」
くじり、しゃぶり上げる都度、中から蜜が染み出してくる。僕は夢中で甘い蜜を啜る。
「はぁ……はぁあぅっ!もう……じらさないでぇ……」
びくんびくんとおなかが波打つ。もうリーダは顔中涙と唾でべとべとだった。
でも――だからこそ、とっても綺麗だと思う。
いつも理性的な彼女が我を忘れて乱れる姿は、本当に綺麗で可愛い。
だからこそ、また虐めたくなっちゃうんだけど。
「お慈悲を下さい、って言ってみて」
「ああ……意地悪です……お……お慈悲を……下さいませ……つかさ様……」
「じゃあ今度は『つかさ様のおちん○ん突っ込んでください』って言ってみて」
「や……そんな……」
露骨な猥褻語に、さらに情けなさそうな顔になる。
「言ってくれなきゃ、あげない」
「いやあ……ああ……つ、つかさ様の……お、おちん○んを……つ……」
「つ?」
もうやけくそ気味に、リーダは泣きながら叫ぶ。
「突っ込んでくださいっ!リーダのお○んこにっ!
つかさ様のおちん○ん、突っ込んでくださいぃっ!!」
よく出来ました。ごめんね。
そっちのほうまで言うとは思わなかったけど。
「突っ込んであげるよ、リーダ」
再び突き込む。もう一切遠慮なく、奥の奥まで。
「は……あひぃっ!」
ゆっくりと戻して、今度はゆっくりと、また奥まで。
「はぁあ……また……入ってく……ひぅっ!ひぃっ!」
今度は浅いところで、短く、小刻みに早く。
突く。引く。挿す。ねじるように、こそぐように腰を動かす。
引き戻すごとに、肉壁が吸い付くように纏わり付いてくる。
突くごとに、赤ん坊の手で握られているように締め付けられる。
「あひぁっ!はぁっ!ふぁっ!ひゃふっ!!」
ぱんっ。ぱんぱんぱんっ。溺れていく。
僕の腰の動きも、どんどん切迫していく。彼女の腰が、それを迎え入れて蠢く。
「リーダ……リーダっ!」
悶える彼女の唇を奪う。舌を伸ばして、彼女は答えてくれる。
絡みあう舌は甘く優しく、僕を包む膣は温かく緊密だ。
上と下の口、両方で僕らはつながっている。
自分の尾を喰らう一匹の蛇のように、僕らはさらに一つに溶け合っていく。
限界が近づいていた。僕は最後のスパートをかける。
「リーダっ!リーダっ!出すよ、出すよっ!僕の精液を、全部っ、全部!
可愛くていやらしいリーダの子宮にぶちこんであげるよっ!」
ぐちゅっ!ぱんぱんぱんっ!ぱんぱんぱんっ!
「あああっ!あなたっ!あなたぁっ!つかささまあああっ!
リーダは、リーダはぁあっ!あなたのっ!あなただけのっ!リーダですぅっ!!
リーダはもはや何を言っているか不明なほど悶え狂っている。
かたちの良いの良い乳房をもみしだき、ピンク色の小ぶりな乳首を舌で転がす。
その都度にリーダの身体全体がくねりさらに乱れていく。
僕の下半身から僕の全てが湧き上がっていく。
血が逆流し、感覚がその一点に集まっていく。
出す。リーダの全てを僕の精液で塗りつぶす。
彼女の全身に、その主人を刻み付けるために。
「あはあっ!わたひにぃっ!くださいっ!いっぱひくださいいいいっ!」
「ああっ!出る!出る!精液出るよっ!出るああああああっ!!」
一番奥まで、突き破らんばかりの勢いで叩き込んだ、その瞬間。
ぎゅうううっと、僕の下半身にからみつく彼女の足が僕をひきつけた。
「あぅあああああああああっ!!あなたぁっ!せいえきぃっ!くださひっいいいっ!!」
僕をあなたと呼んだ彼女の。その言葉とともに意識は真っ白になって。
僕はリーダの、一番深いところに。
長い長い射精をした。
どぷっ!どくどくどくどくどくどくどぴゅぅっ!!
