SS投稿スレッド@エロネギ板 #12

10 :かにしの人気投票支援SS「通販さんと春の午後」3 :2007/02/07(水) 19:45:46 ID:tkgMrYfa0

いいだけ騒いだ二人が去った後、空に目をやる。
――自分には、無縁の空。
邑那も、彼女らも、最初から翼を持っている。
彼女らは飛べないと思っているだけだ。
きっかけさえあれば、何時でも空へ羽ばたける。
だがこの自分には、まがい物の翼しかない。
アテナの使いであった金属の梟のように。
……あの探検の終わりの日。最後のピクニックの日。
ちょっとだけ嬉しくて、そして楽しかった。
少しだけ、自分を縛る鎖が緩んだような気がした。
でも多分、今も何も変わってはいない。
ここにはアテナは居ない。ヘルメスの魔法も無い。
自分は、けして飛べない。
花もお茶も只の時間つぶしに過ぎない。
これまでも無数の商品や趣味に手を出し、その全てに飽きた。
これもその内きっと飽きるだろう。
あの迷宮の、軍需施設の真の意味。半島に無数に散らばる施設が示すもの。
支配者たる風祭すら忘れてしまったその意味は。
あの地図を良く見直せば、それが一つの図形を示していたことに気づいたろう。
だが、気づく可能性のあった連中は今回全て卒業した。
それは彼女らにとってむしろ幸せなことだろう。
構築された図形。それはあるものを繋ぎとめる封印。
何に対する?決まっている。

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