エロゲー全般のSS投稿スレです。あなたの作品をお待ちしています。
エロエロ、ギャグ、シリアス、マターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ジャンルは問いません。
そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みのSS書きの人!
名無しさんなら安心して発表できますよ!!
【投稿ガイドライン】
1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
なお、一回の投稿の最大行数は32行、最大バイト数2048バイトです
3.SSの書き込みが終わったら、名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して、
自分がアップしたところをリダイレクトする。>>1-3みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
恐れがあるため、ageる場合はなるべく長文を回した後お願いします。
5.スレッド容量が470KBを超えた時点で、
ただちに書き込みを中止し、次スレに移行して下さい。
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過去スレ >>2-4辺り
紅茶奴隷でした。
お待たせしました……あまり待ってない?そうですよね。
とりあえず回線の都合上、今日と明日に分割して投下させてくださいです><
当初思ってたより筆が走りすぎました……orz
そんなわけでどぞ。
「Cherry Girls 後編」
今日も今日とて。
深夜二時の寝室。
「……あっ……はぁっ……いっ」
熱と湿度を纏わりつかせた吐息と嬌声。
「んっ……くぅ……っ!」
やがてそれは絶頂をむかえ。
いつものように、脱力した香奈はのへー、とだらしなく体を伸ばす。
はあ……
「またまた……やってしまいました……なのです」
ややあってぽとり、と彼女の大事な部分から毀れ落ちたのは、三種四個のちいさな立方体。
委細は問うまい。D100とD8とD6だ。
濡れたそれを掌の上で転がしながら、香奈はまた罪悪感に浸る。
「……だいぶ磨り減ってきてしまったのです」
それはかなり年季の入ったダイスだった。角はもう、だいぶ丸くなってきている。
そのうちセッションで使うにも問題が出てきそうだ。
今までは誰にも気づかれなかったけれど、弥生やちよりんは変な所で鋭いから。
香奈としては余計な詮索をされるのは困るのだった。
いや、それ以前の問題として、神聖なダイスを目的外使用するなと。
ゲームマスターの神様なるものが居るなら、速やかに雷を落とされていそうな彼女ではある。
(未だ入り口ですけど、ちと弄びすぎたのです……か?)
奥に入れるとなにか後戻りできないような気がして怖いのでそこまではしていない。
しかし、何日かに一遍はこれで慰めないと香奈は落ち着けないのだった。
道具を使うにしろ使わないにしろ、「ひとり遊び」についてはすでに香奈はエキスパートだ。
小学校のころから、ネットなどで目一杯知識だけは詰め込んできた。
TRPGを覚えたのもそのころであり、ダイスも「くとぅるふのよびごえ」と同時に手に入れたものだ。
しかし、当時は回りに一緒にセッションしてくれる人がいなかった。
ゆえに彼女は、頭の中で話を組み立てるだけで満足しなければならなかったわけで。
「……おかげで、妄想力だけは人一倍になってしまったのです」
今はTRPGに付き合ってくれる友人もできた。
研究会の活動ができるのは嬉しいし、楽しい。
だけれど、彼女は大抵ゲームマスターだった。
一番ルールに詳しいのが自分だから仕方ないのだが、でも、と香奈は思う。
「たまには、私だって背景ではなく、主人公になってみたいのですっ……」
ゲームの中ではなく、自分が今居るここで。
とは言うものの。
現実の壁を前に、妄想は立ち止まる、そんな日々の繰り返し。
ずっと自分はこのままなのだろうか、と思っていた。
「いやっ……いけません、こんなことではっ!まだ見ぬ明日に向かって頑張るのですっ……!」
ダイスをぎゅっ、と握り締める香奈。
(私は、もっと積極的にならなければいけないのです)
……とりあえず、今度は私から仁礼さんを誘ってみよう、と彼女は思った。
こないだの仁礼の表情を思う。哀しげな瞳を思う。
彼女の中には硬い氷がある。それを真剣に溶かしたいのなら、こっちから待っていてはいけない。
「でも……私にできるでしょうか?もし、こないだのことで彼女が怒ってたらどうすれば……」
もくもくといつもの不安と弱気が顔を出すが、今日の香奈は一味違う。
「――運試しなのです」
(ただし、成功確率は70パーセントに設定するのです)
この辺がまだ弱気だったけど。
70以下が出れば、仁礼さんは怒っていない怒っていない怒っていない……
「……えいっ」
おずおずと十面ダイスを二個、床に転がしてみる。
D100ロール。
ぴたり、と止まった目を確認する。
……0のゾロ目だった。
すなわちファンブル――自動的に失敗。
香奈はそのままの姿勢で、ベッドからずるずると崩れ落ちる。
(ふぁ……ファンブルですかっ……!)
