エロゲー全般のSS投稿スレです。あなたの作品をお待ちしています。
エロエロ、ギャグ、シリアス、マターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ジャンルは問いません。
そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みのSS書きの人!
名無しさんなら安心して発表できますよ!!
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1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
なお、一回の投稿の最大行数は32行、最大バイト数2048バイトです
3.SSの書き込みが終わったら、名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して、
自分がアップしたところをリダイレクトする。>>1-3みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
恐れがあるため、ageる場合はなるべく長文を回した後お願いします。
5.スレッド容量が470KBを超えた時点で、
ただちに書き込みを中止し、次スレに移行して下さい。
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過去スレ >>2-4辺り
感想有難う御座います。
遅い時間になりましたが、続きです。
相変わらず、外は雨。
垂れ込める灰色の雲の如く、香奈のテンションは地面すれすれ。
「……憂鬱なのです」
低気圧のせいだけではない。有体に言って、香奈は途方にくれていたのだ。
部屋に居ても落ち着かないので、図書室で参考書などを広げてみたものの。
当初危惧したとおり、本の内容など一文字たりとも頭に入ってこない。
ちょっと前から気になっていた件について思考が飛ぶと、そこで脳の回路がループしてしまう。
放課後の異変。滝沢先生と相沢に上原、そして仁礼。
最近では本校組の八乙女さんや鷹月さんまでが一緒になって何かをしている。
香奈は栖香に、雨の日まで集まって何をしているのか聞きたかった。
しかし、彼女は香奈に一切話してくれない。匂わせる素振りすら見せない。
こちらが放課後の予定を聞いても、姉と約束があるので、と曖昧な返事をするだけだ。
嘘ではないにしろ、何か隠しているのは間違いなかった。
「……しかし、問い詰めてもいいものなのでしょうか」
隠すにはそれなりの理由があるはず。
姉から釘を刺されている、という事もありえるだろう。
誤魔化されたときや嘘をつかれたときのダメージを考えてみる。
(ううっ……立ち直れませんっ……結局、まだ信頼されていないということなのでしょうか?)
いっそのこと、首魁と思しき相沢に直接聞くべきだろうか。
(いや、それもまた他人行儀なのですっ……)
「……何してるの」
「ひゃあああっ!?……何だ、小曾川さんですか」
いきなり後ろから声をかけられて心臓が飛び出しそうになる。
しかも。
「……仁礼?」
いきなり核心を突かれた。
「……えええええ?なな何を根拠にっ?ていうか何のことですかっ!」
小曾川智代美は、ハムスターのように小さい口の端をわずかに吊り上げて呟く。
「……悩み。バレバレ」
一応、それで微笑みを表現しているらしい。
「バレバレなのですかあっ!?」
自分はそんなにわかりやすい人間なのだろうか、と香奈は数秒間悩んだが。
…………
反論のしようも無かったので、仕方なくぽつりぽつりと状況を説明する。
「これからどうしたらいいのか、解らないんです……」
滝沢と相沢の名前が出たときだけ智代美の眉はぴくり、と動いた。
何やら腑に落ちたらしいが、その後は無言で聞き終える。
それからしばらく香奈をじっと見つめ、小さく頷くとぼそり、と宣告した。
「呼び出して聞け」
「そそそんなっ……恐れ多い……」
「友達に恐れも遠慮も無いよ」
「……でも」
貧相な仔犬を哀れむような眼で智代美は香奈を見ると、
「少しだけ助言」
顔をぬっ、と近づける。
「……なんですか?」
そのまま香奈の耳元に口を寄せると、やや強い口調で囁いた。
「好きなら迷わず行くところまで行け」
「…………っ!」
「その道の先達からの、一言」
それだけ言って、智代美は再び影のように去っていった。
ややあって香奈は、言葉の意味に気づく。
「その道、って……違う違う違うんですっ!私は――」
どう違うのか。
…………
自分が夜な夜な何を考えて一人慰めているか、を思うと。
あんまり違わなかった。
「どうしましょう……私はどうしたらっ……でも」
いつかは、隠している理由は知ることになるだろう。
その時、栖香本人から聞かされるならまだいい。
でも、もし、他人から真実を聞くまで、自分が何も聞かされなかったとしたらどうだろう?
