SS投稿スレッド@エロネギ板 #12

12 :かにしの人気投票支援SS「通販さんと春の午後」4 :2007/02/07(水) 19:48:30 ID:tkgMrYfa0

――それは課せられたものか、あるいは自ら課したものか。
千年の倦怠と憂鬱。祝福と同時に呪いでもある停滞した時間。
誰が知ろう。戦後の凰華女学院が、そもそも「自分」を閉じ込めるためにこそ作られたのだと。
それは存在してはならない逸脱者。なれど滅ぼすこともかなわぬ禁忌。
故にこの地に封じられた王にして囚、神にして贄。
此処は自分の最後の領土。揺りかごにして墓場。
此処で生まれ、なれど死ぬことを許されず。生きていながら、生きていないままで。
永く遠く。忘れて、忘れられて。
だから自分は――そっと呟く。

「誰か私を……殺してくれ」

「んー、なんか物騒だな。自殺志願はよくないぞ?」
「――っ!」
いつの間にか来客が一人。あまり、いや極めて歓迎したくない男。
「……お前か」
「教師をお前呼ばわりはないだろう。ちなみに自殺幇助は断るぞ」
「誰も何もお前に頼んでいない。迷子教師」
名前は以前聞いたような気もするが覚えていない。
去年もこんな男がいた。鬱陶しいくせに優しくて、だらしないくせに真摯で。
大したことも出来ないのに、その愚直さと存在だけで友人を救った男。
何処が似ているというわけではない。
強いて言えば鬱陶しい所が似ているとしか。
「迷子は一回だけじゃないか。そりゃ君に案内してもらったのは悪かったけどな」
「うるさい黙れ」

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