抱きしめて、愛しあって
逢えなかった時間をを取り戻そうとするように
貪るように求め合った。
それは神の去ったこの世界に残されたほんの僅かな奇跡の残滓だったのか
それともあの小さな神様の粋な計らいだったのか
そんな事より
「シュウ先輩っ、シュウ先輩っ!!」
「どうして忘れていたんだろう、わたしっどうして…っ」
「忘れていられたんだろう…っ」
「こんなに大切なこと…どうしてっ…」
夕暮れの街中で、
「大丈夫、もう大丈夫だよ」
「もう離さないから」
「…はいっ」
泣きじゃくりながら俺にしがみつくこのふわふわの髪の女の子を
どうやってなだめようかと
そんな事を考えながら抱きしめる腕に力を込めた。
きつく結んで、そう
二度と離されてしまわないように――。
end
あ、BGMは「ただ、この手にあることを」推奨でよろしく