連続して打ち出される白濁が子宮を叩く。
リーダの膣は別の生き物のように蠢きながら、僕から精液を搾り取っていく。
「あああああっ!!あっ……あっ……あぁ……はぁ……」
びくん、びくんとリーダの白いお腹が上下している。
自ら精を体に染み込ませようとするかのように、僕を包みこんだままぎゅっと抱きしめる。
最後の一滴まで出しつくしそのまま上に倒れこむと、僕もそっと彼女を抱きしめ返した。
ややあって、開ききった彼女の秘裂から、
力を失った僕の肉棒がこぼれると同時に、ごぼりと僕の精も一緒に溢れた。
「出てきてしまいましたね……」
「拭いてあげる」
「……ありがとうございます」
僕が彼女の身体を拭いてあげたあと。
二人して、また横になって見つめあう。
リーダは――愛おしそうに自分のお腹を撫でながら、僕を見つめる。
「まだ、何か入っているみたいです……」
「激しくしてごめんね。痛かった?」
「大丈夫です。……ありがとうございました、つかさ様」
月光のさすベッドの上。
横たわって僕たちは向かい合っている。
「何がありがとうなのかな?」
「わたしを――愛してくださって」
「――いつだって、僕はリーダを愛してる。世界でただ一人の、僕だけのメイドさんをね」
「嬉しいです……つかさ様」
互いの息を感じるほど、身を寄せ合っている僕ら。
普通の関係ではなくて、だけどとても普遍的な関係である僕ら。
家族であり、愛する人。単純であり、複雑な答え。
主人、仕える人。だけど結局、言葉は何でもかまわない。
「――わたしは、なにも証は求めません。あなたの妻の座はあの子のためのものです」
「それでも――わたしは、ずっとあなたの傍にいたい」
とリーダは僕を見る。あのときと同じ、真っ直ぐな目で。
「貴方の傍で、わたしは貴方に生涯を捧げ仕えます。
貴方の影の中に立ち、貴方とともに生きるために。
たとえ死が二人を分かっても、あなたは――わたしの生涯ただ一人の主人です」
真摯な性格そのままに、嘘偽りない彼女の言葉が僕を押してくれる。
だから。僕も、真っ直ぐに答えよう。神や世間がなんと言おうとも。
僕は、彼女たちを生涯、ともに愛し続けると。
「――僕も誓おう。あの子も君も、等しく愛し、等しく幸せにすると。君に対して僕が出来る全てで」
「はい――誰がなんと言おうと、神様はわたしたちを祝福してくださいます。
ただ愛のみが……結婚を神聖なものとするのですから」
誰の言葉だったろう。トルストイだったろうか。
本人の意図とは逆かもしれないけれど、今の僕らには相応しい言葉かもしれない。
愛があれば、それだけで神聖。証など無くとも、僕らはすでに祝福されているのだから。
彼女が主人である僕に仕えるように、僕は愛する家族である彼女に仕えよう。
僕らの生の最後のときまで、愛しい彼女は慈しむような笑みで僕に言うだろう。
「わたしは幸せです、マイロード――いえ、あなた」
だから僕も、その都度答えよう、いつでも、どこでも、何度でも。
「僕もだよ――リーダ」
そうして互いを抱きしめあって。
月の下で、僕たちは――
もう一度、長い口づけを交した。
P.S.
翌日。
「んー」
何やら朝から思案している理事長。
「どうした、みやび?」
じろり、と寝不足っぽい眼で僕を見て言った。
「月水金はあたしだ」
「へ?」
「火木土はリーダと寝るがいい、つかさ様」
「ななななにょ?」
とっても凶悪な眼でにやり、と笑うみやび。
ぽん、とほうってくる何やら小さな機械は。
…………
「とっ盗聴器っ!!」
「ふはははは!あたしの耳から逃れられると思うなよっ!
おかげで昨日はちっとも寝れやせん!責任とれっ!」
意地悪な口調を装いつつ、とっても楽しそうに笑う。
「今度から日曜は3人で寝よう。拒否は認めん。
理解したらみやびちゃんぷりちーと復唱しろ」
「ちょwww」
そんな一週間を送っていたら数年で搾り滓になること間違いなしだ。
いや、僕が我慢すればいいのかもしれないけど、
二人の誘惑を退けるのは僕にはとっても難しいわけで。
つか、どう考えても絶対無理。
「死ぬから無理。そんなこと言うみやびはぷりちーなんて呼べない」
「うるさい。口でクソたれる前と後にぷりちーといえこのエロ秘書め!
おはようからおやすみまで常にみやびちゃんぷりちーとゆえーっ!」
リーダはそんな僕とみやびを見ながら、
頬に手を当ててにっこり微笑む。
彼女はとても幸せそうに笑う。
それがきっと僕らの日常。
どこにでもある、終わらない物語。
[Moon Flower] end.
……ちゃんちゃん♪
えっちいSSは初挑戦でしたが如何でしたでしょうか?
自分で読み返してみると赤面……つか、やりすぎ?
知人にはとても見せられません……
ともあれ読んでいただいた方全てに感謝致します。
紅茶奴隷でした(`・ω・´)
……正直、貼るだけで疲れましたorz
貼り忘れ。>>31-52でよろ
俺ならおはようからおやすみまでみやびちゃんぷりちーと言えるwwwwwwwwww
GJ
初めてとは思えないぐらいエロいです…GJ!
この勢いでみさきちのエロいSSも是非
GJ〜
分校司よりエロ化しててワロタw
>>
毎度、乙です。
何ですか、この本校司の皮をかぶった分校司は!?w
エロ初めてなんて、ウソでは?
実は、前世が分校司とか?
>>だって、扉をちょっとだけ開けておいたのは僕だし。(爆)
ひでぇ。
>>「ふはははは!あたしの耳から逃れられると思うなよっ!