とりあえず、この日、ゲームマスターの神様は香奈には優しくないらしかった。
「神様……ノーカンになりませんか……?」
ダイスを弄んだ罰、かもしれない。
それでも。捨てる神あれば拾う神在り、とはよく言ったもので。
「三橋さん?」
「……は、はいっ!なんでしょう?」
あれから少しずつ、二人の距離は近づきつつあった。
おずおずと声をかけ非礼をわびた香奈に、栖香は快く対応して許してくれた。
むしろ、その後もなにかにつけ腰の引ける香奈に対して、一直線に、飽きもせず何度も誘いをかけてくる。
そうなれば意志の弱い香奈のこと、誘いを断れるはずもなく。
無論、それは嬉しいことでもあって。
現状、何日かに一度、相沢の姿が見えないときなどは二人で昼食を一緒にとるようになっていた。
生憎今日は雨だったので、食堂の一角に二人は場所をとり向かい合っている。
(この状況こそは、私が望んでいたものっ……)
すなわち、全体として香奈が望む方向に進展しているはず……なのだが。
香奈自身は嬉しいと思いつつも、この期に及んでいろいろと違和感を感じつつあった。
多幸感と不安が交互に襲ってくる状況というか。
(とにかく……腹芸が通用しない人ですっ。凄いというか……ある意味馬鹿正直、というか)
自分を棚に上げて、香奈はそんな事を思う。
会話における迂遠さと発言の無責任さというものに拠りかかっている香奈に対し、栖香は徹底して発言の明確さに拘り、そして他者の発言には基本的に真実性が担保されていると信じていた。
結果としていえば、栖香には冗談というものが通用しなかった。全く、といってもいい。
また、好悪、善悪のスイッチの切り替えがはっきりしており、その中間というのは存在しないようだった。
そして香奈の発言はとりあえずすべて善意の方向で受け取ってもらえているらしい。
すなわち香奈が慮って曖昧な褒め方をしたものでも、それは明確な賛辞なのだ。
たとえばそれは栖香が最近熱を入れている料理に関する感想であったり、
美術作品に関する意見であったりするのだったが。
(私たち、これでいいんでしょうか……?)
――彼女といること。それ自体は嬉しい、とても嬉しくて、楽しい。
だがそれでも、香奈は虚構の上に築かれた舞台に立っているような危うさを感じていた。
――しかしそれは、いったいどちらの問題なのだろう?
ちなみに、それはそれとして、香奈は相変わらず朝食は食べられていなかった。
空腹に関してはお菓子の隠し場所を増やすことでクリアした。
(……根本的な解決から眼をそらしているのではないかと自分で思わなくもないですが)
背に腹は変えられないとはよく言ったもので。
まあ、とりあえず今の所、状況は香奈にとって大進歩だったが、他にも気になることはあった。
それはひょっとして相沢美綺が気を使ってくれているのでは?と言う疑念。
香奈の気持ちを察して、二人の時間を作ってくれているのではないか、と。
例によってそれは香奈の考えすぎだった(とはいえ、全く見当外れでもなかった)のだが、それに思い至った時、彼女は真剣に悩んだ。
(……私は、姉妹の親しくなる時間を奪っているのではないでしょうか)
「だとすれば逆に私はお邪魔虫なのではっ……」
「どうしました?食欲が優れないのですか?」
気がつくと、栖香が不思議そうに香奈をのぞきこんでいる。箸が動いていないのを見咎めたようだ。
「はっ……?いえいえいえッ?なんでもありませんよっ」
「そうですか。ところで、上原さんに唐揚げの作り方を教わったもので、試しに揚げてみたのですが」
「……唐揚げ、ですか?」
じっと栖香の箸がつまんでいる先の物体を見る。それがどうやら唐揚げであるらしい。
(……黒い。地獄のように黒いですっ!イカスミ入り……のわけはないよね……)
「不恰好ですけど……良かったら味見して戴ければ」
申し訳なさそうに箸を差し出す栖香。
問題は外見ではなさそうだったが、香奈にはとてもそんなことは言えず。
「いえええっそんなことはありませんっ、慎んでいただきますっ」
ぱくり、とそのまま口に頂くと、ややあって。
(……苦っ!辛!そして甘っ!)
相容れないはずの三つの味が完全に独立して口の中で爆発した。
「如何ですか?」
しかし、それでも。
恐る恐るそう聞いて来る栖香に対して、香奈に出来る返事は。
「美味しいですよ、仁礼さん」
ひとつしかないのだった。
(……なぜでしょう、この緊張感と不安は?一緒にいて、嬉しくて楽しいはずなのに……何故?)