――そんな状況には耐えられない、と思った。
だから、智代美の後押しがあったとはいえ。
結局のところ、香奈は決断した。
それは仁礼栖香との関係において、彼女から見せた二番目の前向きな行動だった。
予報では、夜半に雨は一旦止むらしい。
それを確認してから香奈は栖香を探して、約束を取り付けた。
頷いた栖香の顔は、笑っていなかった。
夜10時半。
消灯後こっそりと抜け出し約束の場所へ行くと、既に仁礼は真っ直ぐに立っていた。
「三橋さん、消灯後の外出は違反ですよ。私を呼び出してどうなさろうと言うのですか」
香奈を見つめる栖香の眼は鋭い。
怒りではない、と思った。何かを警戒している眼だ。
「……なら、なぜ何も言わず了承したのです」
「それは……三橋さんの頼みとあれば」
……嬉しい、と言いたかったけど。
今はそこでくじけている場合ではない。
「その――相沢さんたちと放課後なにをしているのですかっ?」
「……その件ですか。怪しまれているのは承知しておりました。
残念ですが……今の段階ではお応えできません」
「どうしてですかっ」
「姉との秘密です」
予想通りの答えだった。だから、香奈は反応してしまった。
「……お姉さんが、相沢さんが大事なのはわかっています。でも」
(……私は、馬鹿だ)
彼女が怒ると判っているのに。
理性より先に、感情が言葉になってしまう。
「……私との関係は、大事じゃないんですか!」
「――そんなことは言っておりません!」
激昂。売り言葉に、買い言葉。
一瞬、赤い炎が吹き上がったように香奈は錯覚する。
ああ、怒らせてしまった。
でも、何故だろう。止まらない。
嘘で関係を塗り固めていたわたしが。
気持ちに任せたままの、生の。それが正しいかどうかは別だけど。
感情そのままの言葉を、口にしている。
「大体仁礼さんはいつも私に肝心なことを何一つ話しては――」
「何ですって!それを言うなら、三橋さんだっていつも誤魔化してばかり――」
「やるですか!」
「やると仰るのならば!」
……………………
はあはあはあはあ。
数刻の後。
二人とも膝と両手をついて息を切らしていた。
燃料切れだった。
罵倒合戦→睨み合い→掴み合いを経て、倒れこみそうになったところで一旦離れて。
息を入れてしまった二人に、もはやもう一度喧嘩を始める気力は無かった。
まだ息を切らしながら、栖香は香奈に、香奈は栖香に問いかける。
お互い、先ほどまでの炎は既にない。
「……なぜ、三橋さんは嘘をつくのです」
「……なぜ、仁礼さんは何も言わないのです」
同時に問い、同時に互いを見る。
そして同時に、溜息をついた。
今度は香奈から喋り出す。
「……私、本当は嘘なんかつきたく無いです……だけど、仁礼さんに嫌われたくもないんです」
「わ、私だって……本当は三橋さんに全部話してしまいたいですっ。でも、お姉さま達の」
「だからってどうしたらいいんですかっ!お料理だって褒めたいけど、でもっ」
「そのぐらい!本当の事を言って下されば……そりゃ、その場では傷ついたかもしれませんけども」
「だって私は」
「そんなこと言っても私だって」
…………
再び、同時に互いを見て。どちらからともなく。
「「ぷっ……」」
思わず、吹き出した。
「仁礼さん、酷い顔になってます」
「三橋さんこそ」
「ハンカチ、使います?」
「……そうですね。お借りします」
そのまま二人は向かい合って、その場に座り込んだ。
……そして香奈は栖香に、ぽつりぽつりと語り出す。
自分の気持ちを。
「……私は、ずっと仁礼さんを見てて、綺麗でかっこいいなあ、と思ってて」
ああ。こんな状態になって、ようやく私は。
「ずっと好きだったんです。友達に、なりたかったんです」
――言えた。
かあああああ、と栖香の顔が一気に真っ赤になる。
「わっ、私だってずっとそう思っておりましたっ!