もっと、ひでぇw
このエロエロぶりなら、次はすみすみエロSSを希望。
ちよりん日記の時の勢いで、是非w
>>54>>55>>56>>57皆様感想乙です。
エロSSは本当に初めてですよ。エロゲやるのはもちろん初めてじゃないけどw
正直推敲には普段の数倍難儀しましたです。盛り上げるのって難しいですね(`・ω・´)
とりあえず分校組のえちと最近はまった夏めろのえちを参考に書いてみました。
すみすみやみさきちは正直丸谷さんを超えるのは無理だと思うのですよ。
まあ、これからも頑張りますです。またいずれお会いしましょう。
それより前スレ埋めようぜ
>>51
GJ
でもふと思った
それってなんて「いじプリ」のハーレムEND??
実は盗聴機仕掛けたのリーダさんだったりして
>>53
うお、GJ!だ。リーダさん攻略の鍵となる、「みやびと共にある幸せの形」を盛り込みつつもエロい!
愛される事に貪欲になっていくリーダさんって、ぐっときた!メイドっていいなぁ
願わくば、(爆)やらwwwやらを挟まなければ、もっと良かったよ
>32
オレは射精した
フェラBGMで楽に抜いた
旧スレ埋めのため小ネタを投下しました。>>576-578辺り。
すみすみファンに奉げます。
皆様も埋めにご協力頂ければ幸いです。
今さら「ひめりり」をやってみさらに惚れたので、
SSを書いたのですが時期はずれですかね。
どんどんやっちゃってくださいな
ありがとうございます。では、失礼しまして。
みさらと二人、仲良く下校中のことだ。
不意に足元に、何か柔らかい感触がまとわりつくのを、俺は感じた。
「お?」
「にゃ……」
見ると、それは一匹の猫であった。
まだほんの子供で、身動きするたび、産毛のように繊細な毛が
フルフルと震えている。
弱々しい鳴き声を上げながら俺の足に頬ずりするその姿には、
庇護欲をかきたてずにはおかない健気さがあふれていた。
「何だ、おまえは。どこから来たのだ」
思わず抱き上げ、綺麗な鳶色の瞳をのぞき込むと、
仔猫は何となく嬉しそうに「にゃあ」と答えた。
うむ、とても可愛い。こいつ、俺を一瞬で籠絡するとは、
なかなかの策士ではないか。腹を空かせているようだし、
城に連れ帰ってもよいかもな。
バーレッジには、「また居候を増やすおつもりですか」
などと嫌味を言われそうだが。
みさらはどう思うかな?
「おいみさら、こいつ、連れて帰ろうと思うのだ……が?」
隣を見て、ギョッとした。あのみさらが、瞳をウルウルさせて、
猫を凝視している。頬を薄紅色に染めて、恋する乙女の表情そのもの。
「ね、ねこ……」
そのあまりの感動ぶりに、俺はちょっと驚く。
仔猫が幾ら可愛らしいとはいえ、まさか、ここまで反応を示すとは。
そういえば、今までみさらが動物と戯れるようなイメージは皆無で
あったが、そうか、やはりこいつも女の子、可愛いものには心動かされる
のか。
俺でさえそうなのだから、当然と言えば当然だが、
意外な面を見せてくれる。
「抱いてみるか?」
「え、え?」
「ほら」
「わ……わぁっ」
ひょいと渡すと、みさらは反射的に手を出して猫を受け取った。
が、その動作はどこかぎこちなく、どうも触ることを怖れている
ようにすら見える。毅然としたいつもの態度からは想像も出来ない。
みさらの緊張は、勘の鋭い小動物にはすぐに気取られた。
みさらの手に抱かれた(というよりは、「掴まれた」という表現が
しっくりくるくらいなのだが)仔猫は、俺の時とうって変わってとても
嫌そうな顔をすると、身をよじってするりと逃れ、地面に着地するなり
俺の足元へと戻ってきてしまった。
「にゃー」
みさらに対し、警戒心丸出しである。まあ、それも仕方あるまいよ。
何しろみさらときたら、猫を慈しむどころか、ガチガチに緊張した顔で、
まるで睨むようにして猫を見つめていたのだから。
あまりに扱いが下手すぎる。
「みさら、おまえがそんなに警戒してどうする。猫が怖がるではないか」
「だ、だって……」
「ほら、すっかりこいつに嫌われてしまったようだぞ。俺の後ろに隠れて怯えている。可哀相に」
「うう……わたしは、そんなつもりは」
「害のない小動物だ。もっとやさしくしてやれ」
「や、やさしく、と言われても」
うむ? どうしたというのか、この動揺ぶりは。猫恐怖症とか、か?
