エロゲー全般のSS投稿スレです。あなたの作品をお待ちしています。
エロエロ、ギャグ、シリアス、マターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ジャンルは問いません。
そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みのSS書きの人!
名無しさんなら安心して発表できますよ!!
【投稿ガイドライン】
1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
なお、一回の投稿の最大行数は32行、最大バイト数2048バイトです
3.SSの書き込みが終わったら、名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して、
自分がアップしたところをリダイレクトする。>>1-3みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
恐れがあるため、ageる場合はなるべく長文を回した後お願いします。
5.スレッド容量が470KBを超えた時点で、
ただちに書き込みを中止し、次スレに移行して下さい。
保管サイトはこちら
http://yellow.ribbon.to/~savess/
過去スレ >>2-4辺り
――それは課せられたものか、あるいは自ら課したものか。
千年の倦怠と憂鬱。祝福と同時に呪いでもある停滞した時間。
誰が知ろう。戦後の凰華女学院が、そもそも「自分」を閉じ込めるためにこそ作られたのだと。
それは存在してはならない逸脱者。なれど滅ぼすこともかなわぬ禁忌。
故にこの地に封じられた王にして囚、神にして贄。
此処は自分の最後の領土。揺りかごにして墓場。
此処で生まれ、なれど死ぬことを許されず。生きていながら、生きていないままで。
永く遠く。忘れて、忘れられて。
だから自分は――そっと呟く。
「誰か私を……殺してくれ」
「んー、なんか物騒だな。自殺志願はよくないぞ?」
「――っ!」
いつの間にか来客が一人。あまり、いや極めて歓迎したくない男。
「……お前か」
「教師をお前呼ばわりはないだろう。ちなみに自殺幇助は断るぞ」
「誰も何もお前に頼んでいない。迷子教師」
名前は以前聞いたような気もするが覚えていない。
去年もこんな男がいた。鬱陶しいくせに優しくて、だらしないくせに真摯で。
大したことも出来ないのに、その愚直さと存在だけで友人を救った男。
何処が似ているというわけではない。
強いて言えば鬱陶しい所が似ているとしか。
「迷子は一回だけじゃないか。そりゃ君に案内してもらったのは悪かったけどな」
「うるさい黙れ」
何故自分はこんな男を寮まで案内してしまったのだろう。
そのまま森に埋めるか海に沈めるべきではなかったか。
あの時はよっぽど暇だったに違いない。きっとそうだ気の迷いだ。
「悩みがあるのか?なんだったら僕に相談してみないか」
無造作にこんなことが言える男。一般論の王国の住人。
百人中九十九人は生温く溶けた脳の持ち主だろう。そうでなければ只の馬鹿だ。
「断る。茶を飲みに来たのでなければ帰れ」
追い返すのは簡単だが仮にも教師、そこまで冷たく当たるのも躊躇われる。
昔に比べたらこの一年で自分も丸くなったかもしれない。
独り言を聞かれたのも正直落ち着かないが動揺を悟られたくは無かった。
「――お茶、もらえるかい?」
「……練習台で良ければ」
「それで結構」
非常に荒っぽい淹れ方になったにもかかわらず不思議と出来は良かった。
なんとなく悔しい。
「ありがとうお花ちゃん。美味しいよ」
茶噴きそうになった。誰だその手鞠をついてそうな子供は?
「――何だと?」
「花さんって呼ばれてるって聞いたから。だからお花ちゃん」
「却下する」
「じゃあ花子さんで」
「死ね」
トイレやロッカーに居住する趣味はない。
「非道い子だなあお花ちゃん」
「鋏で×××を切られるかジェット一輪車に括られるか即刻選べ」
「すいません生まれてすいませんごめんなさい」
軽口を叩きつつ茶をずずー、と行儀悪くすする迷子教師。
飲んだらとっとと帰って欲しかったのだが一向に懲りていないらしい。
知らぬふりで話を戻してきた。
「――で、何を悩んでいたんだ?」
触れるな鬱陶しい。本当に鬱陶しいのだが。
結局ちゃんと答えてしまうのは何故だろう。解らない。
「……飛べない鳥について」
「鳥ねえ……飛べない鳥というと鶏とか駝鳥とか」
「駝鳥は走れるから除外していい」
ふうん?と教師はこっちを不思議そうに見る。
「速く走れるなら、逃げることはできる」
逃げるという言葉に、教師は一瞬こちらの目を見た後、頷いて答えた。
「逃げる、ね……鶏が飛べないのは育種の末体が重くなったからだろう。
余分な肉がなければ、鶏だって飛べるさ。逃げることだって多分」
彼女たちは飛べる。でも。
「では、鳥を模した人形だったら?」
偽者は、所詮飛べない。
生きていないものは――飛べない。
だが、教師は呟く。
「――どんな人形か僕は知らないが、飛行機だって人工の翼だろ?」
だけど飛んでいる。ならば。
「まがい物の鳥だって、飛べないことはないだろうさ」
――真っ直ぐな、真っ直ぐすぎて。当たり前すぎて。
その言葉は、痛い。
「――何が、わかる」
平静を装う自分の声はわずかに低く震えている。
そんな自分自身が痛い。
話すべきでないような事を、喋ってしまっている。
「……お前は、何も知らないだけだ」
何も、誰も。自分のことは知らない。知るべきではないから。
「確かに。僕に解っているのは一つだけだ」
「……」
「僕は、まだお花ちゃんのことを何も知らないってことだ」
「……正しい理解だ」
ああ。続く言葉が解ってしまう。この男は。
「だから、もっと君の事を知りたいと思う」
この教師は――馬鹿だ。何故、踏み込もうとする?
「好奇心猫を殺す。教師なら意味ぐらい知っているだろう」
「それでも、だ」
「……何故だ?無意味なのに」
「無意味じゃないさ。何故かと聞かれれば」
そうだな、と教師は照れくさそうに笑った。
「お花ちゃんが、聞かれる事を望んでいるように見えたから、かな」
――この男は。百人中の九十九人ではない。
無論、千人中の九百九十九人でもない。
千人に一人の、大馬鹿のほうらしい。
「――馬鹿だお前は」
ここで自分が馬鹿め思い込みにも程がある、と切り捨てれば。
恐らくそれで終わった話。
「んー。良くそう言われるかな」
だけど。
自分は会話に付き合ってしまう。
馬鹿が感染してしまったかのように……いや、違う。
この男だから、話してしまう。
「何も知らない癖に――」
だのに何でも知っているような物言いをする、この男は。
「何でもは知らない。知っていることだけさ、お花ちゃん」
「――お前は食わせ者だ」
付け加えれば多分ロクでなしで教師失格でエロ教師だ。
あとお花ちゃんって言うな。
「かもな」
男の顔をもう一度見る。一応真剣に見えなくも無い。
十人並の普通人。ただの新人教師。鬱陶しい男。
だけど。この男を見ていると。話していると。
――誰かが言っていた。
いつか貴方が、本当に誰かを好きになったら。
全てを捨てられるほど、好きになったら。
きっと貴方も、自由になれるわ――
……自由。ほどけていく、心。
そんなことが、他人はどうあれ、自分に有ると思った事は無かった。
そんな可能性は知らなかった。
いや――今までは、知ろうとすらしていなかったのかもしれない。