エロゲー全般のSS投稿スレです。あなたの作品をお待ちしています。
エロエロ、ギャグ、シリアス、マターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ジャンルは問いません。
そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みのSS書きの人!
名無しさんなら安心して発表できますよ!!
【投稿ガイドライン】
1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
なお、一回の投稿の最大行数は32行、最大バイト数2048バイトです
3.SSの書き込みが終わったら、名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して、
自分がアップしたところをリダイレクトする。>>1-3みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
恐れがあるため、ageる場合はなるべく長文を回した後お願いします。
5.スレッド容量が470KBを超えた時点で、
ただちに書き込みを中止し、次スレに移行して下さい。
保管サイトはこちら
http://yellow.ribbon.to/~savess/
過去スレ >>2-4辺り
エピローグ後想定です。えちは例によってないです。ごめんなさい。
「通販さんと春の午後」
春の温室。冬と違っていくつかの窓は開かれたままだ。
心地よい風がたまに侵入してくる、そんな午後。
ちっく、ちっく、ちっく。
ストップウォッチが刻む時間。
「……ここか」
かちりと止め、同時にポットを取り上げる。
ティカップに注がれる琥珀色の流れ。
「――む」
まずまず。しかし。
「一味、足りない」
首をひねったところで、背後から呼ぶ声。
温室の扉が勢い良く開かれる。
「つ……いやいや花さん花さんっ!お茶していいよね入るよ入ったよっ!」
「やーちゃん声おっきすぎだよ……あー、いい香り!」
「うるさい」
そう言いつつも、声に拒否の響きはない。
大銀杏弥生と野原のばらだった。
「座れ。今淹れる」
もうすこし長めに。いや茶葉を多めに、か?それとも湯温か。
いずれにせよ微妙だ。
邑那は上達が早いと褒めてくれたが、まだ彼女には遠く及ばない。
ちょっとだけ凹む。
この二人はなんでも美味しいといってくれるので気は楽だが、
テイスティングの人間としては全く役立たない。
今のところは自分の舌と記憶が頼りだ。
大銀杏は激しく単位不足らしい。このままでは何年いることになるやら。
野原は本当なら去年卒業できたのだが、わざと単位を落としたらしい。
本人いわく「もー少しダラダラしたかったからねっ」らしいが
大銀杏のためなのかどうかは分からない。
いずれにせよ、それは彼女たちの物語だった。
「美味しいー!ねぇねぇほらこれクッキー食べよ食べよ!
かなっぺが送ってくれたんだよもう我慢できなくてさぁ途中で結構食べちゃったけどさほら」
「さすが新婚さんだよねー。ほら花さんも食べないとやーちゃんが全部食べちゃうよ」
「……頂こう」
クッキーは美味しかった。一番食べたのが誰かはいうまでもない。
いいだけ騒いだ二人が去った後、空に目をやる。
――自分には、無縁の空。
邑那も、彼女らも、最初から翼を持っている。
彼女らは飛べないと思っているだけだ。
きっかけさえあれば、何時でも空へ羽ばたける。
だがこの自分には、まがい物の翼しかない。
アテナの使いであった金属の梟のように。
……あの探検の終わりの日。最後のピクニックの日。
ちょっとだけ嬉しくて、そして楽しかった。
少しだけ、自分を縛る鎖が緩んだような気がした。
でも多分、今も何も変わってはいない。
ここにはアテナは居ない。ヘルメスの魔法も無い。
自分は、けして飛べない。
花もお茶も只の時間つぶしに過ぎない。
これまでも無数の商品や趣味に手を出し、その全てに飽きた。
これもその内きっと飽きるだろう。
あの迷宮の、軍需施設の真の意味。半島に無数に散らばる施設が示すもの。
支配者たる風祭すら忘れてしまったその意味は。
あの地図を良く見直せば、それが一つの図形を示していたことに気づいたろう。
だが、気づく可能性のあった連中は今回全て卒業した。
それは彼女らにとってむしろ幸せなことだろう。
構築された図形。それはあるものを繋ぎとめる封印。
何に対する?決まっている。