いや、まさかな、そんな病気聞いたこともないし、鵺とかならともかく、
みさらが猫程度に恐れをなすとは思えない。
それを言うと、みさらは怒って俺の頭を小突いた。
「馬鹿者、怖いものか、猫など! それに鵺だと、
一体わたしをどう見ているのだおまえはっ」
「にゃっ!」
この剣幕が、さらに猫を怖がらせる結果となった。
これは……取り返しが付かぬ。もはや並大抵のことで、
この猫がみさらへの警戒心を解くことはあるまい。
「あう……」
今さら失敗に気づいたみさらは、相当のショックを受けたらしく、
泣きべそかいて俯いてしまった。むう、さすがに可哀相になってきたぞ。
「おまえは、動物の扱いに慣れておらんのか」
「幼時より、勉強修行の毎日だったからな……。
そんな暇など、ありはせぬ」
「そうなのか」
さすがは真面目なお姫さま。こう見えて、超のつく箱入り娘だからなあ。
きっと、親や兄の言うことをきっちり守って、ひとりで外へ出ること
などなかったに違いない。俺とは大違いだな。
俺は、昔から、勉強とか修行とかが大嫌いだったから、城をよく
抜け出しては方々へ冒険に行き、様々なものを見知ってきた。
森の近くへ行けば、いろんな動物と出会えることを知っていたし、
その危険も、楽しさも知悉している。
バーレッジに匿ってもらった動物も、片手では数え切れまい
(その後アティリーンにばれて、泣きながら放しに行かされたものだが)。
そういった経験の薄いみさらは、おそらく、初めて触る猫を
どのように扱って良いか分からなかったのだろう。
可愛いと思っているにもかかわらず、可愛がり方を知らぬのだから、
歯がゆいことであろう。
「みさら、そう落ち込むな。そんなに難しいことではないのだ。
どこから来たのかは知らんが、俺への慣れようから見て、こいつは
どうも元飼い猫だと思う。愛玩動物は、思いやりを持って接してやれば、
きっと応えてくれるものだ」
「そうなのか? だが、わたしはもうすっかり……嫌われてしまった」
シュン、とするみさら。むう、抱きしめたくなってきた。
どうやら、ほんとうに猫と遊びたいらしいな。可愛いぞ、みさら。
俺は、とりあえずこの猫を連れ帰ることにした。
飼うかどうかは別として、しばらく城に置いておき、みさらに
慣れさせてやりたいと思う。シャンレナあたりが喜んで面倒を見そう
だしな。
悄然とするみさらをなんとか励まし、俺達は城へと戻った。
帰宅した俺たちを迎えたのは、むろん、バーレッジの渋面であった。
「テュロウさま、また居候を……」
予想と違わぬ台詞を、俺は片手で制した。
「文句はあるだろう、わかっておる。だがな……」
俺は、バーレッジの耳元へ囁く。
「みさらが、意外にもな、猫が好きらしいのだ。だが、
扱いが分からず落ち込んでおる。その姿があまりに不憫なので、
俺としては、なんとかしてやりたい」
頼み込むと、バーレッジは、ふう、とため息を吐き、
「テュロウさまがそう仰るのなら」と猫の面倒を快諾(?)してくれた。
シャンレナが、レニーナの遊び相手が増えたと、とても喜んでいるから、
バーレッジにだけ世話をかけることでもあるまい。問題なしだ。
「とりあえずはこれでよし……と」
だが、大変なのはこれからだ。動物は、一度警戒心を持った相手に対し、
そう簡単に心を許すものではない。こちらがいくら相思相愛を願っても、
あちらに「敵」と判断されたなら、それはもう絶望的な試みとなる。
それにだ。それ以前にまずやらねばならぬことがある。それは、
みさらの動物に対する恐怖心を解いてやること。
それができぬようであれば話にならない。
俺は、未だに猫に未練を見せるみさらに、ちょいと釘を打った。
「みさら。慌てても、すぐに仲良くなることは出来ぬ。今は、おまえの
方が問題だ」
「う……その、とおりだ」
「だんだん慣れていこうではないか。なに、おまえは根が優しい人間だ、
いつか猫もわかってくれよう」
「テュロウ……」
俺を見つめるみさらが涙ぐんでいる。猫への愛しさ、自分に対する
不甲斐なさ、俺に対する感謝、そういう感情が入り交じって、
感極まってしまったのだろう。いやはや、みさらは可愛すぎる。
こうまで可愛いと、つい、いじめたくなってしまうのだ。
ここで俺は、ひとつ名案を思い浮かんだ。
「みさら、あとで俺の部屋へ来い。動物について、いろいろ教えてやる」
「えっ、良いのか」
「当たり前だ。おまえの幸せを、俺は常に考えているのだぞ」
「あ、ありがとうテュロウー……」
今にも抱きついてきそうな勢いだ。素直なものよな、これから、
俺がなにを企んでいるかも知らずに……。ふふ。
アスバにみさらの宿泊を伝えさせ、俺たちは食事と入浴を終えた。
深夜と呼ぶ時間帯へと入っていた。こんな時間に、みさらが俺の部屋へ
来ることも、すでに公認の仲となっている今、誰も文句を言う奴はいない。
事は非常にスムーズに運んだ。
おずおずと部屋を訪れたみさらを招き入れ、俺は準備を進める。
「あの、テュロウ?」
「なんだ、みさら?」
「これは……いったい何なのだ?」
「言ったろう。動物について、教えてやると」
「これが、動物の勉強、なのか? ほんとうに?」
「そうだとも」
「えー……」
ぶーたれながらベッドに座るみさらは、それは見事な、猫の格好を
していた。いや、猫の格好と言っても、頭に猫耳カチューシャを付け、
毛皮のブラとショートパンツを穿かせただけの、いわゆる「コスプレ
(以前、千名希がそう教えてくれた)」という奴なのだがな。
だが! これが、素晴らしくいい!