だから、香奈は気づかない。悩みながらも、気づけない。
栖香もまた、同じように悩んでいたことに。
それを見ていたのは、例によって弥生とのばらと高松姉妹。
やんややんやといつもかびすましい彼女らの眼に宿っているのは微妙な好奇心。
「……餌付け?でもあの料理じゃちと香奈ちん可哀想じゃん?」
弥生は香奈の気持ちを深いところまでは知らない。
いつも怒られていただけに、やや仁礼に対しては斜に構えた見方をしてしまう傾向があった。
「こーら弥生、言い方意地悪すぎ。仁礼さんも打ち解けようと頑張ってるんだよきっと」
あくまでもやんわりとたしなめるのばら。弥生に最初にブレーキをかけるのは彼女の役目だ。
「そーなのかな?でもまー、すみすみが最初に香奈ちんにいったにのはなんか納得するけどさー」
「なんで?」
「だってさーあの二人けっこー似てるじゃん。猫かぶるとことか建前で生きてるところとかさー。」
確かに弥生に建前は不要のものだろうけど、とのばらは思ったが口には出さず。
「そうかも。まっ、香奈ちんは仁礼さんほど首尾一貫してないと思うけどね」
この二人には、香奈よりむしろ仁礼が積極的にアプローチしているように見えていた。
見方を変えれば、それはそれで正しかったのだけども。
「よくも悪くも意志が弱いのだなー、ふんふん」
「「意志薄弱軽佻浮薄♪自縄自縛自慰自爆♪」」
「……けーちょーふはくってどういう意味?」
「知らない……ハーフに、そのうえよりによってこの双子に国語で遅れをとるとは不覚だよっ!」
「お前ら……」
さらにそれを見ていた教師・滝沢司はとてもがっかりした。主に弥生たちの一般常識に対して。
しかし、それを指摘するのも可哀想なので、話題の部分だけやんわりとたしなめることにしたわけだが。
「余り人の交友関係をネタにするのは良くないと思うぞ?」
「ありゃ、滝沢ちんに怒られちったよ。まーだけどさ、二人とも不器用だよねー。滝沢ちんもそう思わない?」
正直、弥生に不器用と言われたらみんなショックを受けそうではあるがそれはともかく。
「ちゃんと先生と呼べ大銀杏……ともあれ、彼女らの何が不器用だって?」
「決まってんじゃん。自分の気持ちに、さー?だからあんなぎくしゃくしてんじゃない?」
「「尻の青い子○○臭い♪自慰が過多の子他意には過敏♪」」
「やめい!年頃の娘さんがそんな言葉を口にするなっ!」
高松姉妹はきゃははは、とユニゾンで笑いながら去っていった。
相変わらず意味不明な子らだと司は思いながらも、
「……そうかもしれないな。たまには大銀杏もいい事を言う」
と遅ればせながら弥生に同意する。
「でしょでしょ。……でもたまに、は余計だっしょ、滝沢ちん」
「滝沢先生と呼べ」
ホントーにたまに、だが。
「……と言う話があったんだ。まあ、みさきちのことだから既に気づいてるかもだが」
司から見ても、仁礼と三橋が同席している時はお互いロボットのように硬くなっているように見える。
正直なところ、周辺の人間にも微妙な緊張感が漂うほどだった。
「まーね……うにゃー、ま、その内打ち解けるよっ。香奈ちん気ぃ弱いけど根はいい子だし」
とその彼女は当面、傍観するつもりのようだ。
妹がせっかく積極的に自分から動いているところ、自分が口を出すのは躊躇われるのだろう。
自分とセンセの途中までと似てる、とも言った。言われてみると司もなるほど、と思う。
さっすが姉妹、と美綺は苦笑いしていたが、ならばそれはつまり。
自分たちのように、互いの本当の気持ちに気づかないと結局、それ以上先には進めないということなのだろうか?
「上手くいくといいなーと思ってるけどねっ」
「……そうか」
「それよりもねっ。考えなきゃいけないのは、むしろ」
一緒に過ごす時間が増えたという事は、仁礼の行動はそれだけ常に三橋の注目を受けている、ということでもある。
「……調査のことか?」
放課後の調査。今は雨で休止してはいるが。仁礼との打ち合わせはずっと行っているわけで。
「そのうち香奈ちんには気づかれちゃうかもね。まーそんときはそんときさっ!」
「仲間に引き込むか?」
「そうなったらいいけど……でも、それはアタシじゃなくてすみすみの役目かなっ」
「……なるほどね」
確かに、そうに違いない。