委員長などと皆さんに仇名され、時に落ち込む事もありましたけど」
声を詰まらせながらも、一気に続ける。
「み、三橋さんがふぉろーを入れてくれた時などがしばしばあって、その都度」
――客観的に見ると、恐らく他の級友はあれはフォローになってない、と言ったであろうけど。
でも少なくとも気持ちだけは、栖香には通じていた、と。
「だから、その気持ちなら三橋さんに負けません!むしろ私が先です!」
「いいえ!私が先です!私なんて一年の最初の中間考査のときから」
「そんなことを言い出したら私など入学式のときに」
ぎゃあぎゃあぎゅいぎゅい。やんややんや。
もはや単なる意地の張り合いだった。
そして気がつけば、いつの間にか。
二人とも笑っていた。
互いの手を、握っていた。
そして、彼女たちはこの大いなる回り道を経て。
ようやっと、ルールを決めることが出来た。
「「もう、遠慮も隠し事も、無しにしましょう――」」
さて、やや離れた茂みの奥では、いくつかの人影が彼女らに視線を送っていた。
「……何やってんだ二人とも」
(しーっ!今いいとこなんだからっ!うう……おねえちゃんは嬉しいよ妹よっ!)
(みさきちいい加減やめようよここからはもはや出歯亀だよっ!
なんかこのまま聞いてたら非常にいたたまれないんだよほら滝沢先生も止めてくださいよっ)
(ちっちっち。かなっぺ、アタシはまさにそのいたたまれない瞬間を写真に捉えたいのだよっ!
そして卒業式の日にA3サイズですみすみにばーん、と見せてあげるのだっ!)
(動機はただの悪戯ですか馬鹿ですかっ!)
(某無乳っ子みたいなこと言ってる場合じゃないよかなっぺっ。ほら録音録音!)
(かなっぺ言うなっ……って、集音マイクとデジタルレコーダー?
いつのまにこんなものまでこんなものまでぇっ!)
(……それはそうと、こんな暗いのにフラッシュなしで写真ちゃんと撮れるのか)
(だーいじゃうぶ!通販さんに借りた米軍仕様の暗視カメラでばっちりさっ!
ぱそこんの画像加工ツールを使えばまっくらやみでも天然色完全再生可能の優れものだよっ)
そこにカメラをぺたぺたと触る二組のましろい手とステレオの囁き。
((貸して♪貸して♪撮って切り貼り♪トリミングしてコラージュ♪))
(ひゃああああああ!)
(しっ……高松姉妹?)
そこにかぶさるのはまた違う娘たちの声。
まずはいつものコンビ弥生とのばら、それに加えて今日は智代美と貴美子の百合コンビもいる。
何故か貴美子は頬を染めてそわそわしながら三橋たちを見ていた。
「だけじゃないよ相沢っ!やーははは!面白いねーのばら」
(しっ!弥生でかい声ださない!気づかれちゃうよ)
(多分、もう遅いと思う)
(いえ、あの二人、お互いに夢中で全く気づいてませんわ。はあ……仁礼さんが羨ま……)
貴藤陀貴美子はどちらかというと香奈のほうが好みらしい。
(……悪戯したくなった?)
(……ふふ、冗談ですよ。私はいつだって智代美さんひとすじですわ)
(……そう)
彼女らの後ろからぬうっと現れたのは岡本瑠璃阿。
何故か神を背中にしょっている彼女は何処となく切ない眼で呟く。
(いいなー、あの二人……)
そして背負われた千晶は。
(すかー……すぴー……)
いつものように寝ていた。
勢揃いに呆然とする奏。
(はあああっみんないますみんないますよっ)
(だーってさー。あの二人中途中から庭中に響くような声で喋るんだもん。そりゃみんな気づくっての)
(坂水でも来たら誘導しようと思って出てきたんだけどさ。滝沢先生ならまーいいかな)
((すでに骨抜き♪人畜無害甲斐性無し♪))
(同意)
(僭越ながら同意致しますわ)
(……そこはかとなく馬鹿にされているような気がする)
(むしろあからさまにと言うべきではっ)
(センセ、気にしたら負け負けっ)
この大盛り上がりからすると、なんだかんだでみんなあの二人が心配だったらしい。
(ああっ見てみてっ!決定的瞬間かもっ……)
(むむ……やれ!そこだっ!いけっ!我が妹赤い彗星っ!)
(もっと近づけ香奈ちんっ!強く激しく抱きしめあうのだっ!)