実を言うと、こいつをバーレッジに用意させた時点で、たったこれだけの
単純な衣装が、琴線に触れるかどうか、俺自身半信半疑であったのだが。
とんでもないとんでもない。俺は、コスプレを甘く見ていたッ。
この破壊力は……実際に見たものにしか分かるまい!
うおぉおぉぉおみさらッ、飛んでもなく可愛いぞッ。
「え、え、あの……ありがとう」
この恥じらいがまたいい。俺は瞬時に沸騰し、みさらを押し倒しそうに
なる。
だが、待て、まだ理性を飛ばす時ではない。
「えー、オホン、この格好が意味するところはだな、みさら」
「……意味するところは?」
上目遣い。いちいち、俺のエロ心をくすぐってくれる。最近、みさらは
俺の本質をわかってくれている(無意識なのだろうが)と感じる。
ほんとうに、幸せなことだ。
「これは、この変身は、猫の気持ちになりきることにより、おまえの意識を
改革する行為なのだッ」
「猫に……なりきる……」
「そうだ、今この瞬間から、おまえは一匹の猫だ! 俺が許可するまで、
一切人語を話してはならんし、返事はすべて『にゃあ』『にぃ』等の猫語
と限定する! それが! おまえがあの猫と親しくなるための重要な
第一歩となるのだッ」
あまりにも無茶苦茶かとも思ったが、この状況がすでに異常なだけに、
このくらい大げさでも構わんと思った。みさらがこんな格好をしてくれた
時点で、実のところ、目的の九十パーセントを達成したようなものだった
のだ。
ところが、こんな俺の妄言に対しても、素直なみさらは真剣に考えて
くれている。そして、やがて意を決したように俺を振り仰ぐと、
「では……あ、いや、に、にゃあ……」と、恥ずかしそうに囁いてくれた
のだった。
俺は、……一瞬、意識を失いかけた。
その後は、俺のやりたい放題となった。猫と化したみさらはとても従順で、
何でも俺の言うことを聞いてくれたし、最初は戸惑いがちだった猫語も、
性感の高まりに比例して、だんだん堂に入ってきている。
俺の攻めに反応してにゃあにゃあ鳴いてくれるみさらは、あまりにも
可愛い。
「どう……だ、気持ちよいかみさらっ」
「に……にゃ……にゃあっ、はあ、はぁ、にぁッ!?」
「随分猫の気持ちが分かってきたようだな、みさらっ?」
「にゃあんっ」
「大丈夫、すぐに……仲良くなれる、おまえは……美しい」
俺は、自分がなにを呟いているのか理解していない。目の前でよがる
みさらがたまらなく愛しく、それを伝えたい一心だ。
それがどんな言葉になっていたとしても、みさらは、分かってくれると
信じている。
その証拠に、みさらは俺の腕の中で、どんどん艶っぽさを増していくのだ。
「はあっ、はぁん、にゃああぁあぁんっ」
「そろそろ、いくぞ……!」
「あっ、はにゃ、あぁん……」
「みさら、みさら、みさら、みさら……っ」
「にゃ、テュ、テュロ……テュロウッ、あはあぁぁん!」
「ぐっ、いく……ッ」
「は、にゃあぁぁああぁあぁッ!?」
そうだ、……大丈夫だみさら……おまえは世界中から、愛される。
むろん、猫だって、おまえを愛する……。そうに決まっている……。
それから、一ヶ月くらいはかかったろうか。俺たちの努力が実り、
猫はようやくみさらに慣れた。近頃では、みさらの手から餌を食うところ
まで来た。それが嬉しくたまらないらしく、みさらは、それこそ猫のように
はしゃいでいる。
アスバ式に「たま」という名前も付けた。
そんなみさらを見ているのはこの上なく微笑ましく、幸せな気分
なのだが……。
愛玩動物とは、常に別れがつきものだ。
飼い主が現れたのだった。
俺の勘は正しく、拾った仔猫は、シンノエンのある商家から逃げ出して
しまった猫だと言うことだった。飼い主の必死の捜索もむなしく、諦め
かけていたところ、城から発布されていた報せを聞いて駆けつけたのだと
いう。
こうなることは、あらかじめ分かっていたこと。だが、敢えて考えない
ようにしていただけに、現実となると、みさらにかける言葉が見つからない。
「みさら。……その、何だ、元気を出せ」
「……わかっている」
「永遠には一緒にいられぬのだ、……別れは、必ず来る」
「それもわかっている」
では、何故泣いている? とは、言えなかった。みさらの涙が、
あまりにも辛かったから。そうだ、幼い時、辛い別れを経験するたび、
俺はいつもこう思った。
「こんな辛い思いをするくらいなら、はじめから、出会わなければ……」と。
だが、そうではないのだと、俺はみさらから教わったのだった。
たとえいつか別れが来るものだとしても、出会いのよろこびは、幸福は、
何ものにも代えがたいのだと。みさらと出会えたことが俺の一番の幸福だと
感じられる今なら、いつかやって来るかもしれないみさらとの別れも、
俺は、受け入れたいと思う。なぜなら、そのつらさは、それだけみさらへの
愛の証拠となるであろうから。
そんな気持ちが通じたのだろうか、みさらが、涙を拭いた赤い眼を俺に
向ける。
「……テュロウ」
「なんだ?」
「わたしは……一ヶ月の間、あの猫から幸福を分けてもらえた」
「そうだな」
「わたしの隣に、永き幸福を分け合える相手がいると言うことが、今は
とても嬉しい」
「みさら」
「たまとの別れは悲しいが……。おかげで今わたしは、テュロウのことを、
心から大切に感じている」
「……うれしいぞみさら、俺も、同意見だ。たまのことは……よい
経験であったな」
そうだ。たまとは死別するわけでもない。飼い主はとても良さそうな
人たちであったから、みさらが望めば、いつでも会わせてくれるだろう。
何より、俺たち二人に、この温かい心を再確認させてくれたあの猫に
……俺は感謝したいと思う。
達者でな、たま。また、飯食いに来い。
以上、「猫を拾った」終了です。
>>68-78
テュロウとみさらのラブラブ話を書きたかったのです。
ありがとうございました。
支援あげ
あてぃりーんとのフェラチオでえろえろなSSを希望
旧スレに再び穴埋めSS投下〜。
お暇なみさきちかなっぺのファンは落ちる前にどぞ。
ttp://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1163076407/l50
みさらん可愛いよみさらん
旧スレ大体埋まったと思うんだけどあとはほっといても落ちるのでしょうか?
480k越えたから放置しとけば落ちるはず
>>85了解しました。レスありがとん。
あれ、それって落ちたっけ?
490いかないと駄目じゃなかった?
>>87
そりゃあどんなスレであろうと放置すれば落ちる
ただ、まだ書き込める状態で放置して落ちるのは単なるdat落ちと全く同じ
500Kまで行ってエラー出て書き込めなくなったり、1000まで行くのをスレ終了と言うが
うーん。専ブラで今490KB(500000B)と表示されるのだが、今まだ書き込めた。
つーことはあと10KBは埋めないと駄目なのかにゃ?
埋まった。皆様ありがとう。
こちらのスレでお話をアップするのは初めてかな?
どうも、初めましての方が大多数かと思いますが、
世界のどこかで細々と小説を書いているタハ乱暴という者です。
このたび、「はぴねす!」の二次創作を書きました。
エロなし、全年齢OKの健全なお話です。
もしお時間がよろしければ、読んでやってください。
Q.人を愛するのに、年の差なんて関係ない――と、あなたは思いますか?
A.証言者H「当たり前だろ! 俺は人妻だろうが女教師だろうが綺麗な女の人なら誰でも……」
Q.人を愛するのに、血の繋がりなんて関係ない――と、あなたは思いますか?
A.証言者S「う〜ん。どうでしょう? 法律で決められている以上、悪いことなんでしょうけど……でも、わたしは兄さんのこと、好きですよ」
Q.人を愛するのに、性別の差なんて関係ない――と、あなたは思いますか?
A.証言者J「モチロンよー。わたしは今も昔もずっと彼のことが好きなんだから。…だから、ねぇ? 雄真ー!!」
Q.人を愛するのに、××の差なんて関係ない――と、あなたは思いますか?