単に面白いからかもしれないが。
(……あのあの皆さんやっぱり良くないよ良くないよみさきちを止めてくださいよ滝沢先生……先生?)
(むむ……これは……いやそうじゃないぞ仁礼!その手はもっとこう……)
教師はみさきちと一緒になって熱中していた。
はああ……と脱力した彼女に、背後から静かな声がかかる。
「上原さん、お茶でもいかがですか?」
(はは榛葉さんっ?)
いつの間に、夜闇から現れ出でたのか。
常と変わらぬ笑顔で手に持っているのは、中くらいの大きさの魔法瓶。
榛葉邑那は魔法のようにどこかから紙コップを取り出して、
「はい、どうぞ」
と奏に持たせると紙コップ目掛けてたぽたぽ、と紅茶を注いだ。
やや熱めだがコップが持てないほどではない絶妙の温度だ。
(あ、ありがとうございます……)
こくこくこく。
熱さもほとんど気にならぬ美味しさに、奏はほぼ一気に飲み干してしまう。
(はあ、結構なお手前で……じゃなくてっ!
良識ある榛葉さんまで何故このような真似をっ?)
実際、生き返るかと思うほどに美味しかったのだがそれはともかく。
「私は温室での作業が長引きまして、今引き上げてきたところですが?
なにやらこちらのほうが騒がしかったので……ちょっとした好奇心でしょうか」
至って普段どおりの口調で邑那は答える。
その落ち着いた声は、特に声をひそめずとも何故か周りに響くことはなかった。
(ではなぜわざわざ魔法瓶にお茶をっ)
「部屋でアイスティーにでもしようかと」
(……嘘です論破できないけど多分絶対嘘ですっ)
それならばこの紙コップは何故携行していたのかと問い詰めたかったけども。
それもまあ良しとして。
「……では、あの二人の決定的瞬間も?」
「ええ、楽しく拝見させていただきました。
ところで、そのお二人はもう行ってしまわれたようですが」
「え?」
振り返ると、仁礼と三橋の姿はすでに何処かに消えていた。
さらに気がつけば。
さっきまでの出歯亀たちも三々五々、思い思いの方向に散ってゆくようだ。
寮の方向に行く者や林に消える者。
様々だったが、それはもう詮索しても致し方あるまい。
(……そういえば、岡本さんはなぜ神さんを背負っていたのでしょう)
などといろいろ疑問はあるが、とりあえずこのイベントも終わったようだ。
みさきちは滝沢先生となにやら楽しげに話しながら寮の方向へ歩いていくし。
「……ううっ……なんとなくわたしだけ損した気分ですですっ」
「……もう一杯、いかがですか?」
「……頂きます」
再びこくこく、と飲み干した後、帰りましょうか、と力なく奏は邑那に言った。
「それがよろしいかと」
邑那は、ずっといつもの穏かな微笑みを浮かべていた。
ふと、奏は思う。今日まだ見ていない人がいたようないなかったような。
「……あれ?そういえば」
「どうなさいました?」
「通販さん……以外は、大体みんな来てましたよね?」
「みなさん来ていたのではないでしょうか?
通販さんは相沢さんと画像加工するときにでも見る、と言っていましたね」
「……やっぱり榛葉さんは最初からみさきちの企みを知ってたんだそうなんだ」
「私は、温室でお二人が打ち合わせをしているのを小耳にはさんだだけですよ」
……まあ、それは建前として認めるとして。
「それじゃやっっぱりほぼ全員だったんですね」
「ええ。主だった方はほぼ居ましたね」
「……みんな、暇なんですね」
「そうかもしれませんね」
こんな学院だから、とはあえて二人とも口にしない。
この学院に居るからこそ、会えた友人がいる。それを二人とも良く知っていたから。
しかし、榛葉とゆっくりその場を立ち去った後も、奏はずっと。
「……全員だよねだったよね?」
誰かが足りないような気がしていたが、結局その日は最後まで思い出せなかった。
ちなみに。
溝呂木輝陽は全員居なくなった後、そっと草葉の陰から出てきて。
みんなが立っていた場所を何回も見回し。
溜息をつくと、肩を落としてとぼとぼと寮へ戻っていった。
……難儀な娘さんである。
彼女にも願わくば、それなりに明るい未来が与えられんことを。