A.証言者U「俺は……そうだな……」
放課後の屋上は、夕暮れの空が放つ茜色の光線に照らされて、一種幻想的な風景を生み出していた。
神坂春姫達の通う瑞穂坂学園の屋上は町全体を一望出来、その眺めは下手な展望台にも負けぬほどの絶景であったが、真っ赤に染まった町並みを見下ろすのはまた格別なものだった。
放課後になってもう30分、春姫はこの屋上で人を待っていた。
待ち人の名前は小日向雄真。彼女の初恋の人であり、現在の思い人である男の子。
クラスメイトの誰よりも早く登校してきた彼女の開閉式のロッカーに、彼からの手紙が入っていたのは今朝のことだ。
授業中、高鳴る胸の鼓動を抑えながら読んだ手紙には、
『放課後、魔法科の屋上に来てくれ』
と、簡潔に一文だけが書かれていた。
『式守の秘宝』を巡って起きた一連の騒動が終結してはや2ヶ月……魔法科への編入が決まった雄真は、未だ誰とも恋人同士にはなっていなかった。
事件の渦中の人…式守伊吹の想いも、春姫の想いも、誰からの好意も受け取らなかったのである。
しかしそれで春姫の雄真への想いが揺らぐことはなかった。
正確には彼は誰からの想いも受け取らなかったのではなく、誰からの想いにも気が付かなかったのだ。
騒動の終局、伊吹からの告白を聞いたときも、彼は苦笑いを浮かべているだけだった。彼は伊吹の言う『好き』という気持ちを、女が男に向けるものとして捉えず、友達が友達に向けるものとして捉えたのである。
春姫にしたところで、正式に告白した上で交際を断られたわけではない。
自分にもチャンスはある……春姫が彼のことを諦める理由はなかった。
そして今朝、当の雄真からの手紙を受け取ったことで、春姫のいやがおうにも期待は高まった。
手紙とはいかにも古風で彼らしいなと思いつつ、たった一文だけとはいえ、彼から手紙をもらったという事実が嬉しかった。
ましてそれが愛の告白を連想させるような内容であれば……自分から呼び出しておきながら、30分も待ちぼうけさせられているのも、苦にならない。
(これが杏璃ちゃんだったら、きっと文句を言ってるんだろうな)
手紙に書いてあったのは『放課後』という単語のみで、勿論具体的な時間などは決められていない。
にも拘わらず、『遅刻よ!』なんて言って、待ち人に対して文句を言う親友の姿がありありと想像できて、春姫は思わず苦笑する。
柊杏璃という少女はちょっとだけ我が侭で、時折周りが見えなくなってしまうことがあるけれど、基本的に根の真面目な、何事にも真摯な態度で臨む魅力的な女の子だ。そんな彼女だから、自分を何十分も待たせた相手のことをきっと許しはしないだろう。
一方の雄真は雄真で、そんな杏璃の性格を好ましく思っているだろうから、けれど、素直に謝るなんて恥ずかしくて出来ないだろうから、最初は冗談なんかで誤魔化そうとして、そして結局素直に謝罪するに違いない。
想像上のやり取りでは、雄真が杏璃に何度も頭を下げ、それを彼女が笑って許し、彼自身も笑顔を浮かべてもう一度謝る……という形で終結した。
杏璃に許されてほっとした顔で笑う想像上の雄真の笑顔を、微笑ましいと思う反面、思い浮かべると少しだけ胸が痛んだ。なぜならその笑顔は、想像上とはいえ自分に向けられたものではなく、他の人……それも自分以外の女の子に向けられたものだったから。
自分と杏璃は、親友であると同時にライバルでもある。
もっと具体的にいうなら、ライバルという語の前に『魔法の』と、『恋の』という、冠頭句がつく。
杏璃本人の前で言おうものなら間違いなく一蹴されてしまうであろうが、つまるところ、杏璃もまた雄真のことが好きなのだ。
本人にその自覚はまだ薄いようだが、彼女を見ていれば誰でも分かる。もっとも、当の小日向雄真や、彼の友人で、自分とも共通の友人である上条信哉辺りに理解を求めるのは難しいだろうが。
今のところ魔法のライバルとしては春姫の方が一歩先じている。
しかし、恋のライバルとしては……正直、自分の方が一歩遅れていると、認めざるをえない。
(この間だって、杏璃ちゃん雄真くんと一緒に何処か出かけてたらしいし…)
それは『オアシス』の新作デザートの試食会に、杏璃が出品するケーキを作るための材料集めだったのだが、花も恥らう恋する乙女の春姫には、『杏璃と雄真が一緒に出かけた』という事実のみが重要だった。
後日、その日の模様を半ばうんざりしながら、しかし半ば楽しそうに語った雄真の傍らで、春姫は親友に対して少しだけ嫉妬を覚えたものだ。
(わたしって意外と独占欲の強い女の子だったのかな?)
自分でも気が付かなかった意外な一面に、いいや…と、春姫は首を横に振る。
好きな人のいる女の子なら当たり前のことだ……と、自分に言い聞かせ、深呼吸をひとつ。
それに、そんなことでいちいち嫉妬していたら、それこそ身がもたないと考え直す。
小日向雄真という少年に惚れてしまった春姫は、とにかく恋のライバルの存在にだけは困らない。
彼に想いを寄せている女の子は、自分以外にも大勢いる。
彼が別の女の子と一緒に出かけていることでいちいち腹を立てていたら、自分の胃は二日ともつまい。
(…って、やだ。『彼』だなんて……わたしったら、もう雄真くんと付き合ってる気になってる)
誰もいない屋上で、ひとり恥ずかしそうに身悶えする春姫。
その両頬が僅かに赤らんで見えるのは、夕日のせいだけではないだろう。
そのとき、屋上へと続く階段の扉が、勢いよく開いた。
驚いてそちらの方を振り向くと、そこには彼女の待ち人が……彼女が恋焦がれる少年が、息を切らしながら立っていた。
「ご、ゴメン! 春姫。すぐにこっちに向かおうとしたんだけど、準達に捕まっちまって…」
雄真は肩で息をしながら歩み寄ってきた。
屋上で待つ自分のことを思って走ってきたのだろう。顔は紅潮し、額では夕日に照らされて汗が輝いている。
「結構待ってただろ? 暑くなかったか?」
夏真っ盛り……とはいえないものの、暦の上ではもう6月。照りつける日差しの強さはそれほどでもないが、じめじめとした蒸し暑さが不快な季節だ。
少しだけ汗で張り付いた下着の感触に表情を変えることなく、春日は首を横に振った。
「ううん。校舎の中と比べると、外の方は過ごしやすいから。それより……」
「ああ、わかってる」
遅れてきたことをなおも詫びながら雄真が言う。
「話があって呼び出したんだ。春姫に、とても大事な話が…」
春姫の心臓が高鳴った。
三十分ほどの間に期待や妄想を膨らませていた彼女の心は、雄真の『大事な話』の一言で、ひどく揺れ動いた。
夕焼けの綺麗な屋上で2人きり……この状況で大事な話といえば、彼女にはひとつしか思い当たらない。
(これってやっぱり…そうだよね……?)
期待に膨らむ気持ちをぐっと押し殺し、春姫は「何の話なの?」と、雄真の言葉を待った。
少年はどこか思い詰めたような表情で、視線を泳がせながらおずおずと口を開く。
「じ、実は…その……」
一旦開いた口を、再び閉じてしまう雄真。
普段は平気で男らしい台詞を言うくせに、こういうときだけ躊躇する。だが、それを優柔不断とは思わない。
自分は男の子ではないが彼の気持ちは分かるような気がする。
きっと彼は今、気恥ずかしさと、その先に待つ結果に対する恐怖と闘っているのだろう。もしかすると顔の紅潮は、単に激しい運動をしてきたからだけではなく、緊張だとか他の要因も関係しているのかもしれない。
屋上に風が吹いた。
前髪を揺らすとともにお節介焼きの風が雄真の体臭を運んでくる。
鼻にツンとくる汗の匂い。
不快ではない。
春姫の中の女の本能を揺さぶる、好きな男の匂いだ。
そして風は、彼の体臭を運んでくると同時に、突風に掻き消されそうになった彼の言葉をも、春姫の耳に届けた。
「その俺と、…………が、付き合う……………ほしいんだ!」
小さくかすれた声が、春姫の耳の中で繰り返し響く。
けれど肝心なところが聞き取れなかった。
春姫は彼の言葉がもう一度聞きたくて聞き返す。
「え?」
「いやだから…俺と……」
また風が吹いた。海から陸へと、先刻とは違って唸りを上げる無粋な突風が、屋上へと吹き込む。
雄真は大きく息を吸い込むと、顔を真っ赤にしながら自棄になったように大きく叫んだ。
「俺と、ソプラノが付き合うのを許してほしいんだ!!!」
「すいません雄真君、もう一度言ってください!!!」
……またこんなネタかと、思ってはけない。
屋上で発せられたその雄叫びは反響して学園中を駆け巡った。
まだ魔法科の校舎に残っていた教師や生徒は言うに及ばず、その世界の中心で愛を叫んだかの如き直談判は、遠く離れた普通科の校舎にも届いた。
ざわざわと遠くから聞こえてくるどよめきを耳から耳へと聞き流し、瑞穂坂学園始まって以来の才媛・神坂春姫『Class“B”』の魔法使いは、目の前の少年の言葉に目を点にしていた。どうやら遭遇した目の前の現実を脳が理解することを拒み、自己防衛本能が機能したらしい。
一方、彼女をそんな状態にしてしまった当の本人は、慌てて春姫の両肩をつかむと揺さぶった。
「お、おい春姫! どうしたんだ? しっかりしてくれ」
「……はっ!?」
雄真の言葉にはっと点になった目を元に戻す春姫。
彼女は驚いた様子で辺りを見回すと、
「う、う〜ん。気のせいかな? 今雄真君からとても重大なことを言われたような……」
と、記憶をなくしていた。
「ああ。言ったぞ。俺とソプラノが付き合うのを許してほしいって」
「…………はぅッ!!」
再び記憶をなくし、屋上に倒れる春姫。なんというか器用な娘である。
しかしこのままでは物語も進まないし、雄真の話も一向に終わらない。
少年は先刻と同じように彼女の肩をつかむと上下に揺さぶった。
90のFカップという豊満な二つの山がたゆみはずむが、それには目もくれない。これで春姫が起きていたら、女のプライドはズタズタであろう。
「う、う〜ん…」
だがどうやらその心配はなさそうである。
今度は肩を揺さぶる程度ではなかなか起きそうにない。
「これじゃ拉致があかないな」
コラコラ雄真君、字が間違っているよ。たしかに北との拉致問題は一向に解決の糸口が見えないではいるが……
「……よし!」
などとタハ乱暴が突っ込みを入れているうちに、どうやら何か思いついたようである。
雄真はおもむろに右手を春姫の肩から離すと、「はぁー」と、息を吹きかけた。
「起きんしゃい、春姫!」
“シュパパパパパパパパパパッ!”
秒間十発という高速で放たれたビンタが、春姫の両方を激しく殴打する。
いわゆる往復ビンタだ。手首のスナップを利かせたその鮮やかな返しは、プロのレスラーでもそうそう出来る人間はいないだろう。